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血便の画像で見る危険なサイン|考えられる病気と受診の目安を解説

こちらの記事の監修医師

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

血便の画像で見る危険なサイン|考えられる病気と受診の目安を解説

突然の血便に驚き、不安を感じていませんか。「いつもの痔だろう」と思いつつも、重大な病気のサインかもしれないと心配になりますよね。血便の原因は年代や性別によっても異なり、特に40代からは大腸がんのリスクが高まるとされています。

この記事では、便の色や状態でわかる危険なサインを、実際の画像を用いて解説します。鮮血便やタール便など種類別に考えられる病気や、すぐに病院を受診すべき緊急性の高い症状も詳しく紹介するため、ご自身の状況と照らし合わせられます。

読み終えれば、ご自身の血便の危険度や、受診の緊急性が判断できます。不安を解消し、適切なタイミングで専門医に相談するための、次の一歩が見えてくるはずです。

【画像で確認】血便の種類と危険度セルフチェック

血便と一言でいっても、その色や性状はさまざまです。出血した場所から肛門までの距離が遠いほど、血液は黒っぽく変化します。

つまり、便の色や状態を観察することは、消化管のどこでトラブルが起きているのかを推測する上で、非常に重要な手がかりとなります。

ご自身の便がどのタイプに近いかを確認し、受診するべきかどうかの目安にしてください。ただし、見た目だけで病気を特定することはできないため、気になる症状があれば必ず専門医に相談することが大切です。

血便の色や性状から考えられる病気一覧 - 画像 1

便器が真っ赤になる鮮血便

便器の水が真っ赤に染まるほどの出血は、肛門に近い「直腸」や「S状結腸」といった場所から、ある程度まとまった量の出血が起きているサインです。出血してから排泄されるまでの時間が短いため、血液が酸化せず、鮮やかな赤色のまま出てきます。

考えられる主な病気には、大腸の壁にできたポケット状のくぼみから出血する「大腸憩室出血」や、血流が悪化して腸が炎症を起こす「虚血性腸炎」などがあります。大きないぼ痔(内痔核)からの出血でも、同様の症状が見られることがあります。

痛みがない場合でも、出血量が多いこと自体が危険な状態です。急激な貧血によって、めまい、ふらつき、動悸、意識が遠のくといった症状につながるおそれがあります。このような場合は緊急性が高いため、ためらわずに速やかに医療機関を受診してください。

トイレットペーパーに付着する少量の鮮血

排便後、紙で拭いたときに少量の鮮やかな血が付く場合、その多くは「切れ痔(裂肛)」や「いぼ痔(痔核)」といった肛門そのものや、ごく近い部分からの出血と考えられます。

  • 切れ痔(裂肛):硬い便の通過などで肛門の皮膚が切れる。排便時に強い痛みを伴うことが多い。
  • いぼ痔(痔核):肛門周辺の血管がうっ血してできる。排便時に痛みなく出血することが多い。

これらの出血は少量で止まることがほとんどですが、「いつもの痔だろう」という自己判断は危険です。ごくまれに、肛門近くにできた「直腸がん」の初期症状である可能性も否定できません。

出血が続く、血の量が増えたなど、普段と違う症状を感じる場合は、一度ご自身の状態を正確に把握するためにも、消化器内科や肛門科で診察を受けることをお勧めします。

イチゴジャムのような粘液と混ざった血便(粘血便)

イチゴジャムやゼリーのように、ドロッとした粘液(粘膜)と血液が混じり合った便は「粘血便」と呼ばれます。これは、大腸の粘膜で炎症が起きていることを示唆するサインです。

腸の粘膜が炎症で傷つき、そこから剥がれ落ちた組織や血液などが便に混ざることで、このような状態になります。

代表的な病気として、腸に慢性的な炎症が起こる「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」といった炎症性腸疾患(IBD)が挙げられます。特に潰瘍性大腸炎ではこの粘血便が特徴的で、直腸の炎症が強いと、頻繁に便意を感じてトイレに駆け込みたくなる「便意切迫感」や、排便後もスッキリしない「残便感」を伴うこともあります

