横になると息苦しい…原因・病気のサイン・自宅でできる対処法を解説

「横になると息苦しい」と感じることはありませんか?日中はなんともないのに、ベッドに入って横になったり、寝ようとしたりすると、急に呼吸が苦しくなる、咳が出る、といった症状に悩まされている方は少なくありません。

この「横になると息苦しい」という症状は、単なる寝姿勢の問題から、注意が必要な病気が隠れている可能性まで、さまざまな原因が考えられます。原因によって適切な対処法や治療法が異なりますが、まずはなぜこのような症状が起こるのかを知ることが大切です。

この記事では、医師監修のもと、「横になると息苦しい」と感じる原因から、自宅でできる対処法、そして病院を受診すべき目安や相談すべき診療科について詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。

目次

横になると息苦しくなる原因とは?

横になったときに息苦しさを感じる原因は多岐にわたります。大きく分けて、体位による生理的な影響と、何らかの病気が隠れているケースが考えられます。

体位による生理的な影響

健康な人でも、姿勢を変えることによって呼吸や循環にわずかな変化が起こります。横になったときに息苦しさを感じる場合、病気がなくても以下の生理的な影響が関与することがあります。

  • 重力による影響: 座っているときや立っているときは、重力によって体内の血液や水分は下半身に集まりやすくなります。しかし、横になるとこれらの体液が胸部、特に肺や心臓の周りに移動しやすくなります。これにより、肺が膨らむスペースが物理的に制限されたり、心臓に戻ってくる血液量が増加したりして、一時的に息苦しさや動悸を感じることがあります。
  • 腹部の圧迫: 仰向けに寝ると、重力によって腹部の内臓(胃や腸など)が上方に移動し、横隔膜を圧迫することがあります。横隔膜は呼吸を行う上で非常に重要な筋肉ですが、圧迫されることで動きが制限され、深い呼吸がしにくくなるため、息苦しさを感じることがあります。特に食後すぐに横になった場合や、肥満体型の方ではこの影響が顕著になることがあります。
  • 気道の狭窄: 仰向けで寝ると、舌の付け根が重力で喉の奥に沈み込みやすくなります。これにより、気道が狭くなり、空気の通りが悪くなることがあります。軽い場合は「いびき」として現れますが、程度が強くなると息苦しさを感じたり、睡眠時無呼吸症候群の原因になったりします。もともと鼻炎や副鼻腔炎などで鼻詰まりがある場合、横になることで鼻詰まりが悪化し、口呼吸だけでは十分な空気を吸い込めずに息苦しさを感じやすくなることもあります。

これらの生理的な影響による息苦しさは、一時的なもので、寝姿勢を変えたりしばらくすると落ち着くことが多いです。しかし、症状が頻繁に起こる、悪化する、他の症状を伴う場合は、病気が隠れている可能性を考える必要があります。

考えられる主な病気

「横になると息苦しい」という症状は、時に重大な病気のサインであることがあります。特に夜間や横になったときに症状が悪化する場合、以下のような病気が強く疑われます。

呼吸器系の疾患(ぜんそく、COPDなど)

肺や気管支に問題がある場合、横になることで症状が悪化することがよくあります。

  • 気管支ぜんそく: ぜんそくは、気道が慢性的に炎症を起こし、様々な刺激に過敏になっている状態です。アレルギーやウイルス感染、冷たい空気、運動などが誘因となって気道が狭窄し、咳や痰、息苦しさ、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)といった症状が現れます。ぜんそくの発作は夜間から早朝にかけて起こりやすく、特に横になったときに症状が悪化する「夜間発作」はぜんそくの特徴的な症状の一つです。横になると気道がむくみやすくなったり、気道に分泌物がたまりやすくなったりすることが、夜間発作の原因と考えられています。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD): 主に喫煙が原因で、肺の構造が破壊され、空気の出し入れがうまくなる病気です(肺気腫や慢性気管支炎の総称)。COPDが進行すると、肺活量が低下し、少し動いただけでも息切れを感じるようになります。横になると、肺の機能がさらに制限されるため、息苦しさを感じやすくなります。また、COPDの患者さんは、夜間に低酸素状態になりやすく、これにより息苦しさを感じて目が覚めることがあります。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS): 睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。肥満、扁桃腺肥大、顎が小さいなどが原因で、寝ている間に気道が塞がりやすくなります。特に仰向けで寝ると舌が沈み込みやすく、気道が狭窄するため、睡眠時無呼吸症候群のある方は横になると息苦しさを感じやすい傾向があります。仰向けの姿勢は重力の影響で舌根が沈下して気道が塞がれやすくなる参考)ため、無呼吸を誘発しやすい姿勢と指摘されています。これにより、睡眠中に何度も目が覚めたり、熟睡感が得られなかったりします。
  • その他の呼吸器疾患: 肺炎や気管支炎といった感染症、肺線維症のような慢性的な肺の病気、気胸(肺に穴が開き空気が漏れる病気)なども、息苦しさの原因となります。これらの病気でも、横になることで肺への負担が増えたり、炎症による分泌物が気道にたまりやすくなったりして、症状が悪化する場合があります。

