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寝ても寝ても眠いのはうつのサイン?原因と対処法を解説

毎日のように眠気が襲ってきて、「どれだけ寝ても眠い」「朝起きるのが辛い」「日中もぼーっとしてしまう」——。
そんな強い眠気に悩まされていませんか?
単なる寝不足や疲れだと思っていませんか?
もちろんそういった一時的な原因で眠気が強くなることもありますが、その眠気が「うつ病」のサインである可能性も考えられます。
うつ病というと「眠れない」というイメージが強いかもしれませんが、実は過剰な眠気(過眠)もまた、うつ病の重要な症状の一つとして知られています。
この状態が続くと、日常生活や仕事、学業にも大きな影響が出かねません。
この記事では、「寝ても寝ても眠い」という症状とうつ病の関係性、考えられる原因、うつ病に特徴的な他のサイン、そして適切な対処法について詳しく解説します。
ご自身の眠気や心身の状態について立ち止まって考えるきっかけとし、必要であれば専門家への相談を検討する一助となれば幸いです。

目次

過眠とは?うつ病との関係性

「過眠(かみん)」とは、夜間に十分な睡眠をとっているにも関わらず、日中に耐えがたいほどの強い眠気が繰り返し現れる状態を指します。
必要な睡眠時間は人それぞれですが、一般的に健康な成人の場合は7〜8時間程度の睡眠で日中の活動に支障がないとされています。
それ以上の時間寝ても、あるいは夜間の睡眠時間を十分に確保してもなお、日中に強い眠気を感じたり、意図せず眠り込んでしまったりする場合に過眠が疑われます。

うつ病の代表的な症状として「不眠」がよく知られています。
「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」といった睡眠のトラブルは多くのうつ病患者さんにみられます。
しかし、うつ病の診断基準には、不眠と並んで「過眠」も含まれています。
一部のうつ病、特に「非定型うつ病」と呼ばれるタイプでは、この過眠が主要な症状として現れることがあります。

非定型うつ病における過眠は、単に眠たいという感覚を超え、「鉛のように体が重くて起き上がれない」「週末に12時間以上寝てもまだ眠い」といった形で現れることがあります。
これは、体が必要とする以上の睡眠をとってしまう「過眠症」とは少し異なり、うつ病という精神的な状態と深く結びついた眠気であると考えられています。
不眠に悩むうつ病患者さんも、過眠に悩むうつ病患者さんも、どちらも「睡眠の質」が低下している可能性が高いという共通点があります。
見た目の睡眠時間だけでは判断できない、複雑な睡眠の問題がうつ病には伴うのです。

うつ病で寝ても寝ても眠い(過眠)が起こる原因

うつ病によって過眠が引き起こされるメカニズムは一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
主な原因としては、脳内の神経伝達物質のアンバランス、長期間にわたるストレスや心理的な負担、そしてそれらが引き起こす睡眠の質の低下が挙げられます。

脳内の神経伝達物質のアンバランス

私たちの脳では、様々な神経伝達物質が情報をやり取りしています。
気分や感情、意欲、そして睡眠や覚醒のサイクルを調節する上で重要な役割を果たしているのが、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといったモノアミン系の神経伝達物質です。

うつ病では、これらの神経伝達物質の働きが低下したり、そのバランスが崩れたりしていると考えられています。
セロトニンは気分の安定や幸福感に関わるだけでなく、睡眠の質にも影響します。
ノルアドレナリンは意欲や覚醒、ストレス反応に関与し、ドーパミンは快感ややる気、運動調節に関わります。

これらの物質の機能が低下すると、気分の落ち込みや意欲の低下が生じるだけでなく、脳全体の活動性が低下し、結果として過剰な眠気や倦怠感として現れることがあります。
特に、活動性を高めるノルアドレナリンやドーパミンの働きが鈍ることで、日中の覚醒状態を維持することが困難になり、「寝ても寝ても眠い」という状態につながる可能性があります。

ストレスや心理的な負担

長期間にわたる精神的なストレスや解決できない悩みを抱え続けることは、心だけでなく体にも大きな負担をかけます。
慢性的なストレスは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を過剰にしたり、自律神経のバランス(心身を活動させる交感神経とリラックスさせる副交感神経)を乱したりします。

自律神経は、心拍数や血圧、消化機能など、体の様々な機能を無意識のうちに調節していますが、睡眠や覚醒のサイクルにも深く関わっています。
自律神経のバランスが崩れると、夜になっても体がリラックスできずに眠れなくなったり、反対に日中も活動モードになれず、常に疲労感や眠気を感じたりすることがあります。