その他、細菌やウイルスによる「感染性腸炎」や「大腸がん」でも粘血便が出ることがあります。腹痛や下痢、発熱などの症状を伴う場合や、粘血便が続く場合は、放置せずに消化器内科にご相談ください。

赤黒い・暗赤色の血液が混ざった便

レンガ色やワインレッドのような、暗い赤色の血液が便に混ざっている場合、出血源は肛門から比較的離れた大腸の奥(横行結腸や上行結腸など)にある可能性が考えられます。

出血した血液が、長い大腸を通過する間に、便と混ざり合いながら時間をかけて酸化することで、鮮やかな赤色から暗い色へと変化するためです。

このタイプの血便が見られる病気には、「大腸がん」や「大腸ポリープ」、出血場所によっては「大腸憩室出血」や「虚血性腸炎」などがあります。

特に注意したいのが、腹痛などの自覚症状がないのに、この色の血便がみられるケースです。大腸がんの重要なサインである可能性も考えられますので、症状に気づいたら放置せず、速やかに消化器内科を受診し、大腸カメラなどの精密検査を検討しましょう。

黒くドロドロした便(タール便)

イカ墨や海苔の佃煮のような、黒くドロドロとした便は「タール便(黒色便)」と呼ばれ、数ある血便の中でも特に緊急性が高い危険なサインです。

この便は、食道・胃・十二指腸といった「上部消化管」で出血が起きていることを強く示唆します。出血した血液が、強酸である胃酸にさらされることで、赤血球のヘモグロビンが「ヘマチン」という黒い物質に変化するため、このような色になります。特有の生臭いにおいがするのも特徴です。

原因としては、「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」、「胃がん」などが考えられます。一般的に60ml以上のまとまった出血がなければタール便にはならないとされ、体内で相当量の出血が起きている証拠といえます。

めまいや立ちくらみ、冷や汗、動悸といった貧血症状を伴うことも多く、命に関わる状態の可能性もあります。タール便に気づいた場合は、様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください。

血便の色や性状から考えられる病気一覧

血便の色や性状は、出血している場所を推測する上で重要なヒントになります。一般的に、鮮やかな赤色ほど肛門に近く、黒くなるほど胃や十二指腸といった肛門から遠い場所からの出血が考えられます。

ただし、出血量や血液が腸内にとどまっていた時間の長さによっても色は変化するため、見た目だけで病気を特定することはできません。正確な診断には、専門医による診察と検査が不可欠です。

鮮血便の場合(痔・大腸憩室出血・虚血性腸炎など)

便の表面に血が付いていたり、排便後に便器の水が鮮やかな赤色に染まっていたりする場合、肛門や直腸など、消化管の出口に近い部分からの出血が考えられます。

  • 痔(いぼ痔・切れ痔)

    鮮血便で最も多い原因です。排便時のいきみなどが引き金となり、痛みやかゆみを伴うこともあります。しかし、「いつもの痔だろう」という自己判断は危険です。ごくまれに直腸がんのサインである可能性も否定できません。

  • 大腸憩室(けいしつ)出血

    大腸の壁にできた「憩室」というポケット状のくぼみにある血管が破れて出血します。多くの場合、痛みはなく、突然まとまった量の鮮血便が出ることが特徴です。

  • 虚血性(きょけつせい)腸炎

    大腸への血流が一時的に悪化することで腸の粘膜が炎症を起こす病気です。突然の強い腹痛の後に、下痢や血便が出ることが多いです。

粘血便の場合(潰瘍性大腸炎・クローン病・感染性腸炎など)

血液と粘液が混じりあったイチゴジャムのような便は「粘血便」と呼ばれ、大腸の粘膜で炎症が起きているサインです。下痢や腹痛を伴うことが多く、専門的な治療が必要になるため注意しましょう。

  • 炎症性腸疾患(IBD)

    免疫システムの異常によって、腸に慢性的な炎症が起こる病気の総称です。「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」がこれにあたり、特に10〜30代の若い世代での発症が目立ちます。下痢や腹痛、発熱、体重減少などの症状を繰り返すことが特徴です。

  • 感染性腸炎

    カンピロバクターやサルモネラといった細菌、あるいはノロウイルスなどへの感染が原因で起こる、いわゆる「食中毒」です。激しい下痢や腹痛、嘔吐、発熱を伴うことがあります。

