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右下腹部がチクチク痛む原因|ストレスとの関係や注意点を解説

こちらの記事の監修医師

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

右下腹部に続くチクチクとした痛み。「ストレスや便秘のせいだろう」と自己判断し、様子を見ていませんか。その痛みは一時的な不調かもしれませんが、中には急性虫垂炎など緊急の対応が求められる病気が隠れている可能性もあります。

この記事では、右下腹部痛で考えられる原因を男女別に詳しく解説します。内科などを訪れる患者の約3割はストレスが関連するともいわれるため、見過ごせない危険なサインや、何科を受診すべきかの目安も紹介します。

ご自身の症状と照らし合わせて読み進めることで、痛みの緊急度を客観的に判断し、適切な次の一歩を踏み出せるようになるはずです。

右下腹部がチクチク痛むときに考えられる原因

右下腹部のチクチクとした痛みは、腸や尿路、婦人科系の臓器など、さまざまな原因によって起こります。

痛む場所だけで原因を一つに絞り込むことは難しく、痛みの性質(チクチク、ズキズキなど)や強さ、持続時間、ほかにどんな症状(発熱や吐き気、便通の状態など)があるかを総合的に見ていく必要があります。

軽い便秘やストレスによる一時的な不調のこともあれば、「急性虫垂炎」のように早急な対応が求められる病気が隠れていることもあります。まずはご自身の症状をよく観察し、適切な対応を考えていきましょう。

その痛み、放置は危険?受診の緊急度セルフチェック - 画像 1

【男女共通】便秘や過敏性腸症候群(IBS)

便秘で硬くなった便や腸内に溜まったガスが腸を圧迫し、右下腹部にチクチクとした痛みや張ったような不快感を引き起こすのは、よくある原因です。

また、ストレスや生活リズムの乱れをきっかけに、腹痛や便通の異常(下痢・便秘)を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性も考えられます。IBSは、血液検査や大腸カメラで調べても明らかな異常が見つからないのに、お腹の症状が続く病気です

ストレスを感じると、私たちの体は心と連動して反応します(心身相関)。腸の動きが過剰になったり、逆に動きが鈍くなったりするほか、腸が痛みを感じやすくなる(知覚過敏)ことが知られています。こうした体のメカニズムによって症状が現れるため、日常生活のストレスが症状を悪化させる一因となるのです

ただし、「ストレスや便秘のせいだろう」とご自身で判断してしまうのは危険です。痛みが強くなる、長く続く、発熱や吐き気を伴うといった場合は、ほかの病気の可能性も考えられるため、医療機関を受診してください。

【男女共通】急性虫垂炎(盲腸)

右下腹部の痛みで特に注意したいのが、一般的に「盲腸」として知られる「急性虫垂炎」です。

急性虫垂炎の痛みは、必ずしも最初から右下腹部に現れるわけではありません。

  • 初期症状:みぞおち(胃のあたり)やおへその周りの鈍い痛み
  • 時間経過後:数時間から半日ほどかけて、徐々に痛みが右下腹部へと移動していく

このような痛みの移動に加えて、発熱、吐き気、食欲がなくなるなどの症状を伴うのが特徴です。

さらに、歩いたり咳をしたりするとお腹に響くように痛む場合は、炎症がお腹全体に広がりかけているサインかもしれません。放置すると虫垂に穴が開き、命に関わる「腹膜炎」を引き起こす恐れもあります。「いつもと違う」「だんだん痛みが強くなってきた」と感じたら、様子を見ずに早めに医療機関を受診しましょう。

【男性】尿管結石や鼠径ヘルニアの可能性

男性の右下腹部痛では、泌尿器科や外科の病気も考えられます。代表的なものは次の2つです。

  • 尿管結石

    腎臓でできた石が尿管に詰まる病気です。突然、腰や脇腹から右下腹部にかけて、転げ回るほどの激しい痛みが起こることがあります。痛みは波のように強くなったり弱くなったりを繰り返し、冷や汗や吐き気、血尿を伴うことも少なくありません。

  • 鼠径(そけい)ヘルニア

    一般的に「脱腸」と呼ばれる病気で、足の付け根(鼠径部)から腸の一部が飛び出してしまう状態です。立ったときやお腹に力を入れたときに、右足の付け根あたりがポコッと膨らみ、痛みや違和感が出ることがあります。この膨らみが指で押しても戻らなくなり、強い痛みや吐き気を伴う場合は要注意です。腸が締め付けられて血流が途絶える「嵌頓(かんとん)」という危険な状態の可能性があり、緊急手術が必要になるため、すぐに医療機関を受診してください。

