アクセス
アクセス
menu

脂肪肝の症状チェック|なぜ気づきにくいのか医師が解説

こちらの記事の監修医師

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

脂肪肝の症状チェック|なぜ気づきにくいのか医師が解説

サムネイル画像

健康診断で「脂肪肝」を指摘されたものの、自覚症状がないため「どうすれば…」と対応に困っていませんか?2024年から脂肪肝の常識は大きく変わり、現在では全身の代謝異常のサインである「MASLD」として捉える考え方が始まっています。

この記事では、新概念MASLDとは何か、なぜ症状に気づきにくいのか、心筋梗塞やがんといった全身への影響、そして痛みのない最新検査や治療の動向まで、医師が詳しく解説します。

「脂肪肝」は新時代へ 2024年から始まった新常識「MASLD」とは

「脂肪肝」の概念は、肝臓だけの問題ではなく全身の代謝異常と深く関連する「MASLD(マスルディー)」という考え方へと大きく進化しました。

これまで「NAFLD(ナッフルディー)」と呼ばれてきた病気の名称が、国際的な専門家の議論を経て変更され、日本でも2024年からこの新しい考え方に基づく整理が始まっています。

これは単なる名前の変更ではありません。
脂肪肝を、糖尿病や高血圧などと同じように「代謝の乱れが肝臓にサインとして現れた状態」と捉え直す、医療における大きな転換点なのです。

見逃しがちなMASLDのサインと全身への影響 - 画像 1

なぜNAFLDからMASLDに名称が変わったのか

新しい名称「MASLD」への変更は、「代謝の異常が原因で肝臓に脂肪がつく」という、病気の根本原因に光を当てるためのものです。

これまでの「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」という名前は、「アルコールが原因ではない」という点しか示していませんでした。そのため、「お酒を飲まないのに、なぜ私が脂肪肝に?」という疑問が、多くの患者さんにつきまとっていたのです。

しかし、新しい「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という名称は、この病気が肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった「代謝の乱れ」と深く関わっていることを明確に示しています。

これにより、ご自身の肝臓に脂肪がたまった根本的な理由が理解しやすくなり、治療の目標(=代謝を整えること)もはっきりしました。

MASLDの新しい診断基準「心代謝系危険因子」

MASLDの診断では、肝臓に脂肪がたまっていることに加え、肥満や糖尿病などの「心代謝系危険因子」が少なくとも1つあることが基準となります。

まず、腹部超音波(エコー)検査などで肝臓への脂肪蓄積が確認されることが大前提です。その上で、以下の危険因子のうち、どれか1つでも当てはまるとMASLDの可能性を考えます。

【心代謝系危険因子】

  • 過体重・肥満: BMIが23kg/m²以上(アジア人の場合)
  • 血糖の異常: 2型糖尿病の診断、空腹時血糖値が高い など
  • 高血圧: 血圧が高い、または治療薬を服用中
  • 脂質の異常: 中性脂肪が高い、またはHDL(善玉)コレステロールが低い

健康診断で「脂肪肝の疑い」を指摘されたら、肝臓の数値(AST, ALT, γ-GTP)だけを見るのは不十分です。ご自身の体重、血圧、血糖値、コレステロールの値も一緒に確認することが、体の状態を正しく理解する第一歩になります。

見逃しがちなMASLDのサインと全身への影響

MASLDのサインは、ほとんどの場合、体に現れません。多くは健康診断の血液検査や腹部超音波検査で「脂肪肝の疑い」として、偶然見つかります。

しかし、症状がないからといって、決して安心はできません。気づかないうちに肝臓が硬くなる「線維化」という変化が進み、肝硬変や肝臓がんへと進行するケースがあるためです。

さらに、MASLDは肝臓だけの病気ではありません。心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気や、大腸がんなどの肝臓以外の癌のリスクを高めることも、近年の研究で明らかになっています。

肝臓の症状(倦怠感・腹部違和感)