  • 薬剤性腸炎

    抗生物質などの一部の薬剤によって腸内環境のバランスが崩れ、炎症が引き起こされることもあります。

暗赤色便・黒色便の場合(大腸がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)

暗い赤色や黒っぽい便は、消化管の奥深くで出血している可能性を示唆する、特に注意が必要なサインです。

  • 暗赤色便(大腸がん・大腸ポリープなど)

    レンガ色やワインレッドのような暗赤色の便は、大腸の奥(上行結腸や横行結腸など)で出血しているサインです。出血してから排泄されるまでに時間がかかるため、血液が変色して暗い赤色になります。

    特に注意すべきなのが大腸がんです。ある程度進行したがんでは、血便のほかに便秘や下痢、おなかの張りといった症状が現れることがあります。しかし、早期の大腸がんでは自覚症状がほとんどないことも少なくありません。痛みなどの症状がないからといって放置せず、速やかに消化器内科を受診してください。

  • 黒色便(タール便)(胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)

    イカ墨や海苔の佃煮のように、黒くドロドロとした便は「タール便」と呼ばれます。これは、胃や十二指腸などの上部消化管で出血が起きていることを強く示唆するサインです。

    出血した血液が強酸性の胃酸によって酸化され、黒く変色することでタール便となります。みぞおちの痛みや胸やけを伴う「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」のほか、「胃がん」などが原因として考えられます。タール便が出るほどの出血は量が多いことを意味し、命に関わる状態の可能性もあります。気づいた場合は様子を見ずに、すぐに医療機関を受診しましょう。

こんな症状は危険なサイン|すぐに病院を受診すべきケース

血便の色や量にかかわらず、「いつもの痔だろう」という自己判断は禁物です。特に、これからご紹介する症状を伴う場合は、消化管で深刻なトラブルが起きているサインかもしれません。命に関わる病気が隠れている可能性もあるため、一つでも当てはまれば、ためらわずに医療機関を受診してください。

大量の出血や、血便が何度も続く

便器の水が真っ赤に染まる、レバーのような血の塊が出る、といった大量の出血は、消化管で活発な出血が続いている危険なサインです。

このような出血は、大腸の壁にできたポケット状のくぼみから突然出血する「大腸憩室出血」や、腸の血流が悪くなる「虚血性腸炎」などで見られます。

出血が続くと体内の血液が急激に失われ、血圧が低下し、意識を失うといったショック状態に陥るおそれがあります。一度きりの出血でも量が多い、あるいは少量でも何度も繰り返す場合は、様子を見ずに速やかに医療機関を受診しましょう。夜間や休日であっても、救急外来の受診をためらわないでください。

激しい腹痛、吐き気、嘔吐を伴う

血便に加えて、冷や汗が出るほどの激しい腹痛や吐き気、嘔吐がある場合は、緊急性の高い状態と考えられます。

腸がねじれたり、ふさがったりする「腸閉塞」や、腸に穴が開いてしまう「腸穿孔(ちょうせんこう)」など、緊急手術が必要な病気の可能性があります。

例えば、大腸がんが大きくなると腸の中が狭くなり、便が通りにくくなることがあります。特に肛門に近いS状結腸や直腸にがんができた場合、便の通過障害が起こりやすく、激しい腹痛や嘔吐につながることがあります

その他、感染性腸炎などでも同様の症状は起こりえますが、急激に状態が悪化するリスクがあるため、「少し休めば治るかも」と我慢せず、直ちに医療機関を受診することが大切です。

めまい、ふらつき、冷や汗、動悸がある(貧血症状)

血便とともに、次のような症状がある場合は、出血による貧血がかなり進行しているサインであり、非常に危険な状態です。

  • 立ち上がったときのめまい、ふらつき
  • 急に顔色が悪くなる、冷や汗をかく
  • 少し動いただけでの動悸、息切れ

これらの症状は、体内の血液量が減少し、脳や心臓といった生命維持に不可欠な臓器に十分な酸素が届いていないことを示しています。これは、命に関わる「出血性ショック」の一歩手前の状態かもしれません。