【女性】卵巣の病気や子宮内膜症、妊娠の可能性

女性の場合、右下腹部の痛みは婦人科系の病気が原因の可能性も十分に考えられます。生理周期と痛みが関連しているか、不正出血はないかなどを確認することが大切です。

考えられる主な病気には、以下のようなものがあります。

  • 卵巣の病気

    卵巣にできた腫瘍がねじれる「卵巣茎捻転」や、卵巣から出血する「卵巣出血」は、突然の激しい下腹部痛を引き起こします。緊急の対応が必要です。

  • 子宮内膜症

    強い生理痛のほか、生理以外の時期の腹痛、性交痛、排便痛などが特徴です。

  • 妊娠に関連する痛み

    妊娠初期の正常な子宮の成長に伴う痛みの場合もありますが、「異所性妊娠(子宮外妊娠)」のように命に関わる危険な状態も考えられます。

特に妊娠の可能性がある方で、腹痛や出血が見られる場合は、自己判断は絶対に禁物です。できるだけ早く産婦人科を受診してください。

その痛み、放置は危険?受診の緊急度セルフチェック

右下腹部のチクチクした痛みには、しばらく様子を見てもよいものと、命に関わる病気が隠れた危険なサインがあります。

これから解説する症状は、ご自身の状態を客観的に見て、受診のタイミングを見極めるための目安です。

あくまで「いつもと違う」「これはおかしい」と感じたときに、速やかに医療機関へ相談するためのサインとしてください。「きっとストレスのせいだろう」とご自身で判断するのは危険です。

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激しい痛みや冷や汗がある

脂汗が出る、顔が青ざめる、動けないなど、これまでに経験したことのないような激しい痛みは、体が発する最も強い危険信号です。

我慢できないほどの痛みは、お腹の中で緊急事態が起きているサインかもしれません。具体的には、以下のような病気が考えられます。

  • 急性虫垂炎の悪化(穿孔):虫垂に穴が開き、便がお腹の中に漏れ出している状態
  • 尿管結石:尿の通り道に石が詰まり、激痛を引き起こす
  • 腸閉塞(イレウス):腸がねじれたり詰まったりして、内容物が流れなくなっている
  • 卵巣の病気(茎捻転など):卵巣がねじれて血流が途絶え、組織が壊死しかけている

このような痛みを感じた場合は、絶対に我慢してはいけません。厚生労働省も「激しいおなかの痛み」はためらわずに救急車を呼ぶべき症状として挙げています。夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診してください。

発熱や吐き気を伴う

右下腹部の痛みに加えて37.5℃以上の熱や吐き気がある場合、それは体内で「炎症」や「感染」が起きているサインです。

特に注意したいのが急性虫垂炎(盲腸)で、みぞおちの不快感から始まり、徐々に右下腹部へ痛みが移るとともに熱や吐き気が出てくるのが典型的なパターンです。

そのほか、感染性腸炎や腎盂腎炎、女性であれば骨盤内炎症性疾患といった病気の可能性も考えられます。

市販の解熱鎮痛薬を飲むと一時的に症状は和らぎますが、根本の原因は治っていません。かえって症状が分かりにくくなり、診断の遅れにつながるリスクがあります。

また、嘔吐が続いて水分が摂れない状態は脱水症状を引き起こすため、早めに医療機関を受診しましょう。

歩くと響くような痛みがある

歩いたり、咳やくしゃみをしたりした振動で、右下腹部に「ズキン」と響くような痛みがあるなら、特に注意が必要です。

これは「腹膜刺激症状」と呼ばれ、炎症がお腹全体に広がりかけている危険なサインと考えられています。

腹膜とは、胃や腸といったお腹の臓器全体を覆っている薄い膜のことです。急性虫垂炎などが悪化してこの腹膜にまで炎症が及ぶと、わずかな体の動きや振動でも強い痛みとして感じるようになります。

ご自身で軽くその場でジャンプしたり、つま先立ちからカカトをストンと落としてみたりすると、痛みが響くかどうかで確認できます。ただし、痛みが強い場合は無理に行わないでください。

「体を動かすと痛みがひどくなる」「痛くて腰をかがめてしまう」といった症状は、緊急手術が必要になることもある「急性腹症」のサインです。様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。

痛みが続くときにすべきこと

右下腹部のチクチクした痛みが数日たっても治らない、あるいは良くなったり悪くなったりを繰り返す場合は、自己判断で様子を見るのはやめて、一度医療機関で相談しましょう。

特に、発熱や吐き気、下痢や便秘といった便通の異常を伴うときは、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。

ストレス社会といわれる現代では、体の不調の原因に心理的なストレスが関わっていることは少なくありません。実際に、内科などを訪れる患者さんのうち、3割程度はストレスが関連する「心身症」であるともいわれています

しかし、「きっとストレスのせいだろう」とご自身で結論づけてしまうのは危険です。その痛みの背景に、治療が必要な身体の病気が隠れている可能性を見逃すことにつながりかねません。まずは原因を正確に突き止めることが、回復への第一歩です。

