MENU

「やる気が起きない」「寝てばかり」の原因は?隠れた病気と対策

やる気が起きず、つい寝てばかりいる――。このような状態が続き、「自分はダメなのではないか」と自己嫌悪に陥ったり、「何か病気なのではないか」と不安になったりしていませんか?
多くの人が、人生のどこかで「やる気が出ない」「だるくて動きたくない」と感じる時期を経験します。特に、「寝てばかりいる」という行動は、心や体がSOSを出しているサインかもしれません。
この状態には、身体的な要因、精神的な要因、そして環境的な要因など、様々な原因が考えられます。単なる怠けではなく、解消するためにはまずその原因を理解することが大切です。
この記事では、「やる気が起きない 寝てばかり」という状態の背景にある多様な原因を掘り下げ、隠れているかもしれない病気の可能性、そしてご自身でできる対処法や、専門家への相談が必要なケースについて詳しく解説します。この記事が、あなたがこの状態から抜け出すための最初の一歩となることを願っています。

やる気が起きない 寝てばかりいるのはなぜ?原因と対処法

「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態は、単一の原因で引き起こされるわけではありません。多くの場合、複数の要因が複雑に絡み合っています。ここでは、その主な原因を「身体的」「精神的」「環境的」の3つの側面から詳しく見ていきましょう。ご自身の状況に当てはまるものがないか、考えながら読み進めてみてください。

身体的な原因

私たちの体は、心と密接に関わっています。体の状態が整っていないと、脳や心も十分に機能せず、やる気が出なくなったり、過剰な眠気を感じたりすることがあります。

睡眠の質・量の問題

「寝てばかりいるのに、なぜか疲れが取れない」「いくら寝ても眠い」という場合、睡眠の質や量に問題があるのかもしれません。
睡眠時間が短すぎるのはもちろん、長すぎる睡眠も体内時計を乱し、かえってだるさや眠気、集中力の低下を引き起こすことがあります。特に休日に「寝だめ」をすると、平日とのギャップが大きくなり、月曜日に体がだるく感じる「ブルーマンデー」の原因にもなり得ます。
また、睡眠の質が低いと、たとえ長時間眠っていても脳や体の休息が不十分になります。寝ている間に何度も目が覚める、いびきがひどい、朝起きたときに熟睡感がないといった場合、睡眠の質に問題がある可能性が考えられます。不規則な睡眠時間や、寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用なども、睡眠の質を低下させる要因となります。

栄養不足や偏り

食生活の乱れも、やる気の低下や疲労感につながります。特に、エネルギー源となる糖質(複合炭水化物)の不足、脳の機能に関わるビタミンB群、神経伝達物質の合成に必要なタンパク質、酸素運搬に関わる鉄分などが不足すると、全身倦怠感や集中力の低下、気分の落ち込みを引き起こすことがあります。
極端なダイエットや偏食、インスタント食品中心の食生活は、知らず知らずのうちに栄養バランスを崩している可能性があります。また、血糖値の急激な変動も、眠気やだるさを招くことがあります。甘いものや加工食品ばかりを摂取すると、血糖値が急上昇した後に急降下し、「シックデイ」と呼ばれる疲労感や集中力低下の状態になることがあります。

ホルモンバランスの変化

ホルモンは体の様々な機能を調整しており、そのバランスが崩れると心身に不調が現れます。
例えば、甲状腺ホルモンは代謝を調整する重要なホルモンですが、このホルモンの分泌が低下する「甲状腺機能低下症」になると、全身の代謝が遅くなり、強い疲労感、むくみ、寒がり、気分の落ち込み、そして過剰な眠気やだるさといった症状が現れることがあります。「寝てばかりいる」状態の背景に、甲状腺機能低下症が隠れているケースは少なくありません。
また、女性においては、月経周期に伴うホルモンバランスの変化(月経前症候群:PMSや月経前不快気分障害:PMDD)や更年期におけるホルモン変動が、気分の落ち込み、イライラ、疲労感、眠気などにつながることがあります。
ストレスによって分泌されるコルチゾールなどのストレスホルモンも、慢性的に高い状態が続くと、心身を疲弊させ、やるきの低下や疲労感を引き起こします。