見た目の出血は少なくても、体の奥で見えない出血が続いている可能性もあります。特に、大腸の奥(盲腸や上行結腸)にできたがんは腹痛などの症状が出にくく、気づかないうちに慢性的な出血が続いて貧血で見つかるケースも少なくありません

貧血症状を伴う場合は、出血量にかかわらず緊急事態です。ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに救急外来を受診してください。

原因不明の体重減少や食欲不振がある

ダイエットをしているわけでもないのに、この数カ月で体重が減り続けている、あるいは急に食欲がなくなったという場合、その背景に病気が隠れている可能性があります。

これらの症状は、がんや慢性的な炎症によって、体が気づかないうちにエネルギーを大量に消耗しているサインかもしれません。

特に、進行した大腸がんは、がん細胞が体の栄養を奪ったり、消化吸収の働きを妨げたりすることで、食欲不振や体重減少を引き起こすことがあります

また、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患でも、腸の活発な炎症によって栄養をうまく吸収できず、体重が減ることがあります。

血便に加えてこれらの症状がある場合は、病気が進行している可能性も考えられます。放置せずに、できるだけ早く消化器内科で専門医による詳しい検査を受けましょう。

血便で病院に行く前に知っておきたいこと

血便に気づいたとき、的確な診断を受けるためには、受診前のちょっとした準備がとても大切になります。どの診療科にかかるべきか、そして医師に症状をどう伝えればよいかを事前に知っておくことで、診療がスムーズに進み、ご自身の不安も軽くなります。

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何科を受診すればいい?消化器内科?肛門科?

血便の症状に気づいたら、まずは「消化器内科」を受診してください。

血便の原因として最も多いのは痔ですが、「いつもの痔だろう」という自己判断が、大腸がんや潰瘍性大腸炎といった重大な病気の発見を遅らせてしまうケースは少なくありません。

消化器内科は、口から食道、胃、小腸、大腸、そして肛門まで、食べ物の通り道すべてを専門とする診療科です。そのため、大腸カメラ(内視鏡検査)を用いて、出血の原因がどこにあるのかを直接観察し、正確に突き止めることができます。

もし出血の原因が痔であったとしても、消化器内科で診断は可能です。一方で、症状から明らかに痔が原因だと確信できる場合(例えば、排便時に紙で拭くと少量の血が付くだけで強い痛みがあるなど)は、肛門科も選択肢になります。

しかし、ご自身の判断で原因を特定するのは困難です。重大な病気を見逃さないためにも、まずは消化管全体を広く診ることができる消化器内科で相談することをお勧めします。

診察で医師に何を伝えればいい?症状の伝え方メモ

正確な診断には、患者さんからの情報が何よりの手がかりとなります。診察の際に慌ててしまわないよう、事前にスマホのメモ機能などに以下の内容を記録しておくことをお勧めします。

1. 血便そのものの状態

医師が最も知りたい、出血源を推測するための情報です。

  • いつから:初めて気づいたのはいつか(例:昨日から、1週間前から)
  • 頻度:排便のたびに出るか、時々か
  • 色と量
    • 便器が真っ赤になる鮮血か、レンガのような暗い赤色か、海苔の佃煮のような黒い便か
    • トイレットペーパーに付くだけか、便器の水が染まるほどか
  • 混ざり方:便の表面に付いているか、全体に混ざっているか、イチゴジャムのような粘液と一緒か

2. 血便以外の症状

血便とあわせて起こっている症状は、病気を特定する上で重要なヒントになります。

  • 腹痛、下痢、便秘、お腹の張り
  • 発熱、吐き気、めまい、ふらつき
  • 原因不明の体重減少、食欲不振

3. ご自身の背景

治療方針を決める上で欠かせない情報です。

  • 服用中の薬:特に血液をサラサラにする薬(抗凝固薬、抗血小板薬)や痛み止め(NSAIDs)は出血に直接関わることがあります。
  • これまでの病気や手術歴
  • 家族歴:ご家族に大腸がんや大腸ポリープになった方がいるか

症状がない場合でも、厚生労働省は40歳以上の方に定期的な大腸がん検診(便潜血検査)を推奨しています。血便という明確なサインが出ている場合は、年齢にかかわらず、ためらわずに専門医に相談してください。

大腸カメラは本当に痛い?検査の流れ・費用・不安を解消

血便の原因を正確に突き止めるために最も確実な検査が、大腸カメラです。「痛そう」「下剤を飲むのがつらそう」「費用はどれくらい?」といった不安から、検査をためらってしまう方も少なくありません。

しかし、専門医による鎮静剤の使用や適切な準備により、多くの方が想像するよりも楽に検査を受けられます。ここでは、そうした不安や疑問を一つひとつ解消していきます。

鎮静剤(麻酔)で眠っている間に検査は終わる?