心臓系の疾患(心不全など)

心臓の機能が低下すると、体内の血液循環が滞り、様々な症状が現れます。横になったときの息苦しさは、心臓の病気と特に関連が深い症状の一つです。

  • 心不全: 心臓のポンプ機能が低下し、全身が必要とするだけの血液を送り出せなくなった状態を指します。心不全が進行すると、肺に血液や水分がたまりやすくなります(肺うっ血)。横になると、下半身に溜まっていた血液が心臓に戻ってきて肺に送られる血液量が増えるため、肺うっ血がさらに悪化し、強い息苦しさを感じます。これを「起座呼吸(きざこきゅう)」と呼びます。起座呼吸では、体を起こして座ることで息苦しさが和らぐのが特徴です。夜中に息苦しさで目が覚め、ベッドから起き上がって座ったり、壁にもたれたりすると楽になる、といった症状があれば、心不全が強く疑われます。進行した心不全では、少し体を横にしただけでも息苦しさを感じるようになります。
  • 狭心症、心筋梗塞: 心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心臓の機能が一時的または永続的に障害される病気です。典型的な症状は胸の痛みや圧迫感ですが、放散痛(肩や腕、顎などに広がる痛み)や息苦しさを伴うこともあります。特に「異型狭心症」は、冠動脈が痙攣して狭くなることで起こり、夜間や安静時に発作が起こりやすい特徴があります。この場合も、横になったときに息苦しさや胸痛を感じることがあります。
  • 不整脈: 心臓の拍動リズムが乱れる状態です。脈が速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、または不規則になることで、心臓が効率よく血液を送り出せなくなります。これにより、動悸、めまい、立ちくらみといった症状だけでなく、息苦しさを感じることがあります。特定の不整脈は夜間や安静時に起こりやすく、横になったときに症状を自覚しやすい場合があります。

精神的な要因(ストレス、自律神経の乱れ)

身体的な病気だけでなく、精神的な状態も息苦しさの原因となります。

  • 不安神経症、パニック障害: 強い不安や恐怖を感じた際に、突然、動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸痛などの身体症状が現れる病気です。パニック発作は、特にリラックスしている時や寝る前に起こることがあり、横になったときに息苦しさを感じて発作につながるケースがあります。「息がうまく吸えない」「窒息するのではないか」といった感覚にとらわれ、過呼吸を引き起こすこともあります。
  • 自律神経失調症: ストレスや生活習慣の乱れにより、自律神経のバランスが崩れることで起こる様々な身体症状の総称です。呼吸は自律神経によってコントロールされているため、バランスが崩れると呼吸が浅くなったり速くなったりして、息苦しさを感じることがあります。特に心身がリラックスモードになるはずの夜間や横になったときに、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、息苦しさを感じやすくなることがあります。

その他の病気(逆流性食道炎、肥満など)

上記以外にも、横になったときの息苦しさに関係する可能性のある病気があります。

  • 逆流性食道炎: 胃の内容物(胃酸など)が食道に逆流し、食道に炎症を起こす病気です。典型的な症状は胸やけやゲップですが、胃酸が喉や気管支にまで逆流すると、慢性的な咳や声枯れ、のどの違和感、そして息苦しさを引き起こすことがあります。特に食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすいため、夜間や寝る前に症状が悪化しやすい特徴があります。
  • 肥満: 過度な肥満は、呼吸機能に様々な影響を与えます。腹部に脂肪がつくと横隔膜の動きが制限され、肺を十分に広げることが難しくなります。また、首周りの脂肪が多いと寝ている間に気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まります。これらの要因が組み合わさることで、横になったときに息苦しさを感じやすくなります。
  • 貧血: 血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、体中に酸素を運ぶ能力が低下した状態です。酸素不足を補おうとして心臓や肺が活発に働くため、動悸や息切れを感じやすくなります。横になったときに血流の分布が変化することで、息苦しさをより強く感じることがあります。
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など): 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。全身の代謝が異常に高まり、心臓の拍動が速くなったり強くなったり(動悸)、息切れや息苦しさを感じることがあります。
  • 薬剤の副作用: 一部の降圧薬(β遮断薬など)や抗不整脈薬、解熱鎮痛剤などが、副作用として気管支を収縮させたり、呼吸抑制を引き起こしたりして息苦しさを招くことがあります。