また、うつ病による過眠は、つらい現実や感情から逃避したいという心理的な要因が影響している可能性も指摘されています。
「眠っている間だけは辛いことを考えなくて済む」といった無意識の防衛機制として、過剰な睡眠を求めてしまうケースも考えられます。
しかし、これは根本的な解決にはならず、かえって日中の活動時間を削り、悪循環に陥る可能性があります。

睡眠の質の低下

うつ病では、たとえ長い時間眠っていても、睡眠の質が低下していることが少なくありません。
健康な睡眠は、深いノンレム睡眠とレム睡眠が一定のサイクルで繰り返されることで、脳と体の休息が効果的に行われます。
しかし、うつ病の状態にあると、この睡眠構造が乱れやすい傾向があります。

例えば、深いノンレム睡眠(脳の休息に関わる)の時間が短くなったり、眠りの浅い時間が長くなったりすることがあります。
また、レム睡眠(夢を見る睡眠、記憶の整理などに関わる)の出現パターンにも変化が見られることがあります。

このように睡眠の質が低下すると、たとえ8時間、10時間と長時間寝ても、脳や体が十分に休息できず、疲労感が抜けなかったり、日中に強い眠気を感じたりすることにつながります。
まるで寝ていないかのように体がだるく、重く感じるのは、単に睡眠時間が足りないのではなく、睡眠の中身が損なわれているためかもしれません。
うつ病における過眠は、単に「寝過ぎ」ではなく、質の悪い睡眠の代償として、体が過剰に眠りを求めている状態とも言えます。

「寝ても寝ても眠い」以外のうつ病のサイン・症状

うつ病は、過眠や不眠といった睡眠の問題だけでなく、多様な精神的・身体的な症状が複合的に現れる病気です。
「寝ても寝ても眠い」という症状がある場合、以下のようないくつかの症状が同時に見られることが多いです。
これらの症状が長く続いたり、日常生活に支障をきたしたりしている場合は、うつ病の可能性を疑い、注意深く自身の心身の状態を観察することが重要です。

抑うつ気分や気分の落ち込み

うつ病の最も中心的な症状の一つが、持続的な抑うつ気分です。
「ゆううつ」「悲しい」「気が滅入る」「空虚感」といった感情が、ほとんど一日中、そしてほとんど毎日続きます。
特定のできごとがないのに気分が沈んだり、以前は立ち直れたようなことでも長く落ち込んだままになったりします。
この気分の落ち込みは、朝に強く、午後にかけてやや軽くなる「日内変動」が見られることもあります。

興味や喜びの喪失

以前は楽しめていた趣味や活動、人との交流などに対して、関心がなくなったり、それらから喜びを感じられなくなったりします。
好きなテレビ番組を見ても面白くない、美味しいものを食べても感動しない、といったように、日常のあらゆることへの興味や関心が薄れてしまいます。
これを「アパシー」と呼ぶこともあり、うつ病の診断において非常に重要な症状の一つです。

意欲や集中力の低下

物事を始めたり続けたりするエネルギーがなくなり、何をするにも億劫に感じます。
着替える、お風呂に入る、食事をするといった日常の基本的なことさえ、大きな努力が必要になることがあります。
仕事や勉強に集中できず、注意力が散漫になったり、物忘れが多くなったりすることもあります。
簡単な作業でもミスが増えたり、効率が著しく落ちたりするため、日常生活や社会生活に大きな支障をきたします。

身体的な症状(だるさ、疲れやすさなど)

精神的な症状だけでなく、様々な身体症状も現れることがあります。
特に多いのは、全身のだるさ、倦怠感、そして理由のはっきりしない疲労感です。
「体が鉛のように重い」と感じる人も少なくありません。
この他に、頭痛、肩こり、胃の不快感、便秘や下痢、めまいなどもよくみられます。
これらの身体症状は、過眠による眠気や疲労感と相まって、日中の活動をさらに困難にします。

思考力の低下や判断力の鈍り

頭の回転が遅くなったように感じたり、考えがまとまらなかったりします。
簡単な決断さえ難しくなり、物事を判断するのに時間がかかったり、迷ってしまったりします。
悲観的な考えにとらわれやすくなり、自分を責める気持ちが強くなることもあります。
「自分は価値がない」「将来に希望がない」といった考えが頭から離れなくなることもあります。
重症化すると、死について考えたり、自殺を計画したりすることもあります。

これらの症状が複数、一定期間(通常は2週間以上)にわたって続いている場合は、うつ病の可能性を強く疑う必要があります。
単なる「疲れているだけ」「やる気が出ないだけ」と自己判断せず、専門家への相談を検討することが大切です。