はい、鎮静剤(麻酔)を使用することで、ほとんどの方がうとうとと眠っているようなリラックスした状態で検査を終えられます。

「お腹が張って苦しい」「痛い」といった大腸カメラへの不安は、鎮静剤によって大幅に和らげることができます。点滴からお薬を入れると数分で眠気を感じはじめ、ウトウトしている間に15〜20分ほどの検査は終了します。多くの方は検査中のことをほとんど覚えていません。

当院では消化器内視鏡の専門医が、お腹の張りや痛みに配慮し、一人ひとりの腸の形に合わせて丁寧にスコープを操作します。ご希望に応じて女性医師による検査も可能ですので、お気軽にご相談ください。

検査後は、鎮静剤の効果が自然に覚めるまで、専用のリカバリールームでゆっくりお休みいただけますのでご安心ください。

検査前の下剤はつらい?自宅での過ごし方

検査の精度を上げるために不可欠な下剤(腸管洗浄剤)ですが、飲みやすさも改善されており、ご自宅でリラックスして準備を進めるコツがあります。

大腸カメラで正確な診断をするには、腸の中を空っぽにしておく必要があります。便が少しでも残っていると、ポリープやがんといった小さな病変を見逃す原因になりかねないからです。そのため、検査前にはご自宅で約1〜2リットルの下剤を飲んでいただきます。

「そんなにたくさん飲めるだろうか」と不安に感じるかもしれませんが、最近の下剤はスポーツドリンクに近い味に改良されるなど、以前より格段に飲みやすくなっています。

下剤を飲む間は、以下のように過ごしていただくと比較的楽に準備ができます。

  • トイレにすぐ行けるよう、テレビや本を持ち込んでリラックスできる空間を作る
  • 体を冷やすと便意を感じやすくなるため、温かい服装を心がける
  • 脱水を防ぐため、下剤以外のお水やお茶などもこまめに飲む

ご不安な点があれば、事前に看護師が詳しくご説明しますので、何でもご質問ください。

大腸カメラの費用はいくら?保険適用の目安

血便などの症状があり、医師が必要と判断した大腸カメラは健康保険が適用されます。費用の目安は、検査のみで終わるか、ポリープを切除するかで変わります。

具体的な費用の目安は、以下の表のとおりです。

自己負担割合検査のみの場合ポリープを切除した場合(日帰り手術)
3割負担約6,000円~9,000円約20,000円~30,000円
1割負担約2,000円~3,000円約7,000円~10,000円

検査中に大腸ポリープが見つかった場合、その場で切除することが可能です。ポリープの切除は「日帰り手術」という扱いになるため費用は高くなりますが、これは将来の大腸がんを予防するための、非常に意味のある投資といえます

親子や兄弟など血縁者に大腸ポリープや大腸がんになった方がいる場合、ご自身も大腸がんになるリスクが高いとされています。気になる症状がある方はもちろん、ご家族の病歴に心当たりがある場合も、一度ご相談ください。

※上記の金額はあくまで目安です。使用する薬剤やポリープの数・大きさによって費用は変動します。詳しくはクリニックへお問い合わせください。

大腸がんの初期症状としての血便の特徴

大腸がんの初期段階では、自覚症状がほとんど現れません。そのため、血便はご自身の体が出している、見逃してはいけない重要なサインといえます。

がんがある程度大きくなると、便が通過する際にこすれて出血し、血便として現れるようになります。しかし、出血量はごくわずかであったり、痔の出血と見分けがつかなかったりすることも珍しくありません。

