喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が続き、様々な刺激に対して過敏になる病気です。
そのため、ちょっとした刺激(ホコリ、冷たい空気、運動など)でも気道が狭くなり、咳や息苦しさ、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)などの症状が出現します。
この気道の炎症を抑え、発作を防ぐために、喘息治療の中心となるのが「吸入薬」です。
吸入薬は、薬を直接肺や気道に届けることができるため、飲み薬に比べて少ない量で効果を発揮し、全身への影響を抑えられるという大きなメリットがあります。
適切な吸入薬を正しく使用することで、多くの喘息患者さんは健康な人と変わらない日常生活を送ることが可能になります。
しかし、吸入薬には様々な種類があり、それぞれ効果や使い方が異なります。「どの薬を使えばいいの?」「どうやって吸えばいいの?」「副作用は大丈夫?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、喘息治療に不可欠な吸入薬について、その種類や効果、正しい使い方、起こりうる副作用、さらには咳喘息や飛行機搭乗時の注意点まで、呼吸器専門医の視点から詳しく解説します。
ご自身の喘息治療への理解を深め、より良いコントロールを目指すための一助となれば幸いです。
喘息 吸入薬とは?
喘息は、気道が慢性的に炎症を起こし、その結果、気道が狭くなりやすくなる病気です。
例えるなら、健康な人の気道が滑らかで広いトンネルだとすると、喘息患者さんの気道は、内側が赤く腫れて粘液が多くなり、さらに刺激に反応してすぐに縮んでしまう、敏感で狭くなりがちなトンネルのような状態です。
このような喘息の病態に対して、吸入薬は薬剤を直接、病変部位である気道に届けます。
飲み薬のように一度全身を巡る必要がないため、胃や肝臓への負担が少なく、また、全身性の副作用のリスクを抑えつつ、気道では高い濃度の薬効成分を発揮させることができます。
吸入薬の主な役割は、以下の2つです。
- 気道の慢性炎症を抑えること(長期管理):喘息の根本原因である炎症を毎日継続して抑えることで、気道の過敏性を改善し、発作が起こりにくい状態を維持します。これが喘息治療において最も重要です。
- 狭くなった気道を広げること(発作治療):発作が起きて息苦しくなった際に、速やかに気道を広げ、症状を和らげます。これはあくまで対症療法であり、炎症そのものを治すものではありません。
この2つの役割を持つ様々な種類の薬剤が、吸入薬として使用されています。
喘息治療における吸入薬の役割
現在の喘息治療ガイドラインでは、吸入薬が治療の柱と位置づけられています。
これは、喘息の本質が気道の慢性炎症であり、吸入薬がその炎症部位に直接かつ効率的に作用するからです。
吸入薬による治療は、患者さんの喘息の重症度や現在のコントロール状態に応じて、使用する薬の種類や量を調整する「ステップ療法」に基づいて行われます。
多くの患者さんでは、まず気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬(ICS)から治療を開始し、必要に応じて他の薬剤を追加していきます。
吸入薬の最大のメリットは、前述の通り、薬をピンポイントで気道に届けられることです。
これにより、全身性の副作用(骨粗しょう症や糖尿病など)のリスクを最小限に抑えつつ、気道における抗炎症作用や気管支拡張作用を最大限に引き出すことができます。
また、吸入薬は毎日継続して使用する長期管理薬と、発作が起きたときに頓服的に使用する発作治療薬に分けられます。
適切にこれらの吸入薬を使い分けることが、喘息の症状を安定させ、QOL(生活の質)を維持向上させるために不可欠です。
自己判断で吸入薬を中断したり、発作治療薬ばかりに頼ったりすることは、喘息のコントロールを悪化させ、重症化や命に関わる発作のリスクを高めることにつながります。
喘息 吸入薬の主な種類と効果
喘息治療に使われる薬は、環境再生保全機構のサイトでも解説されているように、大きく分けて「長期管理薬(コントローラー)」と「発作治療薬(リリーバー)」に分けられます。
長期管理薬は、喘息の状態を安定させるために毎日使用する薬であり、治療の基本となります。
分類 | 役割 | 主な成分のグループ | 使用頻度 | 目的 |
---|---|---|---|---|
長期管理薬 (コントローラー) |
毎日使用して喘息の状態を安定させる | 吸入ステロイド薬(ICS) 長時間作用性β₂刺激薬(LABA) 長時間作用性抗コリン薬(LAMA) 配合剤(ICS/LABA, ICS/LABA/LAMAなど) |
毎日、定期的に(1日1~2回) 毎日、定期的に(1日1~2回) 毎日、定期的に(1日1回) 毎日、定期的に(1日1~2回) |
気道の炎症抑制、発作予防、気道過敏性改善 気管支拡張(ICSとの併用が原則) 気管支拡張(ICS/LABAに追加) 上記成分の複合効果 |