まずは何科を受診すべき?症状別の診療科ガイド

「どの診療科に行けばいいのかわからない」と迷ったときは、まずはお近くの内科、あるいは消化器内科に相談するのがスムーズです。お腹の症状に加えて、下痢や便秘など便通の異常も気になる場合は、消化器内科が専門となります。

厚生労働省も、原因がはっきりしない体の不調は、まず「かかりつけ医」に相談することを推奨しています。かかりつけ医は、適切な専門科への橋渡しも担ってくれます。

ご自身の症状に合わせて、以下の診療科も検討してみてください。

こんな症状があるなら…この診療科を検討
・生理の時期と痛みが関係している
・不正出血やおりものの異常がある
・妊娠の可能性がある
婦人科
・血尿が出た
・排尿時に痛みがある
・腰や背中から足の付け根にかけて、波のように痛む
泌尿器科
・我慢できないほどの激しい痛み
・冷や汗が出る、意識がもうろうとする
・歩くだけでお腹に響いて痛い
・高熱が出て、ぐったりしている

救急外来

(ためらわず救急車の要請も検討してください)

痛みを悪化させない食事と生活習慣のポイント

痛みの原因がはっきりしない段階でも、腸に余計な負担をかけない生活を心がけることは、症状の悪化を防ぐために有効です。特にストレスが関わる過敏性腸症候群(IBS)などでは、生活の見直しが症状を和らげることにもつながります。

ただし、これはあくまで対症療法であり、根本的な治療ではありません。痛みが強いときや吐き気があるときは無理に食事を摂らず、医療機関の受診を優先してください。

食事で意識したいこと

  • 控えるのが望ましいもの

    脂っこい食事(揚げ物など)、香辛料を多く使った刺激の強い料理、アルコールの飲み過ぎは、消化に負担がかかったり腸の粘膜を刺激したりするため、痛みが強い時期は避けましょう。
  • 心がけたいこと

    おかゆやうどん、スープなど、温かく消化の良いものを中心に、よく噛んでゆっくり食べるのが基本です。便秘が気になる場合は、水分をこまめに摂るようにしてください。

生活習慣で見直したいこと

私たちの脳と腸は「脳腸相関」といって密接につながっており、脳が感じたストレスは、自律神経を介してすぐに腸の不調として現れることがあります

  • 十分な睡眠と休息

    まずは体を休ませ、脳の疲れを取ることが大切です。夜更かしを避け、リラックスできる睡眠環境を整えましょう。
  • 軽い運動の習慣化

    ウォーキングなど、心地よいと感じる程度の運動は、血行を促進し自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
  • ストレスを溜め込まない

    趣味に没頭する時間や、意識的に何もしない時間を作り、心と体をリセットする習慣を持つことが、不調の波を小さくする鍵となります。

医師に症状を的確に伝えるためのメモ準備

受診の際、ご自身の症状を客観的に伝えることは、正確な診断への何よりの近道です。問診で得られる情報は、血液検査やCT検査の結果と同じくらい、医師にとって重要な診断の材料となります。

体の症状の裏に、ご自身では気づいていないストレスや気分の落ち込みが隠れていることも珍しくありません。診察の限られた時間で的確に状態を伝えるために、以下の項目を参考に簡単なメモを準備しておくことをお勧めします。

【メモしておきたい項目リスト】

  • 痛みについて

    • いつから痛むか(例:3日前の夜から)
    • どこが痛むか(例:おへその周りから右下腹部に移ってきた)
    • どんな痛みか(例:チクチク、差し込むよう、波がある)
    • 痛みの強さ(例:10段階のうち、最も痛いときで7くらい)
    • どんな時に悪化するか(例:食後に強くなる、歩くと響く)
  • 痛み以外の症状

    • 熱、吐き気、下痢、便秘、血便、血尿など、気づいた症状はすべて
  • 女性の場合

    • 生理周期との関連(生理の何日目か、生理痛と違う痛みか)
    • 最後の生理はいつか、妊娠の可能性はあるか
    • 不正出血やおりものの変化
  • その他

    • 現在服用している薬(市販薬、サプリメント含む)
    • 持病(高血圧、糖尿病など)
    • 過去にかかった大きな病気や手術歴

まとめ

右下腹部のチクチクした痛みは、便秘やストレスといった身近な不調から、虫垂炎や婦人科系の病気まで、さまざまな原因で起こります。

「ただの腹痛」と軽く考えがちですが、我慢できないほどの激しい痛みや発熱、歩くと響くような症状は、緊急性の高い病気が隠れているサインかもしれません。

痛みが続いたり、いつもと違うと感じたりする場合は、「ストレスのせいだろう」と自己判断せず、まずは内科や消化器内科を受診しましょう。原因を正確に突き止めることが、安心と回復への第一歩です。

 

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本肝臓学会認定 肝臓専門医
  • 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定難病指定医
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