あなたの眠気、うつ病?簡単チェックリスト

ご自身の「寝ても寝ても眠い」という症状が、もしかしたらうつ病と関連しているのではないかと感じている方もいるかもしれません。
ここで、うつ病の可能性を簡易的にチェックできるリストをご紹介します。
ただし、これはあくまで目安であり、自己診断のためのものではありません。
少しでも気になる点があれば、専門家にご相談ください。

以下の項目について、最近2週間ほどのあなたの状態にもっとも近いものをチェックしてください。

項目 はい いいえ どちらとも言えない
1. ほとんど一日中、そしてほとんど毎日、ゆううつな気分が続いている
2. 以前は楽しめていたこと(趣味、人との交流など)に、興味や喜びを感じなくなった
3. 寝ても寝ても眠く、日中も強い眠気やだるさを感じる
4. ほとんど毎日、疲れやすさや気力の低下を感じる
5. 体が鉛のように重く感じることが多い
6. 何かを始めたり、続けたりするのが非常に億劫に感じる
7. 集中力が続かず、物事を決めるのが難しくなった
8. 食欲が以前より明らかに減った、または増えた
9. 体重が理由もなく減った、または増えた
10. 自分は価値がないと感じたり、過剰な罪悪感を抱いたりする
11. 死について考えたり、自殺を考えたりすることがある

チェック結果について(あくまで目安です)

  • 1と2のどちらかを含む5つ以上の項目に「はい」が付く場合
    特に、3, 4, 5の項目に「はい」が多い場合は、うつ病(特に過眠を伴うタイプ)の可能性が考えられます。
    早めに専門家(精神科や心療内科など)に相談することをお勧めします。

  • いくつか「はい」が付くものの、上記に当てはまらない場合
    一時的なストレスや疲れ、他の身体的な問題が原因である可能性も考えられます。
    しかし、症状が続いたり悪化したりする場合は、やはり専門家への相談を検討しましょう。

  • ほとんど「いいえ」が付く場合
    現時点ではうつ病の可能性は低いと考えられます。
    ただし、ご自身の眠気や体調について気になることがある場合は、他の原因を探るためにも医療機関に相談してみると良いでしょう。

このチェックリストは、医学的な診断に代わるものではありません。
ご自身の状態について正確に知るためには、必ず医師の診察を受けてください。

寝ても寝ても眠い原因はうつ病だけ?考えられる他の可能性

「寝ても寝ても眠い」という症状は、うつ病以外にも様々な原因で起こり得ます。
これらの原因の中には、適切な治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
うつ病ではないかと考えつつも、他の可能性についても知っておくことは、原因を特定し、適切な対処をする上で役立ちます。

ナルコレプシーなどの睡眠障害

睡眠障害の中には、日中の強い眠気を主な症状とするものがあります。
代表的なものに「ナルコレプシー」があります。
ナルコレプシーでは、会議中や食事中など、通常は眠らないような状況で突然強い眠気に襲われ、短時間眠り込んでしまう「睡眠発作」が特徴的です。
その他にも、情動脱力発作(笑ったり驚いたりといった感情の高まりで体の力が抜ける)、入眠時幻覚(寝入りばなに現実感のある夢を見る)、睡眠麻痺(いわゆる金縛り)といった症状を伴うことがあります。
これらの症状は、脳内の睡眠覚醒を調節する機能に異常があることで起こると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に一時的に呼吸が止まったり、浅くなったりすることを繰り返す病気です。
空気の通り道(上気道)が狭くなることが主な原因で、大きないびきをかくことが多いです。
睡眠中に呼吸が妨げられることで、脳や体に酸素が十分に行き渡らず、質の高い睡眠がとれません。
その結果、夜中に何度も目が覚めていなくても、脳は十分に休めていないため、日中に強い眠気や倦怠感が生じます。
集中力の低下や起床時の頭痛を伴うこともあります。
放置すると高血圧や心臓病などのリスクも高まるため、いびきがひどい、睡眠中に息が止まっていると指摘されたことがある場合は注意が必要です。

甲状腺機能低下症などの身体疾患

体全体の代謝を調節する甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。
甲状腺ホルモンが不足すると、全身の機能がスローダウンし、強い倦怠感や眠気、寒がり、むくみ、便秘、体重増加、皮膚の乾燥などの症状が現れます。
これらの症状はうつ病と似ている部分もあり、見分けがつきにくいこともあります。
血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることで診断されます。
この他にも、貧血、糖尿病、慢性疲労症候群など、様々な身体疾患が過眠の原因となることがあります。