発作治療薬 (リリーバー) |
発作時に症状を速やかに和らげる | 短時間作用性β₂刺激薬(SABA) (その他、一部の配合剤が治療・発作予防を兼ねる場合あり) |
発作時、頓服的に 必要に応じて |
気管支拡張、症状緩和 |
これらの薬を、患者さんの状態に合わせて組み合わせて使用します。
長期管理薬(コントローラー)
長期管理薬は、喘息の根本にある気道の慢性炎症を抑え、発作が起こりにくい状態を維持するために毎日規則正しく使用する薬です。
症状がない時でも、自己判断で中止せずに継続することが非常に重要ですし、「喘息のコントロールが良い状態」を保つためには欠かせません。
吸入ステロイド薬(ICS)の効果と種類
吸入ステロイド薬(ICS)は、現在の喘息治療において最も重要な薬剤であり、長期管理薬の第一選択薬です。
その主な効果は、気道の粘膜で起きている慢性的な炎症を強力に抑えることです。
- 効果のメカニズム:
ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ薬剤です。吸入することで、炎症の原因となる細胞(好酸球、リンパ球など)の働きを抑えたり、炎症を引き起こす物質の放出を抑制したりします。これにより、赤く腫れて過敏になっていた気道の粘膜の炎症が鎮まり、気道が落ち着いた状態になります。結果として、気道の過敏性が改善され、様々な刺激に対する反応が鈍くなり、発作が起こりにくくなります。 - 効果と継続使用の重要性:
ICSは、吸入を始めてすぐに効果が出るわけではありません。炎症が十分に鎮まるまでには、通常数日から数週間かかります。そのため、症状が良くなったと感じても、医師の指示なしに中止したり、使用量を減らしたりしてはいけません。毎日継続して使用することで、初めて喘息の長期的なコントロールが可能になります。 - 代表的な種類:
ICSにはいくつかの種類があり、成分によって効き方や体内に吸収される割合などが異なります。また、同じ成分でも様々なデバイスで提供されています。代表的な成分としては、フルチカゾンプロピオン酸エステル、ブデソニド、シクレソニド、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンフランカルボン酸エステルなどがあります。医師は患者さんの年齢、重症度、デバイスとの相性などを考慮して適切な薬剤を選択します。また、ICSには用量によって「低用量」「中用量」「高用量」があり、喘息の重症度に合わせて医師が調整します。
長時間作用性β₂刺激薬(LABA)の効果と注意点
長時間作用性β₂刺激薬(LABA)は、気管支の平滑筋に作用して、収縮した気道を長時間にわたって広げる(気管支拡張作用)効果を持つ薬剤です。
その効果は通常12時間以上持続します。
- 効果のメカニズム:
気管支の平滑筋表面にあるβ₂受容体という場所に結合し、平滑筋を弛緩させることで気道を広げます。これにより、息苦しさやゼーゼーといった症状を和らげる効果が期待できます。 - 喘息治療におけるLABAの注意点:
LABAは優れた気管支拡張作用を持っていますが、気道の炎症そのものを抑える効果はありません。
喘息の本質は炎症なので、LABA単独で使用すると、一時的に症状は楽になりますが、炎症が悪化していることに気づかず、かえって重症な発作を引き起こすリスクが高まります。
そのため、世界の主要な喘息治療ガイドラインでは、LABAを喘息治療に用いる際は、必ずICSと併用することが強く推奨されています。
多くの場合、ICSとLABAが一つになった配合剤が用いられます。 - 代表的な種類:
LABAの代表的な成分としては、サルメテロール、ホルモテロール、インダカテロール、ビランテロールなどがあります。
これらの成分も様々なデバイスや配合剤として提供されています。
長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の効果
長時間作用性抗コリン薬(LAMA)は、β₂刺激薬とは異なるメカニズムで気管支を広げる(気管支拡張作用)薬剤です。
主にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬として広く使われていますが、近年では、ICS/LABAによる治療でもコントロールが不十分な重症喘息の患者さんに対して、更なる気管支拡張効果を期待して追加で使用されることがあります。
- 効果のメカニズム:
気管支の平滑筋に存在するムスカリン受容体という場所に結合し、アセチルコリンという神経伝達物質の働きをブロックします。アセチルコリンは気管支を収縮させる作用があるため、その働きを抑えることで気管支が広がりやすくなります。効果は通常24時間持続します。 - 代表的な種類:
LAMAの代表的な成分としては、チオトロピウム、ウメクリジニウム、グリコピロニウムなどがあります。
喘息治療では、これらのLAMA成分がICS/LABAと組み合わされた3剤配合剤が用いられることもあります。