MASLDのほとんどは無症状ですが、進行すると倦怠感や右上腹部の違和感といった、あいまいなサインが出ることがあります。

肝臓は予備能力が非常に高い臓器のため、ダメージを受けてもギリギリまで症状を出さない「沈黙の臓器」です。しかし、病状が進むと、次のようなサインが現れる場合があります。

  • なんとなく体がだるい、疲れが抜けない(倦怠感)
  • 右のあばら骨の下あたりに、重たい感じや鈍い痛みがある
  • お腹が張る感じがする

ただし、これらの症状はMASLDに特有のものではなく、他の病気や単なる疲れが原因のことも少なくありません。症状だけで「脂肪肝のせいだ」と自己判断するのは危険です。

健康診断で肝臓の異常を指摘されていて、かつ気になる症状がある方は、一度、消化器内科や肝臓の専門医にご相談ください。血液検査や腹部超音波検査で、肝臓の状態を正確に評価することが大切です。

心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)のリスク増加

MASLDと診断された方が本当に注意すべきなのは、実は肝臓そのものよりも、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる心血管疾患のリスクです。

なぜなら、MASLDの根本原因である肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった「代謝の乱れ」は、血管を傷つけ、硬くもろくする「動脈硬化」を強力に推し進めるからです。

つまり、「肝臓に脂肪がたまっている」という事実は、「全身の血管にも相当な負担がかかっている」という体からの危険信号なのです。

MASLDの患者さんでは心血管イベントのリスクが高まることは、多くの研究で裏付けられています。MASLDの治療は、単に肝臓の数値を改善するだけのものではありません。将来の心筋梗塞や脳卒中といった深刻な事態を避けるための、全身の血管を守る治療でもあるのです。

肝臓以外の癌(大腸癌・胃癌など)との関連

MASLDは肝臓がんのリスクを高めるだけでなく、大腸がんや胃がんといった肝臓以外の癌との関連も指摘されています。

最新の診療ガイドラインでも、MASLDは肝臓以外の悪性腫瘍(大腸癌、胃癌、食道癌、婦人科癌など)のリスクと関連することが示されています。

MASLDの背景にある肥満や糖尿病は、体内で常に弱火のボヤが起きているような「慢性炎症」状態を引き起こします。このくすぶり続ける炎症が、がん細胞が生まれる土壌を作ったり、その成長を後押ししたりする可能性が考えられているのです。

特に大腸がんとの関連は多くの研究で示唆されており、MASLDの背景にあるインスリン抵抗性(血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなる状態)が、リスクを高める一因とみられています。

もちろん、「MASLDだから、がんになる」と直結するわけではありません。しかし、脂肪肝を指摘されたことは、ご自身の生活習慣や体の状態を見直す良いきっかけです。これを機に、肝臓だけでなく、年齢やリスクに応じたがん検診(便潜血検査、胃や大腸の内視鏡検査など)もしっかりと受けておくことが、ご自身の体を守る上で非常に大切になります。

あなたは大丈夫?MASLDになりやすい人の特徴

MASLDは、全身の代謝バランスが崩れた結果、そのサインが肝臓に現れる病気です。そのため、特定の生活習慣や健康状態を持つ方に多く見られます。

健康診断の結果と照らし合わせながら、ご自身の状態が以下の特徴に当てはまるか確認してみましょう。特に日本人では、見た目がスリムな非肥満の方でもMASLDを発症することが少なくないため、体重だけで判断するのは禁物です。

セクション - 画像 1

BMI25以上の肥満がある

BMIが25以上の肥満は、MASLDを発症する最も代表的なリスク因子です。

特に、お腹周りに脂肪がつく「内臓脂肪型肥満」の状態では、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」を引き起こしやすくなります。このインスリン抵抗性が、肝臓での脂肪の合成を促し、分解を妨げるため、肝臓に脂肪がたまりやすくなるのです。

日本人を含むアジア人では、欧米人と比べて軽度の肥満(BMI23以上)でもMASLDのリスクが高まることが知られています。

MASLDの改善には、体重を適正にコントロールすることが欠かせません。研究では、現在の体重からわずか5%減量するだけでも肝臓の脂肪は減り始めると報告されています。さらに7%以上の減量が達成できれば、肝臓の炎症や線維化(せんいか:肝臓が硬くなる変化)の改善も期待できるとされています。

