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大腸カメラは痛くない?不安を解消する検査の流れと対策を解説

こちらの記事の監修医師

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

大腸カメラは痛くない?不安を解消する検査の流れと対策を解説

「大腸カメラは痛くてつらい」という話を聞き、検査を受けるのをためらっていませんか?大腸がんの早期発見に重要だとわかっていても、痛みへの不安から検査を後回しにしてしまう方は少なくありません。

この記事では、検査で痛みを感じる医学的な理由を解説します。その上で、鎮静剤の使用や炭酸ガスの利用といった苦痛を和らげる具体的な対策、信頼できるクリニックの選び方まで詳しく紹介します。

読み終える頃には、検査への漠然とした不安が和らぎ、ご自身に合った方法で安心して検査に臨むための一歩を踏み出せるようになります。

大腸カメラが「痛い」と言われる3つの医学的な理由

大腸カメラで痛みを感じる主な医学的な理由は、大きく3つあります。

「大腸カメラは痛くてつらい」という話を聞いて、検査を受けるのをためらっている方もいるかもしれません。しかし、なぜ痛みを感じるのかを知ることで、漠然とした不安が和らぎ、ご自身に合った対策を考えるきっかけになります。

大腸カメラは、大腸がんやポリープを早期に発見し、場合によってはその場で治療までできる重要な検査です。怖いという印象だけで検査の機会を逃すのではなく、検査で得られるメリットと、起こりうるデメリット(偶発症)について医師とよく相談し、納得して検査を受けることが大切です。

痛みを軽減するための具体的な3つの対策 - 画像 1

理由1 腸が内視鏡で押されて伸びる痛み

内視鏡が腸の壁を内側から押し、腸管が引き伸ばされることが痛みの主な原因です。

大腸は、お腹の中で固定されず、いくつかの急なカーブを持つ、曲がりくねった臓器です。特に、お腹の左側にある「S状結腸」などはカーブがきついため、内視鏡がまっすぐに進もうとすると、腸が弓なりに伸びてしまいます。

実は、大腸の内側の粘膜自体には、痛みを感じる神経(痛覚)がありません。痛みを感じるのは、腸の外側を包んでいる「漿膜(しょうまく)」という薄い膜です。内視鏡で腸が強く押されたり、急なカーブを通過する際に引き伸ばされたりすると、この漿膜が刺激され、お腹のつっぱり感や痛みとして感じられます。

この痛みは、医師が腸をむやみに押さず、蛇腹のように丁寧に折りたたみながらスコープを進める技術(軸保持短縮法など)で、ある程度やわらげることが期待できます。

理由2 腸を膨らませる空気によるお腹の張り

検査中に腸内を観察しやすくするために送り込む空気が、お腹の張りや痛みの原因になることがあります。

普段、大腸はしぼんだ筒状の臓器です。そのままでは、粘膜のひだの裏側に隠れた小さなポリープなどを見逃してしまう可能性があります。

そこで、大腸のすみずみまで詳しく観察するために、内視鏡の先から空気を送り込んで腸をパンパンに膨らませます。このとき、腸が内側から圧迫されることで、お腹が張って苦しい感じや、痛みとして感じられるのです。このお腹の張りは、検査後もしばらく続く場合があります。

現在では、空気の代わりに体への吸収が非常に速い「炭酸ガス」を使用する医療機関が増えています。炭酸ガスを使うと、検査中や検査後のお腹の張りが大幅に軽くなり、苦痛を少なくできます。

理由3 過去の手術によるお腹の中の癒着

過去の腹部手術などが原因で生じた、お腹の中の「癒着(ゆちゃく)」が痛みを引き起こす場合があります。癒着とは、本来は離れているはずの臓器や組織が、手術や炎症の影響でくっついてしまう状態のことです。