疲労の蓄積

心身の疲労が十分に回復しないまま蓄積されると、「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態になりやすくなります。疲労には、肉体的なものと精神的なものがあります。
肉体的な疲労は、運動や労働などで体を使いすぎたときに起こりますが、十分な休息や睡眠を取ることで比較的速やかに回復します。問題は、休息を取ってもなかなか回復しない慢性的な疲労です。
精神的な疲労は、ストレスや人間関係の悩み、仕事や学業でのプレッシャーなど、脳が継続的に緊張状態にあるときに蓄積されます。この精神的な疲労は、体の疲労よりも自覚しにくく、回復にも時間がかかる傾向があります。精神的な疲労が極限に達すると、脳の機能が低下し、思考力や判断力が鈍り、結果として「何も考えたくない」「ただ寝ていたい」という状態を引き起こすことがあります。
現代社会では、情報過多による脳疲労や、常にスマートフォンに触れていることによる精神的な緊張状態が、疲労蓄積の一因となっていることも指摘されています。

精神的な原因

心の状態は、私たちの行動や意欲に直接的な影響を与えます。やる気のなさや過剰な睡眠は、心が何らかのサインを送っている可能性があります。

ストレスや疲労感

過剰なストレスは、心身に多大な負担をかけます。特に、精神的なストレスは、脳の働きを鈍らせ、意欲や気力を低下させることがあります。職場での人間関係、仕事のノルマ、学業のプレッシャー、家庭内の問題など、様々なストレス要因が積み重なることで、心は疲弊しきってしまいます。
心が疲れてしまうと、「考えたくない」「何も感じたくない」という気持ちになり、現実から逃避するために過剰に眠ってしまったり、布団から出られなくなったりすることがあります。これは、心がこれ以上の負荷に耐えられなくなり、シャットダウンしようとしているサインとも言えます。
また、燃え尽き症候群のように、目標を達成した後に虚無感に襲われたり、やりがいを見失ったりすることで、急にやる気を失い、無気力な状態になることもあります。

無気力や何もしたくない気持ち

「特に辛い出来事があったわけではないのに、何もする気が起きない」「何を見ても、何を聞いても、心に響かない」といった無気力感も、「やる気が起きない 寝てばかりいる」状態の大きな原因の一つです。
これは、喜び、楽しみ、興味といったポジティブな感情が薄れてしまい、人生に対する意欲そのものが低下している状態です。このような無気力感は、特定の精神疾患の症状として現れることもありますが、原因がはっきりしないまま続くこともあります。
「何もしたくない」という強い気持ちは、現状に対する不満や、変化を起こすことへの恐れから生じることもあります。将来への不安や、自分の能力に対する自信のなさなども、行動を起こすことへのハードルを上げ、結果として現状維持(寝てばかりいること)を選択させてしまうことがあります。

現実逃避

辛い現実や向き合いたくない問題があるときに、そこから逃れる手段として「寝る」ことを選んでしまうことがあります。寝ている間は、嫌なことを考えずに済むため、一時的な安らぎを得られます。しかし、これは根本的な解決にはならず、目が覚めれば再び現実が待っています。
試験勉強から逃げたい、仕事の納期から逃げたい、人間関係のトラブルから逃げたいなど、逃げたい対象があるときに、無意識のうちに睡眠に逃避してしまうのです。この行動が習慣化すると、問題を解決する力が養われず、さらに自己肯定感が低下するという悪循環に陥る可能性があります。
また、過度に理想が高い、完璧主義であるといった傾向がある人は、理想と現実のギャップに苦しみ、行動を起こすことへのハードルが高くなり、「どうせうまくいかないなら、何もしない方がましだ」と考えて、現実逃避としての睡眠を選んでしまうこともあります。

環境的な原因

私たちの身の回りの環境も、心身の状態や意欲に影響を与えます。気づかないうちに、環境がやる気を奪っていることもあります。

生活リズムの乱れ

現代社会では、夜更かし、交代勤務、不規則な食事時間など、生活リズムが乱れやすい環境にあります。私たちの体には「体内時計」があり、本来は日の出とともに目覚め、日中に活動し、日没後に休息するというリズムで機能しています。
この体内時計が乱れると、自律神経やホルモンバランスに悪影響を及ぼし、睡眠障害、疲労感、集中力の低下、気分の落ち込みといった様々な不調を引き起こします。「夜遅くまで起きていて、朝起きられないから午前中は寝ている」「昼夜逆転してしまった」といった状況は、まさに生活リズムの乱れが原因で「寝てばかりいる」状態と言えます。体内時計の乱れは、光の浴び方にも大きく影響されます。夜遅くまで人工的な光を浴びたり、日中に日光を浴びる時間が少ないと、体内時計がリセットされず、ずれが生じやすくなります。