血便以外に、便秘や下痢を繰り返す、便が細くなる、お腹が張るといった症状も大腸がんのサインですが、これらはある程度進行してから現れることが多いものです。だからこそ、症状が血便だけの段階で気づき、行動することが、早期発見・早期治療の鍵を握っています。

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見た目だけでは痔と区別がつかないことが多い

血便の見た目だけで、その原因が痔なのか、あるいは大腸がんなのかを判断することは、専門医であっても困難です。「いつもの痔だろう」という自己判断は、重大な病気の発見を遅らせる原因になりかねません。

特に、肛門から近い直腸やS状結腸にがんができた場合、痔とよく似た鮮やかな赤い血が出ることがあります

大腸がんによる血便の色は、がんができた場所によって異なり、以下のような傾向が見られます。

がんの発生場所血便の特徴なぜその色になるのか?

肛門に近い場所

(直腸・S状結腸など)
・鮮やかな赤色の血(鮮血便)
・便の表面に付着しやすい
・出血してから排泄までの時間が短い
・血液が酸化する前に出てくるため

肛門から遠い場所

(盲腸・上行結腸など)
・暗い赤色や黒っぽい血(暗赤色便)
・便と血液が混ざり合っている
・長い大腸を通過する間に血液が変色する
・出血から排泄までに時間がかかるため

このように、がんの位置によって出血のサインはさまざまです。また、大腸の奥にできたがんの場合、腹痛などの自覚症状が出にくく、気づかないうちに慢性的な出血が続いて貧血が進行し、それがきっかけで発見されるケースも少なくありません

ご自身の便の色がどちらのタイプであっても、あるいは血便に加えて便秘や下痢、便が細くなったといった変化を感じる場合は、放置せずに消化器内科で詳しい検査を受けることが重要です。

便潜血検査が陽性になったらどう考えるべきか

健康診断などで受ける便潜血検査で「陽性」という結果が出た場合は、自覚症状がなくても、必ず精密検査として大腸カメラを受けるようにしてください。

便潜血検査は、目には見えないごくわずかな血液が便に混じっていないかを調べる検査です。陽性になっても、その原因が痔であることも多いため、「陽性=大腸がん」というわけではありません。

しかし、この検査は症状のない早期の大腸がんを発見できる、またとない機会です

「一度陽性だったけれど、もう一度検査したら陰性だったから大丈夫」と考えるのは非常に危険です。がんやポリープからの出血は、常に出血しているわけではなく、出たり止まったりを繰り返す「間欠的(かんけつてき)な出血」であることが多いからです。

たまたま出血していないタイミングで検査をすれば、結果は陰性になります。そのため、一度でも陽性と判定された以上は、体の中に何らかの出血源がある可能性を疑い、その原因を突き止めることが何よりも大切です。

「痔のせいだろう」「症状がないから」といった自己判断で精密検査の機会を逃さず、必ず消化器内科で大腸カメラについてご相談ください。

【年代・性別】血便の原因で多いものは?

血便の原因となる病気は、年代や性別によってかかりやすいものに傾向があります。
「若いから大丈夫」「いつもの痔だろう」といった思い込みは、重大な病気のサインを見逃す原因になりかねません。ご自身の年代や性別に多い病気を知っておくことは、適切なタイミングで受診するための大切な知識です。特に40代からは、がんのリスクも念頭に置く必要があります。

20〜30代の若者に多い血便の原因

20~30代の血便で特に注意したいのが、「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」に代表される炎症性腸疾患(IBD)です。これらは10代~30代の若い世代に発症することが多い、免疫システムの異常が関わる病気です。

  • 潰瘍性大腸炎:イチゴジャムのような粘液と血液が混じった「粘血便」が特徴です。頻繁に便意をもよおしてトイレに駆け込みたくなる「便意切迫感」を伴うこともあります
  • クローン病:血便よりも下痢や腹痛が主な症状として現れやすいですが、血便が見られることもあります

「痔だろう」と思い込んでいたら、実はIBDだったというケースは少なくありません。長引く下痢や腹痛、繰り返す血便がある場合は、決して自己判断せず、一度消化器内科でご相談ください。