例えば、以下のようなご経験がある方は、お腹の中に癒着がある可能性があります。

  • 帝王切開や子宮筋腫などの婦人科系の手術
  • 虫垂炎(盲腸)や胆のうの手術
  • 過去に腹膜炎を起こしたことがある
  • 子宮内膜症と診断されている

癒着があると腸の動きが制限され、固定されてしまうため、内視鏡が通過する際にくっついた部分が強く引っ張られ、痛みを感じやすくなることがあります。

ご自身で癒着の有無を判断するのは困難です。痛みを軽減する対策を考えるうえで重要な情報となりますので、過去に手術歴や関連する病気の経験がある方は、検査前の問診で必ず医師にお伝えください。

痛みを軽減するための具体的な3つの対策

大腸カメラの痛みの原因となる「スコープで腸が伸びる痛み」や「空気がたまる張り」には、有効な対策があります。これらを患者さん一人ひとりの体の状態や不安の大きさに合わせて適切に組み合わせることで、検査の苦痛は大幅に軽減できます。

対策1 ウトウトしている間に終わる「鎮静剤」の使用

鎮静剤を使えば、うとうとと眠っているようなリラックスした状態で検査を受けられます。

「痛かったらどうしよう」という強い不安や緊張は、無意識に体に力を入れさせ、腸を硬くしてしまいます。その結果、スコープがスムーズに進みにくくなり、かえって痛みを感じやすくなることがあります。鎮静剤は、この心身の緊張を和らげるための大切なお薬です。

とくに、以下のような方には鎮静剤の使用を検討することをおすすめします。

  • 検査に対する不安や恐怖心が人一倍強い
  • 過去の大腸カメラでつらい思いをした経験がある
  • 痛みに敏感で、少しの刺激でも苦痛に感じやすい
  • お腹の手術歴があり、腸の癒着によって痛みが出やすいと予想される

当院では、患者さんの年齢や体格、その日の体調に合わせて薬剤の種類や量を細かく調整します。検査中も血圧や呼吸の状態を常に監視し、安全を最優先に進めます。

ただし、検査後は眠気やふらつきが残るため、当日の車・バイク・自転車の運転はできません。公共交通機関をご利用いただくか、ご家族に送迎をお願いしてください。

対策2 お腹の張りを大幅に軽減する「炭酸ガス」の利用

検査中や検査後のお腹の張りを楽にするには、腸を膨らませる際に空気の代わりに「炭酸ガス(CO2)」を使う方法が効果的です。

大腸の粘膜にある無数のひだの裏側まで詳しく観察するためには、腸を十分に広げる必要があります。その際、通常の空気を送り込むと、検査後もお腹の中に空気が残ってしまい、パンパンに張る不快感や痛みの原因となっていました。

一方、炭酸ガスは空気と比べて約200倍も速く腸の壁から吸収され、呼吸と共に自然に体外へ排出される性質があります。このため、炭酸ガスを使えば検査中のお腹の張りが少なく、検査が終わった後の不快感も大幅に軽減されます。

お腹が張りやすい方や、検査後はできるだけ早く普段の生活に戻りたい方にとって、炭酸ガスの使用は生活の質(QOL)を保つ上で大きなメリットとなります

対策3 スムーズな挿入を可能にする「細径スコープ」の選択

腸の曲がりが強い方や、過去の手術で癒着が心配な方には、通常より細い「細径スコープ」を使うことで、挿入時の負担を軽減できる場合があります。

とくに女性や小柄な方は、腸が複雑に曲がっていることが少なくありません。また、帝王切開や虫垂炎などの手術歴があると、腸が周りの組織とくっついて(癒着して)動きにくくなっている可能性が考えられます。

このような場合、従来の内視鏡よりも細くしなやかな細径スコープを用いることで、狭い部分や急なカーブもスムーズに通過しやすくなります。スコープが腸壁を強く押すことによる痛みを減らすことが期待できるのです。