刺激の少ない環境

単調な毎日、変化のない人間関係、目標が見えない状況など、外部からの刺激が少ない環境も、やる気の低下につながることがあります。脳は新しい刺激や情報に触れることで活性化されますが、刺激が不足すると脳の活動が鈍り、意欲が湧きにくくなります。
特に、リモートワークが続き外出する機会が減った、退職して社会との繋がりが薄れた、育児で家にこもりきりになっているなど、生活がパターン化し、外部との接点が減ると、脳への刺激が減り、無気力感や疲労感を感じやすくなることがあります。
新しい挑戦や学びがない、達成感が得られる機会が少ないといった状況も、やる気を維持するためのモチベーションを低下させます。「どうせ何も変わらない」「何をしてもつまらない」といった考えが頭を占めるようになり、結果として「何もしたくない」と感じ、寝てばかりいる状態に繋がることがあります。

目次

もしかして病気?医療機関への相談目安

「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態が長く続いたり、日常生活に支障をきたしている場合は、単なる疲れや気のせいではなく、病気が原因となっている可能性も考えられます。ここでは、その背景にあるかもしれない主な病気と、医療機関への相談を検討すべき目安について説明します。

やる気が起きない寝てばかりが続く場合に考えられる病気

意欲の低下や過剰な睡眠は、様々な病気の症状として現れることがあります。自己判断で済ませず、専門家の意見を聞くことが大切です。

うつ病

うつ病は、気分の落ち込みや興味・関心の喪失を主な症状とする精神疾患です。しかし、うつ病の症状はそれだけにとどまりません。全身倦怠感、疲労感、集中力や思考力の低下、食欲の変化(増進または低下)、そして睡眠障害(不眠だけでなく、過眠や過剰な居眠り)なども典型的な症状です。
特に、非定型うつ病と呼ばれるタイプでは、気分の落ち込みよりも体が鉛のように重く感じる「鉛様麻痺」や、楽しいことがあると一時的に気分が晴れる「気分反応性」とともに、過食や過眠(寝ても寝ても眠い、一日中寝ていられる)が prominent に現れることがあります。「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態が2週間以上続き、他に複数の症状(食欲の変化、集中力低下、疲労感、自己肯定感の低下など)を伴う場合は、うつ病の可能性を疑い、医療機関を受診することが強く推奨されます。

適応障害

適応障害は、特定のストレス要因(職場の異動、人間関係の変化、引っ越しなど)にうまく対処できず、心身に様々な不調が現れる状態です。症状はストレス要因に暴露されてから3ヶ月以内に現れ、ストレス要因がなくなると症状が改善するのが特徴です。
症状としては、気分の落ち込み、不安、イライラ、涙もろさといった精神的なものに加え、不眠、過眠、全身倦怠感、頭痛、腹痛などの身体的な症状も現れます。特定の状況下で強い疲労感に襲われたり、家に帰ると何もする気が起きず寝てばかりいる、といった場合、適応障害の可能性が考えられます。ストレスの原因が比較的明確な場合に疑われます。

睡眠障害(過眠症など)

睡眠障害には様々な種類がありますが、日中の過度な眠気や過眠を主な症状とするものも含まれます。
ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気に襲われ、場所や状況を選ばずに眠り込んでしまう病気です。情動性脱力発作(強い感情の動きに伴って体の力が抜ける)や入眠時幻覚などを伴うこともあります。
特発性過眠症は、夜間の十分な睡眠にも関わらず、日中に耐え難い眠気に襲われる病気です。仮眠を取っても眠気が解消されにくいのが特徴です。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まる・弱くなる病気で、睡眠の質が著しく低下します。その結果、日中に強い眠気や疲労感を感じ、「寝てばかりいる」状態につながることがあります。大きないびきや、家族から睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある場合は、この病気を疑う必要があります。
これらの睡眠障害は、単なる寝不足とは異なり、専門的な診断と治療が必要です。