配合剤(ICS/LABA, ICS/LABA/LAMA)について
配合剤は、複数の有効成分(例:ICSとLABA、あるいはICSとLABAとLAMA)が一つの吸入器に収められている薬剤です。
これは、長期管理薬を複数使用する必要がある患者さんの利便性を高め、治療の継続(アドヒアランス)を向上させる目的で作られています。
- 主な配合剤の種類:
- ICS/LABA配合剤: 吸入ステロイド薬と長時間作用性β₂刺激薬が組み合わされたタイプです。多くの喘息患者さんの長期管理に用いられます。代表的なものに、ブデソニド/ホルモテロール(例:シムビコート)、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(例:アドエア)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール(例:レルベア)などがあります。
- ICS/LABA/LAMA配合剤: 吸入ステロイド薬、長時間作用性β₂刺激薬、長時間作用性抗コリン薬の3種類の成分が組み合わされたタイプです。主に、ICS/LABA配合剤だけでは喘息のコントロールが難しい、より重症な患者さんに対して使用されます。代表的なものに、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム/ビランテロール(例:テリルジー)などがあります。
- 配合剤のメリット:
- 使いやすさ: 吸入回数を減らすことができ、複雑な操作を減らせるため、正しい方法で吸入しやすくなります。
- アドヒアランス向上: 毎日複数の吸入器を使うよりも、一つで済む方が継続しやすくなります。
- 効果: それぞれの成分が異なるメカニズムで作用するため、相乗効果が期待できます。
ただし、どの配合剤を使用するかは、患者さんの喘息の重症度、合併症、過去の治療経過などを考慮して、医師が慎重に判断します。
発作治療薬(リリーバー)
発作治療薬は、喘息の症状(咳、息苦しさ、喘鳴など)が急に出現した際に、速やかにその症状を和らげるために頓服として使用する薬剤です。
これは、あくまで症状を抑えるための救急薬であり、気道の慢性炎症を治療するものではありません。
短時間作用性β₂刺激薬(SABA)の効果と使用場面
短時間作用性β₂刺激薬(SABA)は、発作治療薬の代表格です。
吸入すると数分以内に効果が現れ、狭くなった気道を素早く広げる強力な気管支拡張作用を持っています。
効果の持続時間は通常4~6時間程度です。
- 効果のメカニズム:
気管支の平滑筋にあるβ₂受容体に素早く結合し、即座に平滑筋を弛緩させることで気道を広げます。 - 使用場面:
- 喘息発作時: 息苦しさ、強い咳、喘鳴など、発作の症状が出現した際に使用します。症状が改善するまで、医師の指示された回数・間隔で使用します。
- 運動誘発喘息の予防: 運動すると喘息発作が起きやすい方は、運動の前に予防的に吸入することがあります。
- SABA使用の注意点:
SABAは即効性があり、症状をすぐに楽にしてくれるため、患者さんにとっては頼りになる薬です。
しかし、SABAを使用する頻度が増えている場合、それは喘息のコントロールが悪化している明確なサインです。
長期管理薬による炎症のコントロールが不十分である可能性が高く、そのまま放置すると重症発作のリスクが高まります。
SABAの使用が週に2回以上になる場合は、必ず主治医に相談し、長期管理薬の見直しを検討する必要があります。
SABAの使いすぎは、逆に気道過敏性を高めたり、心臓への負担を増やしたりする可能性も指摘されています。 - 代表的な種類:
SABAの代表的な成分としては、サルブタモール(例:ベネトリン)、テルブタリン(例:ブリカニール)などがあります。
喘息 吸入薬のデバイスの種類と特徴
喘息の吸入薬は、薬剤の種類だけでなく、それを吸入するための「デバイス」(器械)にもいくつかの種類があります。
薬剤が肺の奥までしっかり届くかどうかは、このデバイスを正しく使いこなせるかにかかっています。
医師や薬剤師は、患者さんの年齢、吸気力、使い慣れているかなどを考慮して、最適なデバイスを選択します。
主なデバイスの種類は以下の3つです。
デバイスの種類 | 薬剤の形態 | 特徴 | 吸入方法のポイント | 適した患者層 |
---|---|---|---|---|
pMDI (定量噴霧式吸入器) |
ガス噴霧 | 薬剤が一定量ずつ噴霧される コンパクト スペーサーが使用可能 |
噴霧のタイミングに合わせてゆっくり吸い込む(同調が必要) | 小児、高齢者、同調できる成人、スペーサー使用時 |
DPI (ドライパウダー吸入器) |
粉末 | 自身の吸気力で薬剤を引き込む 同調が不要 デバイスの種類が多い |
強く速く吸い込む デバイス操作が必要(セット、レバーなど) |
ある程度の吸気力がある成人、同調が苦手な成人 |
SMI (ソフトミスト吸入器) |