ただし、必ずしも細いスコープがすべての方にとって最適とは限りません。医師は、患者さんの状態を的確に判断し、観察や処置の内容に応じて、硬さを変えられる「硬度可変スコープ」なども含めて適したスコープを選択します。負担が少なく、かつ精度の高い検査につなげることが最も重要です。

鎮静剤(麻酔)に関するよくある質問

大腸カメラで使う鎮静剤について、患者さんからよくいただく質問にお答えします。

「麻酔」と聞くと、手術で使うような大がかりなものを想像して不安になる方もいるかもしれません。しかし、大腸カメラで用いるのは、意識を完全になくす「全身麻酔」とは異なります。

あくまでウトウトと浅く眠ったようなリラックスした状態で検査を受けるための「静脈内鎮静法」という方法です。ここでは、鎮静剤の種類や費用、検査後の注意点などを具体的に解説します。

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鎮静剤の種類と効果、副作用は?

大腸カメラで使う鎮静剤は、主に不安を和らげたり眠気を誘ったりする薬で、検査中の苦痛を大幅に軽減する効果があります。

当院では、患者さんの年齢や体格、その日の体調に合わせて、使用する薬剤の種類や量をきめ細かく調整します。

期待できる効果

  • 検査に対する強い不安や緊張が和らぐ
  • スコープの挿入による痛みやお腹の張りを感じにくくなる
  • ウトウトしている間に検査が終わり、検査自体を覚えていないことが多い(健忘効果)

起こりうる副作用

  • 検査後の眠気やふらつき
  • まれに血圧が下がったり、呼吸が浅くなったりする
  • ごくまれに薬剤に対するアレルギー反応

もちろん、安全に検査を終えることが何よりも重要です。検査中は血圧計や血中酸素飽和度モニターを常に装着し、万が一、体の状態に変化があってもすぐに対応できる体制を整えています。

鎮静剤の使用には、ごくまれに偶発症が起こる可能性もゼロではありません。しかし、検査を楽に受けていただくことで、病気の早期発見という大きなメリットにつながります。検査で得られる利益と不利益を医師とよく相談し、納得したうえで検査を受けることが大切です

費用はいくらかかる?保険は適用される?

鎮静剤を使った大腸カメラは、医師が医学的に必要と判断した場合、健康保険が適用されます。

大腸カメラの費用は、主に以下の要素の組み合わせで決まります。

  • 基本の検査料:大腸の内部を観察するのみの場合
  • 追加の処置料:組織を採取する生検や、ポリープを切除した場合
  • 薬剤費:使用した鎮静剤など

3割負担の場合の自己負担額の目安は、下表のとおりです。

検査内容費用(3割負担の目安)
観察のみ約6,000円~9,000円
生検(組織検査)を実施約10,000円~15,000円
ポリープ切除を実施約20,000円~30,000円

上記はあくまで目安です。切除するポリープの数や大きさによって費用は変動します。詳しい費用については、受診されるクリニックへ事前にお問い合わせください。

検査後、車の運転はできる?

鎮静剤を使用した当日は、安全のため、ご自身での車・バイク・自転車の運転は絶対にできません。

検査が終わって目が覚めても、ご自身では「大丈夫」と感じていても、鎮静剤の影響で眠気やふらつき、判断力の低下がしばらく続くことがあります。この状態で運転すると、とっさの反応が遅れて事故につながる危険性が高まります。

検査当日は、以下のいずれかの方法でお帰りください。

  • 電車やバスなどの公共交通機関を利用する
  • タクシーを呼ぶ
  • ご家族に送迎を依頼する

また、運転だけでなく、危険を伴う作業や重要な契約、飲酒も避けていただく必要があります。

大腸カメラは、がんの早期発見はもちろん、その後の治療方針を決める上でも非常に重要な検査です。安全に検査を終え、安心して日常に戻るためにも、検査後の注意点を必ず守っていただくようお願いいたします。