ただし、食事を抜くなどの急激なダイエットは、かえって肝臓に負担をかけ病状を悪化させることもあるため禁物です。バランスの取れた食事と継続的な運動で、無理なく体重を管理することが回復への近道といえます。

2型糖尿病を指摘されている

2型糖尿病やその一歩手前の「耐糖能異常」は、MASLDの発症や進行と密接に関係しています。

実際に、糖尿病をお持ちの方はMASLDを合併する割合が非常に高く、さらに肝臓の炎症や線維化が進みやすいことがわかっています。これは、血糖値を下げるインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」という状態が、糖尿病とMASLDの共通の土台になっているためです。インスリンがうまく働かないと、肝臓は脂肪を溜め込みやすくなり、炎症も起こりやすくなります。

そのため、糖尿病の治療を受けている方は、血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の管理だけでなく、定期的に肝臓の状態も確認することが勧められます。具体的には、血液検査の肝機能(AST, ALT)や、肝臓の硬さの目安となる指標(FIB-4 indexなど)をチェックします。

血糖・体重・脂質・血圧、そして肝臓の状態を総合的に管理していくことが、将来の肝硬変や心血管疾患といった深刻な事態を避ける上で不可欠です。

脂質異常症(高中性脂肪・低HDL)がある

血液中の中性脂肪が高い、あるいは善玉(HDL)コレステロールが低いといった脂質異常症も、MASLDの診断基準となる心代謝系の危険因子です。

健康診断などで脂質異常症を指摘された場合、それは全身の代謝バランスが崩れ始めているサインといえます。血液中に使い切れなかった脂肪(特に中性脂肪)が多いと、それらが肝臓に運ばれて溜まり、脂肪肝を引き起こします。一方で、善玉コレステロールには全身の余分なコレステロールを回収する役割があるため、この数値が低いと体内の脂質バランスがさらに崩れやすくなります。

脂質異常症が問題なのは、肝臓だけでなく、動脈硬化を進めて心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクも高める点にあります。

中性脂肪を下げるためには、特に以下のような食生活の見直しが効果的です。

  • 糖質の多いお菓子やジュースを控える
  • 果物の摂りすぎに注意する(果物に含まれる果糖は中性脂肪に変わりやすい)
  • 夜遅い時間の食事(夜食)を避ける
  • 青魚に含まれる良質な油(EPA・DHA)を意識して摂る
  • 野菜やきのこ、海藻など食物繊維の多い食品を増やす

生活習慣の改善だけで数値が良くならない場合は、薬による治療も選択肢となりますので、まずは医師にご相談ください。

血圧が高い

高血圧も、MASLDの診断基準に含まれる心代謝系の危険因子の一つです。

高血圧そのものが直接肝臓に脂肪を蓄積させるわけではありません。しかし、高血圧の方は肥満や糖尿病、脂質異常症を合併していることが非常に多く、それらがMASLDの根本的な原因となります。

MASLDと診断された方が本当に注意すべきなのは、将来の心筋梗塞や脳卒中といった心血管系の病気です。そして、高血圧は、この心血管系の病気を引き起こす最大の危険因子です。

つまり、血圧を適切に管理することは、肝臓を守るだけでなく、心臓や全身の血管を守ることにも直結します。減塩、適度な運動、体重管理、節酒、禁煙といった生活習慣の改善は、血圧とMASLDの両方に良い影響を与えます。

健康診断で血圧が高いと指摘されたら、それを単独の問題と捉えず、肝機能の数値も合わせて確認し、総合的な健康管理を始めるきっかけにしてください。

痛みを伴わない脂肪肝の検査法について

MASLDの評価では、肝臓にたまった脂肪の量だけでなく、将来の肝硬変や肝がんのリスクを左右する「肝臓の硬さ(線維化)」を調べることが重要です。

自覚症状がないからこそ、客観的な検査で肝臓の状態を正確に把握する必要があります。

近年の診断技術の進歩により、体を傷つけることなく肝臓の脂肪化や線維化の程度を詳しく評価できるようになりました。
血液検査や超音波検査といった痛みを伴わない方法で、今後の治療方針を決めるための大切な情報を得られます。