ストレスや生活習慣の乱れ

病気とまではいかなくても、現代社会では避けられないストレスや、不規則な生活習慣が原因で過眠になることも少なくありません。
仕事の過労、精神的なプレッシャー、睡眠不足が慢性的に続いている状態(睡眠負債)、徹夜や夜勤による体内時計の乱れなどは、心身に大きな負担をかけ、日中の強い眠気や倦怠感につながります。
アルコールの過剰摂取も睡眠の質を低下させ、日中の眠気を引き起こすことがあります。
一時的な原因であっても、長期間続けばうつ病などの精神疾患を引き起こすリスクを高める可能性があります。

女性特有の原因(生理前、妊娠、更年期など)

女性の場合、ホルモンバランスの大きな変化が、睡眠や気分の状態に影響を与えることがあります。
生理前の黄体期には、プロゲステロンというホルモンの影響で眠気が強くなることがあります(月経前症候群/PMSや月経前不快気分障害/PMDD)。
妊娠初期には、ホルモンの変化や体の変化によって強い眠気を感じやすい人が多くいます。
また、更年期には女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴い、不眠や過眠、気分の落ち込み、ほてりなどの症状が現れることがあります。
これらの時期の眠気や気分の不調が、うつ病と関連している場合もあります。

このように、「寝ても寝ても眠い」という症状の背景には、様々な原因が考えられます。
ご自身の眠気がどれに当てはまるのかを自己判断するのは難しいため、症状が続く場合は、専門家(医師)に相談し、適切な診断を受けることが最も重要です。

うつ病による過眠への対処法

うつ病による過眠は、うつ病そのものの治療と並行して対処していくことが基本となります。
根本原因であるうつ病が改善されれば、過眠の症状も自然と軽減されることが期待できます。
ここでは、ご自身でできるセルフケアと、専門家による医療機関での治療法について解説します。

セルフケアでできること

うつ病の症状がある時は、心身ともにエネルギーが枯渇した状態に近いため、無理は禁物です。
しかし、可能な範囲で生活習慣を見直したり、ストレスに対処したりすることは、症状の軽減につながることがあります。

生活リズムを整える

うつ病による過眠がある場合でも、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけることは、体内時計を整える上で重要です。
土日も平日と同じような時間に起きるように努力してみましょう。
寝る前にはカフェインやアルコールを避け、寝室を快適な環境に整えることも大切です。
また、日中にどうしても眠い場合は、30分以内の短い仮眠をとることは良いとされていますが、それ以上の長い仮眠や、夕方以降の仮眠は夜の睡眠を妨げる可能性があるため避けた方が良いでしょう。

適度な運動を取り入れる

うつ病の治療において、適度な運動は効果が期待できるセルフケアの一つです。
軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、気分のリフレッシュにつながり、睡眠の質を高める効果も期待できます。
ただし、うつ病が重い時期には運動するエネルギーさえ湧かないこともあります。
そのような時は、まずは散歩程度の軽い活動から始めてみましょう。
決して無理はせず、できる範囲で行うことが大切です。

ストレスを解消する

うつ病の原因の一つであるストレスに適切に対処することも重要です。
自分がリラックスできる時間を作る、趣味に没頭する、親しい友人や家族と話す、軽い瞑想や深呼吸を取り入れるなど、自分に合ったストレス解消法を見つけて実践しましょう。
ただし、過眠の症状がある時は、ストレス解消のために過剰に寝てしまう傾向があるかもしれません。
意識的に睡眠以外の方法で気分転換を図ることが必要です。

休息をしっかりとる

うつ病で過眠がある場合、「寝すぎているのにまだ眠いなんて、自分がダメなんだ」と自己否定してしまうことがあるかもしれません。
しかし、過眠は病気の症状の一つであり、体が休息を求めているサインでもあります。
無理に活動しようとせず、必要に応じて休息をとることも重要です。
ただし、過剰な睡眠が続くと体内時計が乱れたり、活動時間が減って気分がさらに落ち込んだりする可能性もあります。
休息の取り方については、主治医に相談してみるのが良いでしょう。

医療機関での診断と治療

うつ病による過眠が疑われる場合、自己判断せずに専門家(医師)の診断を受けることが最も重要です。
適切な診断のもと、効果的な治療を受けることで、うつ病とそれに伴う過眠の症状を改善できる可能性が高まります。

どんな時に受診すべきか

  • 「寝ても寝ても眠い」という症状が2週間以上続いている。
  • チェックリストで多くの項目に「はい」が付いた。
  • 眠気やその他の症状によって、仕事や学業、家事などの日常生活に支障が出ている。
  • 気分の落ち込みが続き、何も楽しめない。
  • 自分はダメだと感じたり、将来に絶望を感じたりする。
  • 死について考えることがある。