霧状 | 薬剤がゆっくりとした霧状で出る 吸入しやすい 一度の吸入時間が必要 |
ボタンを押しながらゆっくり深く吸い込む | 全年齢層(特に吸入が苦手な人、デバイス操作が困難な人) |
pMDI(定量噴霧式吸入器)
pMDI(pressurized Metered-Dose Inhaler)は、薬剤と噴射剤が一緒になった缶を、専用のホルダーにセットして使用するタイプの吸入器です。
ボタンを押すと、薬剤がガスと一緒に一定量噴霧されます。
- 特徴:
- コンパクトで持ち運びに便利です。
- 一度の操作で噴霧される薬剤の量が一定です。
- 後述するスペーサー(補助具)と組み合わせて使用することができます。
- 吸入時のポイント:
pMDIを使用する上で最も重要なのは、薬剤が噴霧されるタイミングと、息を吸い込むタイミングを合わせること(同調)です。
ボタンを押して薬剤が噴霧された瞬間に、ゆっくりと息を吸い始めなければ、薬剤が口の中や喉に付着してしまい、肺の奥まで十分に届きません。
特に初めて使う方や小児、高齢者など、同調が難しい場合には、スペーサーの使用が推奨されます。
DPI(ドライパウダー吸入器)
DPI(Dry Powder Inhaler)は、薬剤が乾燥した粉末状でカプセルやディスクなどに入っており、患者さん自身の息を吸い込む力(吸気力)で薬剤を吸い込むタイプの吸入器です。
- 特徴:
- 薬剤を吸い込む動作と、薬剤が放出される動作が連動しているため、pMDIのような噴霧と吸入の同調は基本的に必要ありません。
- 様々な形状のデバイスがあります(カプセルをセットするタイプ、薬剤が充填されたディスクを回すタイプなど)。
- ある程度の吸気力が必要です。吸気力が弱いと、十分に薬剤を吸い込めないことがあります。
- 吸入時のポイント:
DPIでは、強く、そして速く息を吸い込むことが重要です。
これにより、デバイス内の粉末薬剤がバラバラになり、気道までしっかりと届きます。
デバイスの種類によって薬剤のセット方法や操作が異なるため、初めて使用する際は必ず医師や薬剤師から詳しい説明を受ける必要があります。
また、湿気に弱いため、濡れた手で扱ったり、湿気の多い場所に保管したりしないよう注意が必要です。
SMI(ソフトミスト吸入器)
SMI(Soft Mist Inhaler)は、比較的新しいタイプの吸入器です。
薬剤をゆっくりとしたスピードで、柔らかい霧状にして噴霧します。
- 特徴:
- ガスではなく、機械的な力で薬剤をミスト状に噴霧します。
- 噴霧されるスピードがゆっくりなため、吸入のタイミングを合わせやすいというメリットがあります。pMDIほど厳密な同調は必要ありません。
- 薬剤がより肺の奥まで届きやすいとされています。
- 吸入時のポイント:
SMIを使用する際は、まずデバイスを準備し、ボタンを押しながらゆっくりと、そして深く息を吸い込みます。
pMDIとDPIの中間のような吸入方法と言えるでしょう。
デバイスによっては、薬剤カートリッジのセットや底の部分を回すなどの準備が必要です。
ご自身の吸入薬がどのデバイスかを確認し、それぞれのデバイスに合った正しい吸入方法をマスターすることが、治療効果を最大限に引き出すために非常に重要です。
喘息 吸入薬の正しい使い方
喘息吸入薬は、正しく使用しないと薬剤が肺の奥まで十分に届かず、期待される効果が得られない可能性があります。
逆に、間違った使い方をすると、口の中に薬剤が残ってしまい、副作用のリスクを高めることもあります。
「正しく使うこと」は、「どのような種類の薬を使うか」と同じくらい、あるいはそれ以上に重要です。
医師や薬剤師から十分に指導を受け、不明な点は必ず確認しましょう。
デバイス別の具体的な吸入手順
ここでは、一般的な吸入の手順をデバイス別にご説明します。
ただし、具体的な操作方法は薬剤やデバイスの種類によって細部が異なる場合がありますので、必ず処方された薬の説明書や、医師・薬剤師からの指導をご確認ください。
- 【共通の準備】
- 手を洗う: 清潔な手で吸入器を扱いましょう。
- デバイスを確認: 吸入器に異常がないか、薬剤が残っているかなどを確認しましょう。
- 息を十分に吐き出す: 口からゆっくりと、これ以上吐けないというところまで息を吐き出します。吸入器を口にくわえる前に行ってください。
- 【pMDI(定量噴霧式吸入器)の場合】
- 缶をホルダーにセットし、よく振ります。(初めて使う時やしばらく使っていない時は、試しに空打ちして薬剤が出ることを確認することもあります)
- 口から十分に息を吐き出します。
- 吸入器のマウスピースを口にくわえ、唇でしっかりと閉じます。
- ゆっくりと息を吸い込み始めると同時に、ボタンをしっかりと押して薬剤を噴霧します。
- 薬剤を吸い込んだら、吸入器を口から離し、息を約5~10秒間止めます。 (これにより、薬剤が肺の奥で留まる時間が長くなります)
- ゆっくりと息を吐き出します。
- 複数回吸入する場合は、1回目から30秒~1分程度間隔をあけて、同じ手順を繰り返します。