血液検査でわかる肝臓の硬さ「FIB-4 index」

FIB-4 index(フィブフォー・インデックス)は、健康診断などで行う一般的な血液検査の項目から、肝臓の線維化(硬さ)の進行リスクを推定できる計算式です。

特別な採血は必要なく、以下の4つの項目があれば算出できます。

  • 年齢
  • AST(GOT)、ALT(GPT):肝臓のダメージを示す酵素
  • 血小板数

この数値によって、肝臓の線維化が進んでいるリスクが高いかどうかを簡単に評価できます。

  • 数値が低い場合:重い線維化が進んでいる可能性は低いと考えられます。
  • 数値が高い場合:線維化が進んでいる可能性があり、より詳しい検査(超音波エラストグラフィなど)や専門医への相談を検討するきっかけになります。

ただし、FIB-4 indexはあくまでリスクをふるい分けるための「目安」です。例えば、年齢が高いと数値が高めに出る傾向があるなど、結果の解釈には専門的な判断が欠かせません。
この数値だけで診断が確定するわけではありませんが、ご自身の肝臓の状態を知るための第一歩として役立つ指標といえます。

フィブロスキャンで脂肪の量と肝臓の硬さを同時に測定

フィブロスキャン検査は、肝臓にどれくらい脂肪がたまっているかを見るだけでなく、特殊な技術を用いて肝臓の「硬さ」と「脂肪の量」を数値で評価できる、痛みのない検査です。

お腹にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる装置を当てるだけで、体の中の状態をリアルタイムで観察できます。

近年の超音波装置では脂肪肝の有無がわかりましたが、フィブロスキャンでは脂肪肝の有無を見るだけでなく、次のような定量的な評価も可能です。

  • 脂肪量の数値化(CAPなど)

    肝臓にたまった脂肪の量を数値で客観的に評価します。これにより、食事や運動といった治療の効果が「数値」として目に見えてわかるため、治療を続けるモチベーションにもつながります。

  • 肝臓の硬さの測定(エラストグラフィ)

    特殊な超音波で肝臓の硬さを測定し、線維化の進行度を推定します。この数値は、将来の肝硬変や肝がんへの進行リスクを予測する上で重要な情報となります。

こうした痛みを伴わない検査法の進歩により、肝臓の状態をより詳しく、かつ安全に把握できるようになりました。
検査結果を総合的に判断し、一人ひとりに合った治療計画を立てることが、将来の深刻な肝臓病を防ぐ上で大切です。

MASLD治療の動向と新しい治療薬

MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)治療の基本は、食事や運動といった生活習慣の改善ですが、病状の進行を抑えるための新しい治療薬の開発が世界中で大きく進展しています。

これまで、MASLDや、そこから進行して肝臓に炎症や線維化が起きるMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)を直接治療する目的で承認された薬はありませんでした。しかし、MASLDが全身の代謝と深く関わることが明らかになるにつれ、治療薬の研究開発が大きく前進しています。

■ 治療の土台はあくまで生活習慣の改善

新しい治療薬が注目される一方で、治療の根幹は今も昔も変わりません。以下の取り組みが、肝臓の脂肪を減らし、病気の進行を食い止めるための重要な鍵となります。

  • 食事療法: バランスの取れた食事と適切なカロリー摂取
  • 運動療法: 有酸素運動や筋力トレーニングの習慣化
  • 体重管理: 7〜10%の体重減少を目指す
  • 併存疾患の管理: 糖尿病、脂質異常症、高血圧の適切な治療

これらの地道な努力が、回復につながる重要な要素です。

■ 期待される新しい治療薬

生活習慣の改善を続けても十分な効果が得られない場合や、線維化が進行したMASHの患者さんを中心に、薬物療法が選択肢となることがあります。

  • 甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)作動薬

    肝臓に選択的に働きかけ、脂肪の燃焼を促すことで肝臓の脂肪や炎症を改善する薬です。アメリカでは、線維化が進行したMASHの治療薬として「レスメチロム」が承認され、治療の新たな道が開かれました。