このような場合は、できるだけ早く医療機関を受診することをお勧めします。

受診する科(精神科・心療内科)

うつ病の診断や治療は、主に精神科または心療内科で行われます。

  • 精神科: 気分の落ち込み、意欲の低下、思考力の低下など、精神的な症状が中心であると感じる場合に適しています。
  • 心療内科: 精神的なストレスが原因で、胃痛や頭痛、過眠や不眠といった身体的な症状も強く現れている場合に適しています。

どちらを受診すべきか迷う場合は、かかりつけ医に相談して紹介してもらうのも良いでしょう。

専門家による治療法

医療機関では、問診や必要に応じた検査(血液検査など)を行い、他の病気の可能性を除外した上で、うつ病と診断されれば、状態に応じた治療が開始されます。

  • 薬物療法: うつ病の治療薬として、抗うつ薬が広く用いられます。
    抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスを整えることで、気分の落ち込みや意欲の低下といったうつ症状を改善する効果が期待できます。
    抗うつ薬の中には、過眠を伴ううつ病に対して特に効果的なタイプもあります。
    ただし、薬の効果が出るまでには時間がかかったり、人によっては副作用が出たりすることもあります。
    医師の指示に従って正しく服用し、気になる症状があれば必ず相談しましょう。
    薬物療法は、うつ病の原因となっている脳機能のアンバランスを整える上で重要な役割を果たします。

  • 精神療法: 認知行動療法などが代表的です。
    これは、ものの見方や考え方(認知)や行動パターンに働きかけ、うつ病の悪循環を断ち切ることを目指す治療法です。
    例えば、過眠によって活動量が減り、それがさらに気分の落ち込みにつながるといった悪循環に対し、無理のない範囲で活動量を増やす方法を一緒に考えたり、ネガティブな思考パターンを修正したりしていきます。
    カウンセリングなどを通じて、自分の抱える問題や感情を整理することも、回復に向けて重要なステップとなります。

  • 生活指導: 睡眠衛生指導(規則正しい生活、寝室環境の改善など)、栄養指導、運動指導などが含まれます。
    過眠の症状がある場合、単に寝る時間を増やすだけでなく、日中の過ごし方や睡眠の質を高めるための具体的なアドバイスを受けることができます。

  • その他の治療法: 症状が重い場合や、他の治療法で効果が見られない場合には、反復経頭蓋磁気刺激法(TMS)などの専門的な治療法が検討されることもあります。

専門家による治療は、うつ病と過眠の両方の症状にアプローチし、回復をサポートしてくれます。
一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることが大切です。

まとめ:「寝ても寝ても眠い」症状が続く場合は専門機関へ相談を

「寝ても寝ても眠い」という強い眠気が続く状態は、単なる疲れや怠けではなく、体のSOSのサインである可能性があります。
特に、気分の落ち込みや意欲の低下、疲れやすさといったうつ病の他の症状も伴う場合は、うつ病が原因で過眠が引き起こされている可能性を考慮する必要があります。

また、過眠はうつ病だけでなく、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害、甲状腺機能低下症などの身体疾患、あるいは慢性的なストレスや不規則な生活習慣など、様々な原因で起こり得ます。
これらの原因の中には、早期に発見し適切な治療を行うことが重要な病気も含まれています。

ご自身の眠気や心身の不調について、自己判断で「一時的なものだろう」と軽く考えたり、「自分が弱いからだ」と自分を責めたりすることは避けましょう。
症状が長く続いたり、日常生活に支障が出ていると感じたりする場合は、勇気を出して専門機関に相談することが、問題解決への第一歩となります。

相談先としては、精神科、心療内科、またはかかりつけ医が考えられます。
医師は、あなたの症状を詳しく聞き、必要な検査を行い、正確な診断を下した上で、あなたに合った治療法を提案してくれます。
早期に適切な診断と治療を受けることは、症状の改善を早め、つらい状態から抜け出すために非常に重要です。

「寝ても寝ても眠い」という症状の背景には、あなたの心身が助けを求めているサインが隠されているかもしれません。
一人で悩まず、ぜひ専門家のサポートを得てください。
回復への道は必ずあります。

免責事項
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療の推奨を行うものではありません。
ご自身の体調や症状について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
掲載されている情報は、必ずしも全ての人に当てはまるものではなく、症状や治療法には個人差があります。
この記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、当サイトは責任を負いかねますのでご了承ください。

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