- スペーサーを使用する場合: スペーサーの取扱説明書に従います。一般的には、缶をスペーサーにセットし、スペーサーの吸入口を口にくわえ、ボタンを押してスペーサー内に薬剤を噴霧してから、数回呼吸してスペーサー内の薬剤を吸入します。スペーサーを使うことで、噴霧と吸気の同調が不要になり、薬剤が効率よく肺に届きます。
- 【DPI(ドライパウダー吸入器)の場合】
- デバイスの種類に応じた準備をします。(例:カプセルをセットする、ディスクを回す、レバーを操作するなど。具体的な方法は処方された薬剤の説明書で確認してください)
- 口から十分に息を吐き出します。
- 吸入器のマウスピースを口にくわえ、唇でしっかりと閉じます。(この時、吸入器を傾けたり揺らしたりしないように注意します。薬剤がこぼれる可能性があります。)
- 勢いよく、そして速く息を吸い込みます。
- 吸い込み終わったら、吸入器を口から離し、息を約5~10秒間止めます。
- ゆっくりと息を吐き出します。
- 粉末をすべて吸い込めたか、薬剤ウィンドウなどで確認します。(デバイスによっては音がしたり、味がしたりすることもあります)
- 複数回吸入する場合は、デバイスの種類に応じた操作を行い、同じ手順を繰り返します。
- 【SMI(ソフトミスト吸入器)の場合】
- デバイスの種類に応じた準備をします。(例:カートリッジをセットする、底を回して薬剤を充填するなど)
- 口から十分に息を吐き出します。
- 吸入器のマウスピースを口にくわえ、唇でしっかりと閉じます。
- デバイスのボタンを押しながら、ゆっくりと、そして深く息を吸い込みます。
- 吸い込み終わったら、吸入器を口から離し、息を約5~10秒間止めます。
- ゆっくりと息を吐き出します。
- 複数回吸入する場合は、デバイスの種類に応じた操作を行い、同じ手順を繰り返します。
どのデバイスを使用する場合も、吸入後は、薬剤が残っていないかデバイスを確認し、指定された方法で清掃・保管しましょう。
吸入薬使用後のうがいの重要性
特に吸入ステロイド薬(ICS)を使用した後は、必ず口の中をよくうがいすることが重要です。
これにより、口腔内や咽頭(喉)に残った薬剤を洗い流し、副作用を予防することができます。
- うがいの目的:
- 口腔カンジダ症の予防: ICSが口の中に残ると、カビの一種であるカンジダ菌が増殖しやすくなり、口の中に白い苔のようなものができたり、痛みを伴ったりすることがあります(口腔カンジダ症)。うがいはこれを防ぐ最も効果的な方法です。
- 嗄声(声がれ)の予防: ICSが声帯に付着すると、声がかすれる原因となることがあります。うがいで洗い流すことで、声がれを防ぎます。
- 咽頭刺激感の軽減: 喉のイガイガ感や刺激による咳を軽減する効果もあります。
- うがいの正しい方法:
うがいは、以下の2段階で行うと効果的です。- ブクブクうがい: まずは水を含み、口の中を勢いよくブクブクとゆすぎます。これにより、口腔内の粘膜に付着した薬剤を洗い流します。数回繰り返しましょう。
- ガラガラうがい: 次に水を含み、上を向いて喉の奥をガラガラとゆすぎます。これにより、咽頭に付着した薬剤を洗い流します。これも数回繰り返しましょう。
うがいに使うのは、水道水やぬるま湯で十分です。
うがいの後、うがい薬(ポビドンヨードなど)を使う必要はありません。
ICSを使用している方は、毎回の吸入後に忘れずにうがいを行う習慣をつけましょう。
特に就寝前にICSを吸入した後は、寝ている間に薬剤が口の中に留まる時間が長くなるため、うがいは必須です。
喘息 吸入薬の副作用と対策
吸入薬は、薬剤を気道に直接届けるため、飲み薬や注射薬に比べて全身性の副作用は少ないのが特徴です。
しかし、全く副作用がないわけではなく、特に薬剤が直接触れる口腔内や咽頭、あるいは薬の作用メカニズムに関連した副作用が起こることがあります。
吸入薬には副作用の可能性もありますが、適切な使用により、喘息のコントロールを維持することが可能であり、これは海外の専門機関からも強調されています。
吸入薬で起こりうる主な副作用
薬剤の種類 | 起こりうる主な副作用(頻度が高いもの) | 起こりうる主な副作用(頻度が低い・稀なもの) |
---|---|---|
ICS | 口腔カンジダ症(口の中に白い苔、痛みなど) 嗄声(声がれ) 咽頭刺激感(喉のイガイガ、痛み、咳) |
高用量・長期使用の場合: 副腎皮質機能抑制、骨密度低下、白内障・緑内障のリスク上昇、成長抑制(小児で稀に) まれに、精神症状(不眠、不安、うつなど) |
LABA/SABA | 動悸、手の震え(振戦) 頻脈(脈が速くなる) 頭痛 筋肉のけいれん |
非常に稀に、不整脈、血清カリウム値低下 |
LAMA | 口渇(口の渇き) | 尿閉(前立腺肥大症の方など) 緑内障の悪化(狭隅角緑内障の方など) まれに、便秘 |
配合剤 | 含まれる各成分の副作用が現れる可能性があります。(例:ICS/LABA配合剤なら、口腔カンジダ症、声がれ、動悸、手の震えなど) | 含まれる各成分の副作用が現れる可能性があります。 |