  • GLP-1受容体作動薬

    もともとは2型糖尿病の治療薬として使われてきた薬ですが、肝臓の脂肪化、炎症、線維化を改善する効果も期待されています。日本でも、MASHに対する治療選択肢として「セマグルチド」という薬剤が承認され、使用が始まっています。

  • その他の開発中の薬剤

    上記以外にも、SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)や一部の脂質代謝改善薬なども、MASLDへの効果が期待され研究が進められています。

ただし、これらの薬は全てのMASLD患者さんに使われるわけではありません。専門医が肝臓の状態、特に線維化の進行度を正確に評価した上で、一人ひとりに合わせて使用が検討されます。

薬物療法を始めた後も、治療の土台である生活習慣の改善を続けることが、回復には不可欠です。ご自身の治療方針については、必ず主治医にご相談ください。

セクション - 画像 1

脂肪肝は肝臓だけの問題ではない「多臓器連関」という考え方

MASLD(脂肪肝)は、肝臓だけの問題ではなく、全身の臓器と相互に影響しあう「多臓器連関」の視点で捉えるべき病気です。

肝臓は、食事から得た栄養をエネルギーに変えたり、体に必要な物質を合成したりする「代謝の中心」を担っています。この司令塔に異常が起きると、その影響は肝臓の中だけでは収まりません。

MASLDの根本にある代謝の乱れは、全身の血管を傷つけます。その結果、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることが知られています。

MASLDは、肝臓という一つの臓器だけでなく、以下のように全身のさまざまな臓器やシステムと複雑に絡み合っているのです。

  • 脂肪組織・筋肉・膵臓

    血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」を介して互いに影響し、2型糖尿病の発症や悪化に深く関わります。

  • 心臓・血管

    MASLDの背景にある代謝異常が動脈硬化を促し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。

  • 腎臓

    慢性腎臓病(CKD)の発症や進行にも関与すると考えられています。

  • 消化管など(肝臓以外の癌)

    大腸がんや胃がんなど、肝臓以外の癌のリスクを高める可能性も最新の診療ガイドラインで指摘されています。

  • 腸内細菌・脳

    近年では、腸内環境の乱れ(腸内細菌叢の異常)や、脳の働きとの関連も研究されています。

つまり、MASLDは肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあるだけでなく、全身の健康状態を映し出す警報ともいえます。

治療のゴールは、単に「肝臓の数値(AST, ALT)を下げる」ことではありません。体重・血圧・血糖・脂質を総合的に管理し、肝臓が硬くなる「線維化」の進行を食い止め、将来の心筋梗塞や糖尿病などを予防すること。これこそが、MASLD治療における本当の目標です。

健康診断で脂肪肝を指摘されたなら、それはご自身の体と向き合う絶好の機会です。「症状がないから大丈夫」と放置せず、ぜひ一度、消化器内科や肝臓の専門医にご相談ください。肝臓の状態だけでなく、全身の代謝バランスを評価し、あなたに合った対策を一緒に見つけていきましょう。

まとめ

脂肪肝は、肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるようにダメージが蓄積しても症状が出にくく、気づかないうちに進行する可能性があります。
この状態は全身の代謝異常が肝臓に現れた「MASLD」というサインであり、肝硬変だけでなく心筋梗塞や癌のリスクにも関連することがわかっています。
健康診断で脂肪肝を指摘されたら、それはご自身の生活習慣を見直す良い機会です。自覚症状がなくても放置せず、消化器内科や肝臓の専門医に相談し、ご自身の体の状態を正しく把握しましょう。

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本肝臓学会認定 肝臓専門医
  • 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定難病指定医

関連記事アイコン 関連記事

  • 記事はまだありません

採用情報

お問い合わせ

0422-29-3876
9:30~13:30
(土曜は9-13時)
14:30~18:30
(土曜は14-17時)
AIチャットを開く