横になったときの息苦しさは、このように様々な原因が考えられます。特に心不全や重度の呼吸器疾患など、速やかな治療が必要な病気が隠れている可能性もあるため、症状が続く場合や悪化する場合は注意が必要です。

横になった時の息苦しさへの対処法

横になったときの息苦しさを感じた場合、原因が一時的な生理現象であれば、ご自宅でできる対処法を試すことで症状が和らぐことがあります。ただし、これはあくまで一時的な緩和策であり、病気が原因の場合は医療機関での治療が必要です。

姿勢や寝具の工夫

寝るときの姿勢や使う寝具を工夫することで、呼吸を楽にすることができます。

枕を高くする

仰向けで寝ると腹部の圧迫や体液の移動によって息苦しさを感じやすい場合、枕を高くして上半身を起こし気味に寝ることで、症状が和らぐことがあります。

  • 効果: 上半身を起こすことで、重力によって腹部臓器による横隔膜への圧迫が軽減されます。また、肺や心臓周りへの血液・水分の移動が抑えられ、肺の広がるスペースを確保しやすくなります。心不全による肺うっ血が原因の起座呼吸の場合、体を起こすことで肺のうっ血が軽減され、劇的に息が楽になることがあります。
  • 具体的な方法: 通常よりも高めの枕を使ったり、複数の枕やクッションを重ねて背中から頭にかけて傾斜をつけたりします。これにより、約30度から45度程度の上半身を起こした状態(ファウラー位やセミファウラー位と呼ばれます)を保つようにします。ただし、高すぎると首に負担がかかる場合があるので、ご自身が楽に呼吸できる高さで調整しましょう。

横向きで寝る

仰向けで寝ると舌が沈み込み気道が狭窄しやすい睡眠時無呼吸症候群や、いびきがひどい場合、横向きで寝ることで改善することがあります。

  • 効果: 横向きで寝ることで、重力による舌の沈み込みが軽減され、気道が確保されやすくなります。
  • 具体的な方法: 抱き枕を使ったり、背中にクッションを挟んだりすることで、寝ている間に仰向けにならないように工夫します。どちらの横向きが良いかは個人差がありますが、一般的には左側を下にして寝る方が、胃酸の逆流を防ぎやすいと言われています(ただし、心臓病の場合は右側を下にした方が心臓への負担が少ないという説もあります。これはあくまで一説であり、医師にご相談ください)。ご自身が最も呼吸しやすい向きを見つけましょう。

環境の調整(換気、加湿)

寝室の環境を整えることも、息苦しさの緩和につながることがあります。

  • 換気: 寝室の空気がこもっていると、酸素濃度がわずかに低下したり、ハウスダストなどのアレルゲンが浮遊したりして、呼吸器に負担をかけることがあります。寝る前に部屋の換気を行い、新鮮な空気を取り入れましょう。
  • 加湿: 空気が乾燥していると、気道が乾燥して刺激に弱くなったり、痰が粘っこくなって絡みやすくなったりすることがあります。特にぜんそくなど気道が敏感な方は、乾燥によって症状が悪化しやすいです。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、寝室の湿度を適切に保ちましょう(一般的に湿度は50%前後が良いとされています)。ただし、加湿しすぎるとカビやダニの発生原因にもなるため注意が必要です。

ストレス軽減やリラックス方法

精神的な要因や自律神経の乱れによる息苦しさの場合、リラックスすることが非常に重要です。

  • 深呼吸や腹式呼吸: 息苦しさを感じると、つい浅く速い呼吸になりがちですが、これはかえって息苦しさを悪化させることがあります。ゆっくりと鼻から息を吸い込み、お腹を膨らませ、口から細く長く息を吐き出す腹式呼吸を意識的に行うことで、リラックス効果が得られ、呼吸も深くなります。
  • リラクゼーション: 就寝前に温かいお風呂に入る、好きな音楽を聴く、アロマを焚く、軽いストレッチやヨガを行うなど、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。これにより、過剰な緊張が和らぎ、息苦しさが軽減されることがあります。
  • デジタルデトックス: 寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていると、脳が興奮してリラックスしにくくなります。就寝1時間前からはデジタルデバイスの使用を控え、心身を落ち着かせるようにしましょう。