その他、不規則な生活やストレスによる便秘が原因で肛門が切れる「切れ痔(裂肛)」や、食中毒などの「感染性腸炎」も、若い世代の血便の原因としてよく見られます。

女性に特有の血便の原因(妊娠・切れ痔など)

女性の血便で最も多い原因は、便秘に伴う「切れ痔」や、妊娠・出産をきっかけとした「いぼ痔(痔核)」です。
女性は、ホルモンバランスの変化やダイエット、男性に比べて腹筋が弱いことなどから便秘になりがちです。硬くなった便を無理に出そうとすると、肛門の皮膚が切れて出血(切れ痔)してしまいます。

特に妊娠・出産は、肛門に大きな負担がかかる時期です。

  • 妊娠中:大きくなった子宮が腸や肛門周りの血管を圧迫し、血流が悪くなることで「いぼ痔」になりやすくなります。
  • 出産時:強いいきみによって肛門がうっ血したり、切れたりすることがあります。

これらの痔による出血は、多くの方が経験するものです。しかし、血便をすべて「痔のせい」と片付けてしまうのは禁物です。まれに大腸の病気が隠れていることもあります。
出産後に排便習慣が変わった、出血が続くなど、少しでも「いつもと違う」と感じることがあれば、一度消化器内科で原因をはっきりさせておくと安心です。

40代以降で特に注意すべき病気

40代以降の血便で、何よりも見逃してはならないのが「大腸がん」と、その前段階である「大腸ポリープ」です。
大腸がんの発生率は40代から増加し始め、年齢とともに高くなります。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、血便は体が発している数少ない重要なサインといえます。

また、大腸ポリープからの出血も血便の原因になります。ポリープそのものは良性ですが、放置するとがん化するタイプもあるため、ポリープの段階で切除することが、将来の大腸がん予防に直結します。

その他、加齢に伴い血管がもろくなることで、以下のような病気のリスクも高まります。

  • 大腸憩室出血:大腸の壁にできたポケットから突然、大量に出血する。
  • 虚血性腸炎:腸への血流が悪くなり、突然の腹痛とともに出血する。

40歳を過ぎて初めて血便に気づいた場合、たとえ症状が一度きりでも、あるいは痔だと思ったとしても、決して放置しないでください。必ず消化器内科を受診し、大腸カメラなどの精密検査を検討することが重要です。

まとめ

血便は、その色や量にかかわらず、ご自身の体が出している重要なサインです。
「いつもの痔だろう」という自己判断は、大腸がんや炎症性腸疾患といった病気の発見を遅らせる原因になりかねません。
特に、腹痛や貧血症状を伴う場合や、40歳を過ぎてからの血便には注意が必要です。
便の色や状態で出血場所をある程度推測できますが、正確な診断には専門医による検査が欠かせません。

気になる症状に気づいた場合は、たとえ一度きりでも放置せず、消化器内科へご相談ください。
早期の対応が、ご自身の体を守る上で何よりも大切です。

参考文献

よくある質問

  • 血便が出たら、すぐ病院に行くべきですか?

    血便が一度でも出た場合は、自己判断せず消化器内科への相談をおすすめします。特に、便器が真っ赤になるほどの出血、黒くドロドロした便、血便を繰り返す場合は注意が必要です。めまい、ふらつき、冷や汗、動悸、強い腹痛を伴う場合は緊急性が高いため、速やかに医療機関を受診してください。

  • 血便があっても痛みがなければ大丈夫ですか?

    痛みがない血便でも、問題がないとは言えません。大腸憩室出血や大腸がんでは、腹痛を伴わずに血便が出ることがあります。特に40歳以上で初めて血便が出た場合、あるいは便通の変化、体重減少、貧血症状を伴う場合は、大腸カメラなどの精密検査を検討すべきです。

  • 血便がある場合、大腸カメラは必要ですか?

    血便の原因を正確に調べるには、大腸カメラが重要です。痔と思っていた出血の背景に、大腸ポリープ、大腸がん、潰瘍性大腸炎などが隠れていることがあります。血便、便潜血陽性、便通異常、原因不明の貧血、家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる場合は、医師と相談のうえ大腸カメラを検討しましょう。

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長

佐々木 洋

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本肝臓学会認定 肝臓専門医
  • 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 厚生労働省認定難病指定医
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