自律神経失調症

自律神経は、体の様々な機能を無意識のうちに調整している神経系です。ストレスや不規則な生活などによって自律神経のバランスが崩れると、全身に様々な不調が現れます。これを自律神経失調症と呼びます。
症状は多岐にわたり、めまい、動悸、頭痛、腹痛、倦怠感、不眠、そして過剰な眠気やだるさも含まれます。検査をしても器質的な異常が見つからない場合に診断されることが多く、症状は不安定で、日によって、あるいは時間帯によって変化することもあります。だるさや疲労感が強く、横になっていたいと感じる時間が長い場合、自律神経失調症の可能性も考えられます。

甲状腺機能低下症

前述したように、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。全身の代謝が落ち込むため、強い疲労感、無気力、気分の落ち込み、眠気、寒がり、皮膚の乾燥、むくみ、体重増加といった症状が現れます。特に女性に多く見られる病気ですが、男性にも起こります。血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることで診断されます。放置すると様々な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期発見・治療が重要です。「寝てばかりいる」ことに加え、体のむくみやだるさが目立つ場合は、この病気を疑ってみる価値があります。

病気が心配な場合の相談先

「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態が続き、病気の可能性が心配な場合は、一人で悩まず専門家である医師に相談しましょう。
まず、かかりつけ医や内科医に相談するのが良いでしょう。体の不調から来ている可能性を探るために、基本的な問診や身体診察、必要に応じて血液検査などを行ってくれます。甲状腺機能低下症などの内科的な病気が見つかることもあります。
精神的な要因や睡眠障害が強く疑われる場合は、心療内科や精神科、あるいは睡眠専門医への受診が適切です。心療内科は、ストレスなど心の問題が体に症状として現れている場合に、精神科は、うつ病などの精神疾患が疑われる場合に専門的な診療を行います。睡眠専門医は、睡眠障害の診断・治療に特化しています。
どの科を受診すべきか迷う場合は、まず内科で相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうのも一つの方法です。

【受診を検討する目安】

  • 「やる気が起きない」「寝てばかりいる」状態が2週間以上続き、改善が見られない
  • 気分の落ち込み、食欲の変化、不眠または過眠、疲労感、集中力低下など、他の症状も伴う
  • 日常生活(仕事、学業、家事、人間関係)に支障が出ている
  • 以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった
  • 体のだるさ、むくみ、寒がりなどが目立つ
  • 過度な眠気で、日中の活動中に何度も眠り込んでしまう

これらのサインが見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。早期に原因を特定し、適切な治療やアドバイスを受けることが、状態改善への近道となります。

やる気が起きない・寝てばかりの状態から抜け出すためのセルフケア

病気が原因ではない場合や、医療機関での治療と並行して、ご自身でできるセルフケアも多くあります。「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態から抜け出すために、以下の方法を試してみてください。小さな一歩から始めることが大切です。

生活習慣を見直す

基本的な生活習慣を整えることは、心身の調子を立て直す上で非常に重要です。

規則正しい生活を送る

体内時計を整えるために、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。休日も平日との差を1〜2時間以内にとどめるのが理想です。朝起きたらすぐにカーテンを開けて朝日を浴びると、体内時計がリセットされやすくなります。
寝る前にはカフェインやアルコールの摂取を控え、寝室は暗く静かに保ちましょう。寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用も避け、リラックスできる環境を整えます。

軽い運動を取り入れる

体を動かすことは、気分の改善に非常に効果的です。最初からハードな運動をする必要はありません。まずは1日15分程度のウォーキングやストレッチから始めてみましょう。家の周りを散歩する、エスカレーターではなく階段を使う、など、日常生活の中に少しずつ運動を取り入れる工夫をします。
運動は、脳内で気分を高揚させる神経伝達物質(セロトニンやエンドルフィンなど)の分泌を促す効果があります。また、適度な疲労感は夜間の睡眠の質を向上させることにもつながります。

バランスの取れた食事を心がける

3食欠かさず、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。特に、脳のエネルギー源となる炭水化物(ご飯、パン、麺類など)、タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)、ビタミン、ミネラル(野菜、果物、きのこ、海藻など)をバランスよく摂取することが重要です。
血糖値の急激な変動を抑えるために、甘いものや清涼飲料水、加工食品の過剰摂取は控えめにしましょう。必要な栄養素が不足している可能性がある場合は、サプリメントで補うことも検討できますが、まずは食事からの摂取を基本とします。水分補給も忘れずに行いましょう。