症状緩和のための自宅ケア(水分、市販薬など)

  • 水分摂取: 喉や気道が乾燥していると、咳が出やすくなったり、痰が絡みやすくなったりして息苦しさにつながることがあります。就寝前にコップ一杯の水を飲むなど、適度に水分を摂取しましょう。これにより、気道粘膜の乾燥を防ぎ、痰を柔らかくして出しやすくする効果が期待できます。
  • 市販薬: 鼻詰まりが原因で息苦しさを感じる場合は、市販の点鼻薬や内服薬(抗ヒスタミン薬など)が有効な場合があります。しかし、これらの薬は眠気を引き起こしたり、他の薬剤と飲み合わせが悪かったりすることがあります。また、あくまで対症療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。市販薬を使用する場合は、必ず薬剤師に相談し、使用上の注意をよく読んでから使用しましょう。息苦しさが病気によるものの場合は、市販薬で対応せず医療機関を受診することが重要です。

これらの対処法は、あくまで症状を一時的に和らげるためのものです。ご自身の判断だけで対処し続けるのではなく、特に症状が続く場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。

こんな症状があれば要注意!病院へ行く目安

「横になると息苦しい」という症状は、放置してはいけない病気のサインである可能性があります。特に以下のような症状を伴う場合や、症状に変化がある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

息苦しさ以外の症状(胸痛、動悸など)

息苦しさに加えて、以下の症状が一つでも現れている場合は、重大な病気の可能性が高まります。

  • 胸の痛みや圧迫感: 心臓病(狭心症、心筋梗塞など)の可能性があります。特に胸の中央部や左胸が締め付けられるような痛み、重い感じ、圧迫感がある場合は緊急性が高いです。痛みが肩や腕、顎、背中などに広がる場合も注意が必要です。
  • 動悸や不整脈: 心臓の拍動が速すぎる、遅すぎる、または不規則に感じられる場合。心臓のポンプ機能が低下しているサインや、危険な不整脈の可能性があります。
  • 冷や汗、吐き気、めまい: 心臓病の発作や、血圧の急激な変動など、緊急性の高い状態を示す場合があります。
  • 発熱、強い咳、黄色や緑色の痰: 肺炎や重度の気管支炎など、呼吸器感染症が疑われます。
  • ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴): 気道が狭くなっているサインであり、ぜんそくやCOPDなどの呼吸器疾患が強く疑われます。
  • 足のむくみや体重増加: 体内の水分バランスが崩れているサインであり、心不全による肺うっ血や、腎臓の病気などが疑われます。特に両足のすねや甲がむくんでいる場合や、短期間で体重が急に増えた場合は注意が必要です。
  • 顔色や唇が紫色になる(チアノーゼ): 体内の酸素が不足している重篤なサインです。速やかな医療処置が必要です。
  • 意識の混濁や朦朧とする、呼びかけへの反応が鈍い: 脳への酸素供給が不十分になっているサインであり、非常に危険な状態です。

これらの症状は、心臓や肺に深刻な問題が起きている可能性を示唆しており、発見が遅れると命に関わることもあります。ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。

症状が持続または悪化する場合

息苦しさ以外の症状を伴わない場合でも、以下のような状況であれば医療機関の受診が必要です。

  • 横になると毎回のように息苦しい: 一時的な生理現象ではなく、常に症状が現れる場合は、何らかの疾患が原因となっている可能性が高いです。
  • 寝ている途中で息苦しさで目が覚める: 特に座ると楽になる場合は、心不全による起座呼吸が強く疑われます。夜間に繰り返し目が覚める場合は、睡眠の質も低下し、日中の活動にも影響が出ます。
  • 座っている時や安静時にも息苦しさを感じるようになってきた: 横になったときだけでなく、普段の生活でも息苦しさを感じるようになった場合は、病気が進行している可能性があります。
  • 症状が数日から数週間で徐々に増してきた: 急激ではないにしても、症状が明らかに悪化傾向にある場合は、病気が進行しているサインです。
  • ご自身で試した対処法(枕を高くする、姿勢を変えるなど)でも改善しない: 生理的な影響ではなく、根本的な原因がある可能性が高いです。