- 副作用について知っておくべきこと:
- ここに挙げた副作用は、必ず起こるものではありません。個人差があります。
- ほとんどの副作用は軽度であり、適切な対処で改善します。
- ICSの全身性の副作用(骨密度低下など)は、長期にわたり高用量で使用した場合に非常に稀に起こる可能性があるものであり、通常の用量で正しく使用している限り、過度に心配する必要はありません。飲み薬のステロイドに比べてはるかにリスクは低いです。
副作用の予防と対処法
吸入薬の副作用は、多くの場合、適切な予防策や早期の対処で管理できます。
- 予防策:
- 正しい吸入方法をマスターする: 薬剤を確実に肺に届けることで、口腔内や咽頭への付着を最小限に抑えます。医師や薬剤師から指導を受け、繰り返し練習しましょう。必要であればスペーサーの使用を検討します。
- ICS使用後のうがいを徹底する: 特にICSを使用した場合、吸入後すぐに(可能であれば)水でブクブク・ガラガラうがいをすることで、口腔カンジダ症や声がれのリスクを大幅に減らせます。
- 吸入器の清掃・保管: デバイスの種類に応じて、清潔に保ち、湿気のない場所に保管しましょう。
- 副作用が出た場合の対処:
副作用が出現した場合や、「いつもと違うな」と感じることがあれば、自己判断で吸入薬を中止したり、使用量を減らしたりせず、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
医師は、症状や副作用の種類、程度に応じて、以下のような対応を検討します。
- 吸入方法の再確認・指導: 吸入方法が正しくないために副作用が出ている場合、吸入方法の改善やデバイスの変更を検討します。
- 薬剤やデバイスの変更: 副作用が特定の薬剤やデバイスによるものの可能性があれば、別の薬剤やデバイスに変更します。
- 用量の調整: 症状のコントロールを維持しつつ、副作用を最小限にするために、薬剤の用量を調整することがあります。
- 対症療法: 口腔カンジダ症に対して抗真菌薬を処方するなど、副作用に対する治療を行います。
喘息の症状が悪化して吸入薬を使うのをやめてしまう方が、副作用のリスクよりもはるかに危険です。
副作用が心配な場合は、遠慮なく医療機関に相談しましょう。
咳喘息に対する吸入薬治療
「咳喘息」は、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難といった典型的な喘息症状がなく、慢性的な咳だけが続くタイプの喘息の亜型です。
気道の慢性炎症と過敏性があるという点では通常の喘息と同じ病態と考えられています。
咳喘息の診断
咳喘息は、以下のような特徴がみられる場合に疑われます。
- 咳が8週間以上続く(慢性咳嗽)。
- 喘鳴や呼吸困難はない。
- 夜間から早朝にかけて、あるいは気温の変化、運動、タバコの煙、ハウスダストなどの刺激で咳が悪化しやすい。
- 風邪薬や市販の咳止めが効かないことが多い。
- 気管支拡張薬(SABAなど)を吸入すると咳が一時的に改善する。
- アレルギー体質(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など)を合併していることが多い。
診断は、問診、聴診、胸部X線検査などで他の病気(感染症、COPD、肺がん、慢性気管支炎など)を除外した上で、呼吸機能検査や気道過敏性試験、喀痰検査、呼気NO測定などを行い、総合的に判断されます。
SABA吸入後の呼吸機能の変化を確認する気管支拡張薬吸入試験も診断に有用です。
咳喘息の治療における吸入薬の役割
咳喘息の治療も、通常の喘息と同様に吸入ステロイド薬(ICS)による気道の炎症抑制が中心となります。
咳の原因となっている気道の炎症を抑えることで、咳の症状が改善します。
ICSに加えて、長時間作用性β₂刺激薬(LABA)が含まれる配合剤が用いられることもあります。
発作治療薬としてSABAを使用することもありますが、これは診断や一時的な症状緩和に用いられるもので、根本治療はICSによる炎症抑制です。
治療期間と注意点
咳喘息は、治療によって咳の症状が改善しても、治療を中止すると再発しやすい特徴があります。
また、咳喘息の約30~40%は、将来的に通常の喘息に移行するとも言われています。
そのため、症状が改善した後も、自己判断で治療を中止せず、医師の指示通りに数ヶ月間は吸入治療を継続することが重要です。
治療期間は患者さんの状態によって異なりますので、必ず主治医と相談してください。
咳が長引いている場合は、「ただの風邪の後遺症だろう」と自己判断せず、呼吸器内科などの専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
喘息 吸入薬に関するよくある質問
喘息吸入薬について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
喘息の吸入薬のデメリットは?