気分転換やリフレッシュをする

心にゆとりを作り、リフレッシュすることは、やる気を取り戻すために有効です。

好きなことや楽しい時間を作る

義務感ではなく、心から楽しめる時間を持ちましょう。趣味に没頭する、好きな音楽を聴く、映画を観る、友人や家族と談笑するなど、心が軽くなるような活動を取り入れます。
「やる気が起きない」状態が続くと、好きなことすら楽しめなくなることがありますが、意識的に楽しい時間を確保することで、少しずつポジティブな感情を取り戻せる可能性があります。

自然に触れる

公園を散歩する、ハイキングに行く、庭やベランダで植物を育てるなど、自然に触れる時間を持つことは、リラックス効果が高く、ストレス軽減に役立ちます。
木々や緑を眺めたり、土の匂いを嗅いだり、鳥の声を聴いたりすることで、心身の緊張が和らぎ、リフレッシュできるでしょう。晴れた日には、日当たりの良い場所で過ごすのもおすすめです。

瞑想やリラクゼーションを試す

心を落ち着かせるための方法として、瞑想や筋弛緩法、深呼吸などがあります。数分間、静かな場所で呼吸に意識を集中させるだけの簡単な瞑想でも、心のざわつきが落ち着き、リラックス効果を得られます。
また、体の各部分の筋肉に順番に力を入れてから一気に緩める筋弛緩法は、体の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。これらの方法は、疲れた心身を休ませるのに役立ちます。

考え方を変えてみる

心の持ち方や物事の捉え方を変えることも、やる気を取り戻す上で重要です。

完璧主義を手放す

「〜ねばならない」「〜でなければならない」といった強い思い込みは、自分を追い詰め、行動することへのハードルを上げてしまいます。完璧を目指すあまり、最初の一歩が踏み出せない、という経験はありませんか?
完璧主義を手放し、「まずやってみる」「完璧でなくても大丈夫」と自分に許可を与えましょう。失敗を恐れず、挑戦することそのものを肯定的に捉えるようにします。

小さな目標を設定する

「あれもこれもやらなければ」と一度に多くのことをやろうとすると、 overwhelming (圧倒される)な気持ちになり、結局何も手につかなくなることがあります。大きな目標がある場合は、達成可能な小さなステップに分解しましょう。
「今日はまず、朝起きたら着替える」「午前中にメールを1件返信する」「夕食後に15分だけ散歩する」といった、ハードルの低い目標から設定し、一つずつクリアしていくことで、達成感を得られ、次の行動への意欲につながります。To-Doリストを作成し、完了した項目にチェックを入れていくのも有効です。

「何もしない時間」を肯定する

やる気が出ないときに、無理に活動しようとして自分を責める必要はありません。「今は充電期間だ」「心と体が休養を求めているのだ」と、「何もしない時間」を肯定的に捉えましょう。
休息も必要なプロセスです。罪悪感を感じずに、ただゆっくり休む時間を持つことも、回復のためには重要です。ただし、「寝てばかりいる」状態が長期間続き、日常生活に支障が出ている場合は、休息だけでは解決しない病気の可能性も考えられますので注意が必要です。

寝てばかりいることのデメリット

「やる気が起きないから、仕方なく寝てばかりいる」「どうせ何もできないから、とりあえず寝ていよう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、過剰な睡眠や活動しない状態が長く続くことには、様々なデメリットがあります。

身体への影響

  • 筋力低下: 活動量が減ると、筋肉が衰えます。特に下半身の筋力は、立ったり歩いたりするのに必要不可欠であり、筋力低下は転倒リスクを高めるだけでなく、基礎代謝の低下にもつながります。
  • 肥満: 消費カロリーが減る一方で、食事内容は変わらない、あるいは食欲が増す場合、体重が増加しやすくなります。肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。
  • 血行不良: 長時間寝ている、座っている状態が続くと、血行が悪くなります。血行不良は、むくみ、肩こり、腰痛、冷えなどの原因となるだけでなく、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクも高まります。
  • 体内時計の乱れ: 日中に活動せず寝てばかりいると、夜間の睡眠が浅くなったり、寝付けなくなったりし、生活リズムがさらに乱れる悪循環に陥ります。これは、心身の不調をさらに悪化させる可能性があります。
  • 消化機能の低下: 活動量が少ないと、腸の働きが鈍くなり、便秘になりやすくなることがあります。