これらの目安に当てはまる場合は、ご自身だけで判断せずに、必ず医療機関を受診して医師の診断を受けるようにしてください。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することが、症状の改善や病気の進行予防につながります。

息苦しさを感じる場合に相談すべき診療科

「横になると息苦しい」という症状で、どの診療科を受診すれば良いか迷う方もいるかもしれません。考えられる原因によって、適切な診療科が異なります。

呼吸器内科

咳、痰、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、息切れといった呼吸器症状が主な場合や、喫煙歴がある場合は、呼吸器系の病気が原因である可能性が高いです。

  • 呼吸器内科で診る可能性のある病気: 気管支ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、気管支炎、肺線維症、睡眠時無呼吸症候群など。
  • 受診のタイミング: 咳や痰が続く、呼吸をすると変な音がする、風邪症状が長引いている、喫煙者で息切れが気になる、といった場合は呼吸器内科を受診しましょう。

循環器内科

動悸、胸痛、足のむくみ、血圧の問題など、心臓や血管に関する症状が主な場合、または心臓病のリスク因子(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)がある場合は、循環器系の病気が原因である可能性が高いです。

  • 循環器内科で診る可能性のある病気: 心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈、弁膜症、心筋症など。
  • 受診のタイミング: 横になると特に息苦しい(起座呼吸)、夜中に息苦しさで目が覚める、動悸や胸痛を伴う、足がむくむ、といった場合は循環器内科を受診しましょう。

心療内科・精神科

様々な検査を受けても身体的な異常が見つからず、強いストレスや不安を感じている場合、または過去にパニック障害などの精神疾患の既往がある場合は、精神的な要因が息苦しさに関わっている可能性があります。

  • 心療内科・精神科で診る可能性のある病気: 不安神経症、パニック障害、自律神経失調症、心身症など。
  • 受診のタイミング: 身体的な病気が否定されたが症状が続く、強いストレスや不安を感じている、パニック発作のような症状がある、といった場合は心療内科や精神科を検討しても良いでしょう。ただし、まずは身体的な原因を除外するために、内科(総合内科、呼吸器内科、循環器内科など)を受診するのが一般的です。

その他

原因がはっきりしない場合や、複数の症状がある場合は、まずはお近くの総合内科を受診するのも良い方法です。総合内科では幅広い疾患を診ることができ、必要に応じて専門の診療科に紹介してもらえます。

また、肥満が顕著な場合や、逆流性食道炎のような消化器症状も伴う場合は、それぞれの関連する診療科(肥満外来、消化器内科など)も選択肢に入りますが、まずは内科医に相談するのが良いでしょう。

ご自身の症状や状況に合わせて、適切な診療科を選択し、早めに医師に相談することが大切です。受診時には、いつから、どのような状況で(特に横になったときに)、他にどのような症状があるかなどを具体的に医師に伝えるようにしましょう。

【まとめ】横になると息苦しい症状、原因は様々!気になる場合は受診を

「横になると息苦しい」という症状は、誰にでも起こりうる一時的な生理現象から、注意が必要な病気まで、様々な原因が考えられます。

  • 生理的な影響(体位による重力や腹部の圧迫、気道の狭窄など)であれば、姿勢や寝具の工夫、環境調整などで緩和されることがあります。
  • しかし、ぜんそくやCOPDといった呼吸器疾患、心不全や狭心症などの心臓疾患、不安神経症やパニック障害といった精神的な要因、逆流性食道炎や肥満などのその他の病気が原因となっている可能性も十分にあります。特に心不全による起座呼吸は、「横になると息苦しい」症状の代表的な原因であり、注意が必要です。

ご自宅でできる対処法は一時的な緩和には役立ちますが、症状が続く場合、悪化する場合、または胸痛、動悸、足のむくみ、発熱などの他の症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。

原因の特定には、医師による詳しい問診や診察、必要に応じた検査(レントゲン、心電図、血液検査、呼吸機能検査など)が必要です。呼吸器内科、循環器内科、心療内科など、考えられる原因に応じて適切な診療科を受診しましょう。

「横になると息苦しい」という症状を軽く考えず、ご自身の体からのサインとして受け止め、不安な場合は必ず医療の専門家に相談してください。早期に適切な対応をすることで、安心して夜を過ごせるようになるでしょう。

免責事項

この記事の情報は、医学的な診断や助言の代わりになるものではありません。個々の症状については、必ず医師の診断を受けてください。この記事によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。

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