痛み以外に辛いこととその対策

大腸カメラの負担は、検査中の痛みだけではありません。検査前の下剤、検査中の羞恥心、検査後のお腹の張りなど、さまざまな段階でつらさを感じることがあります。

しかし、これらの負担は事前の準備や医療機関側の工夫で大きく和らげられます。安心して検査に臨むために、具体的な対策を一つひとつ確認していきましょう。

飲むのが大変な下剤(前処置薬)を楽にする工夫

大腸内を空っぽにするために飲む約1〜2リットルの下剤(前処置薬)の量や味がつらい、という声は少なくありません。この負担は、下剤の種類を選んだり、飲み方を工夫したりすることで軽くできます。

最近では、患者さんの負担を減らすためにさまざまな種類の下剤が開発されています。

下剤を楽に飲むための工夫

  • 下剤の種類の変更を相談する

    • 液体をたくさん飲むのが苦手な方には、水やお茶で服用できる錠剤タイプの下剤もあります。
    • 液体タイプにもレモン風味など、味が改良されたものが出ています。
  • 飲み方を工夫する

    • キンキンに冷やして飲むと、味が感じにくくなり飲みやすくなります。
    • 一度にがぶ飲みせず、コップ1杯を10〜15分ほどかけて、ご自身のペースでゆっくり飲みましょう。
    • 途中で透明な飴をなめたり、水やお茶(色の濃い麦茶や緑茶は避ける)で口直しをしたりするのも有効です。
  • 前日の食事を工夫する

    • 検査前日は、おかゆや素うどん、白身魚、豆腐といった消化の良い食事を心がけてください。腸への負担が減り、下剤の効果も出やすくなります。

ご自身の体質や過去の経験(「前回の下剤が合わなかった」など)を遠慮なく医師に伝え、最適な前処置の方法を一緒に見つけることが大切です。

検査時の服装や体勢など羞恥心への配慮

「お尻を見せるのが恥ずかしい」という気持ちは、検査を受けるうえで大きなハードルになりがちです。多くの医療機関では、患者さんのプライバシーと羞恥心に配慮した環境づくりに努めていますので、過度な心配はいりません。

主なプライバシーへの配慮

  • 専用の検査着:お尻の部分にだけ切れ込み(スリット)が入っている専用の検査用パンツを着用します。検査に不要な部分の露出は最小限に抑えられます。
  • タオルの使用:検査台に横になった後、体の上にバスタオルなどをかけてくれるため、直接肌が見えることはほとんどありません。
  • 検査環境の工夫:カーテンでしっかりと仕切られた空間で検査を行ったり、男女別の待合室やリカバリールームを用意したりしている施設もあります。
  • スタッフの対応:クリニックによっては、女性医師や女性スタッフによる検査を選択できます。不安が強い方は、予約の際に気兼ねなく相談してみましょう。

安心して検査に臨める環境は、病気の早期発見という大きなメリットにつながります。医療機関側も、患者さんの生活の質(QOL)に配慮した環境づくりを重視しています

検査後のお腹の張りはいつまで続く?

検査後のお腹の張りは、腸を膨らませたガスの種類によりますが、通常は数時間から当日中には楽になります。

腸の細かいヒダの裏側まで見逃さずに観察するため、検査中は腸を風船のように膨らませる必要があります。このガスが、検査後の張りの主な原因です。

お腹の張りを早く解消するポイント

  • 炭酸ガス(CO2)の使用

    当院では、空気の代わりに体への吸収が約200倍も速い炭酸ガスを使用しています。炭酸ガスは速やかに腸から吸収され、呼吸とともに自然に排出されるため、検査後のお腹の張りが大幅に軽くなります。
  • おならを我慢しない

    検査後は、おならを我慢しないことが大切です。トイレに行ったり、院内を少し歩いたりするとガスが出やすくなり、楽になります。

ほとんどの場合、お腹の張りは一時的なものですが、帰宅後も我慢できないほどの強い腹痛が続いたり、熱が出たり、血便が見られたりする際は、すぐに検査を受けた医療機関へ連絡してください。専門医は、検査の精度だけでなく、こうした体への負担をできるだけ抑えることも重視して対応しています