喘息吸入薬は非常に有用な薬ですが、いくつかデメリットもあります。
- 毎日継続する必要がある: 長期管理薬は、症状がない時でも毎日決まった回数使用する必要があります。これは、飲み忘れや中断につながりやすい点です。
- 正しい使い方に慣れが必要: デバイスの種類によっては、吸入操作にコツが必要で、正しく使うためには練習が必要です。うまく吸入できないと、効果が十分に得られません。
- 局所性の副作用: 特にICSの場合、口腔カンジダ症や声がれなどの局所性の副作用が起こる可能性があります(ただし、うがいなどの対策で予防できます)。
- 費用: 医療用医薬品であり、種類によっては比較的高価なものもあります。ただし、発作による受診や入院、救急搬送にかかる費用を考えれば、吸入薬でコントロールを維持する方が結果的に医療費を抑えられることが多いです。
- 携帯の必要性: 発作治療薬は、いつ発作が起きるか分からないため、常に携帯しておく必要があります。
これらのデメリットを理解した上で、正しく付き合っていくことが重要です。
不明な点や困っていることがあれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談しましょう。
ぜんそくの吸入薬の名前を教えてください
喘息治療に用いられる吸入薬には多くの種類があります。
ここでは、代表的な薬剤の一部をご紹介します。
薬剤名には、薬の成分名(一般名)と、製薬会社から販売されている商品名があります。
- 吸入ステロイド薬(ICS):
- 成分名: フルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名例: フルタイド)
- 成分名: ブデソニド(商品名例: パルミコート)
- 成分名: シクレソニド(商品名例: オルベスコ)
- 成分名: ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(商品名例: キュバール)
- 長時間作用性β₂刺激薬(LABA):
- 成分名: サルメテロール(商品名例: セレベント)
- 成分名: ホルモテロール(商品名例: オーキシス)
- 短時間作用性β₂刺激薬(SABA):
- 成分名: サルブタモール(商品名例: ベネトリン)
- 成分名: テルブタリン(商品名例: ブリカニール)
- 長時間作用性抗コリン薬(LAMA):
- 成分名: チオトロピウム(商品名例: スピリーバレスピマット)
- 配合剤:
- ICS/LABA配合剤:
- ブデソニド/ホルモテロール(商品名例: シムビコート)
- フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(例:アドエア)
- フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール(例:レルベア)
- ICS/LABA/LAMA配合剤:
- フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム/ビランテロール(例:テリルジー)
- ICS/LABA配合剤:
これらはあくまで一部であり、この他にも様々な吸入薬があります。
どの薬剤が適切かは、患者さんの状態によって異なりますので、必ず医師の診察を受けて処方してもらってください。
喘息は吸入薬で完治しますか?
残念ながら、現在の医療では、多くの成人喘息は「完治」というよりは「寛解(かんかい)」を目指す病気と考えられています。
「寛解」とは、症状がコントロールされ、健康な人と変わらない日常生活を送れる状態のことです。
小児喘息の場合は、成長とともに症状が出なくなる「治癒」が期待できることもあります。
吸入薬、特に吸入ステロイド薬は、喘息の根本原因である気道の慢性炎症を抑えることで、発作が起こりにくい状態を維持し、気道の過敏性を改善します。
これにより、多くの患者さんは発作を起こすことなく、運動や旅行なども含め、制限のない生活を送れるようになります。
しかし、気道の炎症体質そのものが完全になくなるわけではないため、治療を自己判断で中断すると、再び炎症が悪化し、症状が出現したり発作を起こしたりする可能性があります。
吸入薬は、喘息という慢性疾患と上手に付き合い、症状をコントロールするための最も効果的な手段です。
医師の指示通りに継続して使用することで、良好なコントロール状態を維持し、健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
喘息の吸入薬は市販で購入できますか?
喘息の治療に用いられる吸入薬(ICS、LABA、SABA、LAMA、配合剤など)は、すべて医療用医薬品に分類されており、医師の診察を受けて処方箋をもらわないと購入できません。
薬局やドラッグストアで、これらの吸入薬が市販されていることはありません。
これは、喘息の診断には専門的な知識が必要であること、吸入薬の種類や用量は患者さんの状態に合わせて適切に判断する必要があること、そして誤った使い方や自己判断での使用が重症化のリスクを高めるためです。
「咳が止まらないから喘息かもしれない」「以前使っていた吸入器が欲しい」といった場合でも、必ず医療機関を受診して医師の判断を仰ぐ必要があります。
市販の咳止め薬などには、気管支拡張作用を持つ成分が含まれているものもありますが、これはあくまで一時的な症状緩和を目的としたものであり、喘息の根本的な炎症を抑える効果はありません。
自己判断で市販薬を使用すると、かえって診断や治療が遅れる可能性があります。
喘息 吸入薬の強さやランキングはありますか?