精神への影響

  • 自己肯定感の低下: 何も活動しない自分、目標を達成できない自分に対して、自己肯定感が低下しやすくなります。「自分はダメな人間だ」といったネガティブな感情が強まり、さらにやる気を失うという悪循環に陥ります。
  • 孤立感: 外出したり人と交流したりする機会が減るため、孤立感や孤独感を感じやすくなります。これは、気分の落ち込みをさらに悪化させる可能性があります。
  • 気分の落ち込みの悪化: 活動せず、刺激の少ない環境にいると、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れやすくなり、気分の落ち込みや抑うつ症状が悪化する可能性があります。
  • 問題解決能力の低下: 現実逃避として寝てばかりいると、問題から向き合う機会を失い、問題解決に必要な思考力や行動力が養われません。

日常生活への影響

  • 学業・仕事への支障: 集中力や思考力の低下、遅刻や欠席が増えることで、学業成績が落ちたり、仕事でミスが増えたり、最悪の場合、休職や退職に至る可能性もあります。
  • 人間関係の悪化: 家族や友人との約束をキャンセルしたり、連絡を絶ったりすることで、人間関係に亀裂が生じることがあります。周囲の理解を得られず、「怠けているだけ」と見なされてしまうこともあります。
  • 経済的な問題: 仕事ができなくなったり、社会との繋がりが薄れたりすることで、経済的に困窮するリスクが高まります。

これらのデメリットを理解することは、「寝てばかりいる」状態から抜け出すためのモチベーションになるかもしれません。小さな一歩でも良いので、活動量を増やしていくことが大切です。

まとめ:やる気が起きない寝てばかりいる状態とどう向き合うか

「やる気が起きない」「寝てばかりいる」という状態は、心身が休息を求めているサインであると同時に、解決すべき根本的な原因が隠れている可能性も示しています。単なる怠けと片付けず、その背景にある理由を探ることが、改善への第一歩です。

原因は、睡眠不足や栄養の偏りといった身体的なもの、ストレスや無気力感といった精神的なもの、生活リズムの乱れや刺激の少ない環境といった環境的なものなど、多様です。多くの場合、これらの要因が複合的に絡み合っています。

もし、この状態が長く続いたり、日常生活に大きな支障が出ている場合は、うつ病、適応障害、睡眠障害、自律神経失調症、甲状腺機能低下症といった病気が隠れている可能性も考えられます。このような場合は、自己判断せず、内科、心療内科、精神科、睡眠専門医などの専門医に相談することが非常に重要です。早期に適切な診断と治療を受けることで、改善に向かうことができます。

病気が原因でない場合や、医療機関での治療と並行して、ご自身でできるセルフケアも効果的です。規則正しい生活、バランスの取れた食事、軽い運動といった生活習慣の見直しは、心身の調子を整える基本です。また、好きなことをする時間を作る、自然に触れる、瞑想するなど、気分転換やリフレッシュを意識的に取り入れることも大切です。さらに、完璧主義を手放し、小さな目標を設定するなど、物事の捉え方や考え方を変えてみることも有効です。

「寝てばかりいる」状態を放置すると、筋力低下や肥満といった身体的な問題、自己肯定感の低下や孤立感といった精神的な問題、そして学業や仕事への支障、人間関係の悪化といった日常生活への影響など、様々なデメリットが生じます。

この状態から抜け出すためには、焦らず、小さなできることから始めてみましょう。そして、一人で抱え込まず、家族や友人、あるいは専門家など、信頼できる人に相談することも非常に大切です。回復には時間がかかることもありますが、必ず光は見えてきます。この記事が、あなたの「やる気が起きない 寝てばかりいる」状態からの脱出を応援する一助となれば幸いです。


免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。ご自身の健康状態に関しては、必ず医療機関を受診し、医師の指導を仰いでください。本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

⚠️心療内科はオンライン診察のみ⚠️
ご予約は下記の専用LINEから
   診察はLINEで予約する▶︎
目次