医師の技術で痛みは変わる?上手な医師・クリニックの見分け方

大腸カメラの苦痛は、検査を担当する医師の技術や施設の考え方によって大きく変わります。内視鏡をいかに腸に負担をかけずに、スムーズに一番奥まで挿入できるかが、痛みを左右するからです。

大腸は、お腹の中で固定されておらず、人によって長さや曲がり方も千差万別です。そのため、ただ力任せにスコープを押すだけでは腸が伸びてしまい、強い痛みにつながります。

安心して検査を受けるためには、ご自身の不安に寄り添い、質の高い検査を提供してくれる医師・クリニックを見極めることが何よりも大切です。

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を確認する

医師の技術力や経験を客観的に判断する目安の一つが、「日本消化器内視鏡学会専門医・指導医」の資格です。

この資格は、内視鏡に関する高度な専門知識と豊富な経験を持ち、厳しい基準をクリアした医師だけに与えられるものです。資格を持つ医師は、腸を不必要に伸ばさず、蛇腹のようにたたみ込みながらスコープを進める「軸保持短縮法」などの高度な技術を習得している可能性が高いといえます。

とくに、大腸がんの発見や治療のように専門性が求められる領域では、経験豊かな専門医が検査を行うことが、患者さんの体への負担を減らし、生活の質(QOL)を保つ上でとても重要です

クリニックのウェブサイトなどで、担当医師がこの資格を持っているかを確認してみましょう。

クリニックの年間検査件数をチェックする

クリニックが年間にどれくらいの検査を行っているかも、経験値を測るうえで参考になる指標です。

検査件数が多いということは、それだけ多くの患者さんを診てきた証であり、さまざまな状況に対応できるノウハウが蓄積されていると考えられます。前述のとおり、大腸の形は一人ひとり異なるため、多様なケースを経験している医師ほど、個々の患者さんに合わせた柔軟な対応が期待できます

一般的に、多くの検査を行っている施設には次のような傾向があります。

  • 鎮静剤の量や種類をきめ細かく調整するノウハウが豊富
  • 炭酸ガス送気装置など、苦痛を軽減する設備が整っている
  • ポリープ切除などの追加処置にも慣れている
  • 万が一の合併症にも迅速に対応できる体制がある

ウェブサイトなどで検査実績を公開している施設も多いため、クリニック選びの一つの判断材料として確認することをおすすめします。

事前の説明が丁寧で質問しやすいか

検査前の説明がどれだけ丁寧で、患者からの質問に真摯に答えてくれるかは、信頼できるクリニックを見分けるための重要なポイントです。

技術や設備といったハード面はもちろん大切ですが、患者さん一人ひとりの不安に寄り添う姿勢も欠かせません。

  • 過去の検査でつらい経験をした
  • お腹の手術歴があり、癒着が心配
  • 下剤を飲むのがとにかく苦手

こうした個別の不安に対し、どのような工夫で苦痛を軽くできるのか、具体的な選択肢(鎮静剤の有無、下剤の種類など)を示しながら一緒に最善の方法を探してくれる。そんなクリニックであれば、安心して検査を任せられるはずです。

ご自身が納得して検査に臨むことが、病気の早期発見という検査本来の目的を達成するための第一歩となります。

ポリープが見つかったら?その場で切除する場合も痛くない?