吸入ステロイド薬(ICS)には、薬剤の種類や用量によって「強さ」の目安があります。
日本の喘息治療ガイドラインでは、ICSの用量を「低用量」「中用量」「高用量」に分類しており、患者さんの喘息の重症度や治療ステップに応じて、これらの用量が選択されます。
しかし、吸入薬全体として「この薬が一番強い」「この薬が一番効果がある」といった単純なランキングは存在しません。
なぜなら、どの薬が最も効果的かは、その患者さんの喘息の病態、重症度、アレルギーの有無、合併症、年齢、そして何より「正しく吸入できているか」によって大きく異なるからです。
医師は、患者さんの状態を詳しく診察し、呼吸機能検査やその他の検査結果も踏まえて、最適な薬剤の種類、用量、デバイスを選択します。
例えば、重症な患者さんには高用量のICSや配合剤が必要になる場合もありますが、軽症の患者さんでは低用量のICSだけで十分にコントロールできることもあります。
「強い薬を使いたい」と希望するのではなく、ご自身の喘息の状態に最も合った薬を、医師の指示通りに正しく使用することが、最も効果的な治療につながります。
喘息 吸入薬を持ち込んで飛行機に乗る際の注意点
喘息治療に不可欠な吸入薬は、飛行機の機内へ持ち込むことが可能です。
旅行や出張などで飛行機を利用する際は、必ず手荷物として機内に持ち込みましょう。
預け荷物に入れてしまうと、気圧や温度の変化で薬剤が劣化したり、荷物の紛失時に吸入薬が手元になくなったりするリスクがあります。
- 持ち込みに関する注意点:
- 国内線: 通常、特に申告や診断書は必要ありません。
ただし、保安検査場で吸入器について質問される可能性があるため、すぐに取り出せるようにしておくことをお勧めします。 - 国際線: 国際線の場合、液体物の機内持ち込みには制限(100ml以下の容器に入れ、1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に入れるなど)がありますが、医療品(吸入薬を含む)はこれらの制限の対象外となることが一般的です。
ただし、国や航空会社によってルールが異なる場合があるため、事前に利用する航空会社のウェブサイトなどで確認しておくと安心です。- 予備: 旅行日数+αの予備の吸入薬を持っていくと安心です。
- 診断書: 万が一、セキュリティチェックで質問された場合や、旅行先の国での予期せぬトラブルに備えて、英文の診断書や医師の署名入り説明書があるとより安心です。
特に海外で麻薬や覚せい剤と誤解されやすい成分が含まれている薬剤(日本では喘息吸入薬には通常含まれませんが、念のため)や、大量に持ち込む場合は準備しておく方が良いでしょう。
主治医に相談すれば作成してもらえます(診断書料がかかる場合があります)。
- 機内の乾燥: 飛行機の機内は非常に乾燥しています。
乾燥は気道を刺激し、喘息症状を誘発する可能性があります。
機内ではこまめに水分を補給したり、マスクを着用したりするなど、乾燥対策を心がけましょう。
- 国内線: 通常、特に申告や診断書は必要ありません。
フライト中に万が一発作が起きた場合に備え、発作治療薬(SABA)も必ず手元に携帯しておきましょう。
喘息の診断・治療は専門医にご相談ください
本記事では、喘息吸入薬の種類、効果、使い方、副作用などについて詳しく解説しました。
吸入薬は、喘息という病気をコントロールし、患者さんが健康な人と変わらない生活を送るために不可欠な治療法です。
しかし、吸入薬には多くの種類があり、それぞれに特徴があります。
また、患者さんの喘息の重症度や病状は一人ひとり異なります。
そのため、ご自身に合った最適な吸入薬を選択し、正しく使用するためには、必ず医師の診察を受けることが必要です。
特に以下のような場合は、呼吸器内科などの専門医に相談することを強くお勧めします。
- 咳が長引いている(8週間以上続く)
- 息苦しさやゼーゼーする感じがある
- 健康診断で喘息や気管支炎を指摘された
- 現在喘息の治療を受けているが、症状が安定しない、発作を繰り返している
- 使用している吸入薬について疑問や不安がある
- 吸入薬を正しく使えているか自信がない
喘息は、適切な診断と治療によって良好な状態を維持できる病気です。
自己判断での治療や中断は危険を伴います。
信頼できる医師と協力し、ご自身の喘息と向き合っていくことが大切ですし、吸入薬の正しい使用が症状コントロールといかに重要であるかは、アメリカ喘息・アレルギー財団のサイトでも強調されています。
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個々の病状に対する診断や治療方針を示すものではありません。
実際の診断・治療については、必ず医療機関を受診し、医師の判断に従ってください。