大腸カメラの検査中にポリープが見つかっても、その場で切除する場合に痛みを感じることはほとんどありません。

大腸の粘膜には痛みを感じる神経(痛覚)がほとんどないため、切除自体に痛みは伴わないのです。検査と同時に治療までできることは、改めて別の日に治療を行う必要がなく、患者さんの体や時間的な負担を大きく減らすことにつながります。

大腸カメラは、単に病気を「見つける」だけの検査ではありません。将来がんになる可能性のあるポリープをその場で切除する「低侵襲治療」であり、その後の治療方針を決める上でも極めて重要な役割を担っています

ただし、ポリープの大きさや数、できている場所、あるいは血液をサラサラにするお薬を飲んでいるかといった条件によっては、安全を最優先し、後日入院での治療をご提案する場合もあります。

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大腸ポリープ切除の流れと方法

大腸ポリープの切除は、内視鏡の先端から「スネア」という輪っか状の細いワイヤーを出し、ポリープの根元に引っかけて切り取るのが基本的な方法です。

大腸がんの多くは、良性のポリープが時間をかけてがん化することで発生します。そのため、がんの芽となる可能性のあるポリープを検査の段階で切除することは、将来の大腸がんを予防するための、非常に有効な手段といえます

切除の方法は、ポリープの大きさや形に応じて、主に以下の方法を使い分けます。

切除方法特徴対象となるポリープの例
コールドポリペクトミー・電気を使わず、スネアで締め付けて物理的に切り取る
・熱による組織へのダメージがなく、切除後の出血などのリスクが低いとされる
・比較的小さなポリープ(目安として10mm未満)
内視鏡的粘膜切除術(EMR)・ポリープの根元に液体を注入して粘膜ごと浮き上がらせる
・浮き上がった部分にスネアをかけ、高周波電流で焼き切る
・少し大きめのポリープ
・平坦な形でそのままでは切り取りにくいポリープ

切除したポリープはすべて回収し、がん細胞が含まれていないかを顕微鏡で詳しく調べる「病理検査」に提出します。この検査結果は、追加の治療が必要かどうかを判断するための重要な手がかりとなります

切除後は、まれな出血などを防ぐために、1週間程度は飲酒や激しい運動、長時間の入浴、遠方への旅行などを控えていただく必要があります。

切除そのものに痛みを感じない理由

ポリープを切除する際に痛みを感じないのは、胃や大腸の内側をおおう「粘膜」という部分に、痛みを感じる神経(痛覚)がほとんど分布していないからです。

私たちが皮膚をつねられると痛いのは、皮膚の表面に痛覚神経がびっしりと張り巡らされているためです。一方、大腸の粘膜は食べ物から水分や栄養を吸収することが主な役割であり、体の表面の皮膚とはもともと構造が異なります。

そのため、スネアでポリープを切り取ったり、電気で焼いたりしても、熱さや痛みとして脳に伝わることはありません。鎮静剤を使用している場合は、ウトウトとリラックスした状態ですので、さらに刺激を感じることはないでしょう。

ただし、ポリープ切除は医療行為であり、ごくまれにですが、切除後に出血したり、腸に穴が開いたり(穿孔)する合併症が起こる可能性はゼロではありません。そうした場合、腸の外側を包んでいる「腹膜」が刺激されて、強い痛みを感じることがあります。

もし、検査から帰宅した後に、今までに経験したことのないような強い腹痛や、治まらないお腹の張り、発熱、大量の血便などが見られた場合は、合併症のサインかもしれません。ためらわずに、すぐに検査を受けた医療機関へご連絡ください。

まとめ

大腸カメラの痛みは、鎮静剤の使用やクリニックの設備、医師の技術といった対策を組み合わせることで大幅に軽減できます。
スコープによる圧迫や検査に使うガスが痛みの主な原因ですが、炭酸ガスの利用や専門医による負担の少ない挿入法で対処が可能です。
検査前の下剤の工夫や羞恥心への配慮も進んでいます。

大腸カメラは、がんの早期発見・治療につながる重要な検査です。
不安や疑問を一人で抱え込まず、まずは専門のクリニックに相談し、ご自身に合った検査方法を見つけることから始めてみましょう。

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本肝臓学会認定 肝臓専門医
  • 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定難病指定医
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