
こちらの記事の監修医師
吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長
佐々木 洋
この記事では、あなたの状況に応じた大腸カメラの推奨頻度を詳しく解説します。ポリープの有無といった前回結果別の目安から、家族歴などのリスクに応じた考え方まで紹介します。
【早見表】あなたの状況別|大腸カメラの推奨頻度
大腸カメラを受けるべき頻度は、年齢だけで決まるものではなく、検査の目的や前回検査の結果、ご自身の健康状態によって一人ひとり異なります。
まずは、ご自身の状況がどれに近いか、以下の表で大まかな目安を確認してみましょう。
| 状況・所見 | 次回検査の考え方と注意点 | おおよその目安 |
|---|---|---|
平均リスク(症状なし、便潜血検査も陰性) | ・日本の対策型検診では、まず年1回の便潜血検査が基本 ・大腸カメラを毎年受ける必要はない | まずは便潜血検査から |
質の高い検査で異常なし(ポリープも全くなかった) | ・前回の検査で腸内がきれいな状態で、盲腸までしっかり観察できたことが前提 ・日本のガイドラインでは次回の検査まで比較的長い間隔を置ける | 5年後 |
小さなポリープを切除(10mm未満の低リスク腺腫を1〜2個) | ・ポリープの数や種類(病理結果)によって間隔が変わる ・完全に取り切れていることが条件 | 3~5年後 |
複数のポリープを切除(腺腫が3個以上など) | 新しいポリープができる可能性がやや高まるため、少し短い間隔での確認が推奨される | 3年後 |
高リスクな所見あり(大きい、数が多い、進行したタイプのポリープなど) | がんに進む可能性のある病変のため、より慎重な経過観察が必要。定期的な検査で大腸がんの発症と死亡率を大きく下げられます。※ | 1~3年後 |
| 大きなポリープを分割して切除 | 取り残しや局所的な再発がないかを確認するため、早めの再検査が必要になることがある | 6カ月前後 |
| 潰瘍性大腸炎などの持病がある | 長引く炎症はがんのリスクを高めるため、ポリープの有無とは別に、専門医による定期的なサーベイランス(監視)が必要 | 専門医と相談 |
【重要】この表はあくまで目安です
この検査間隔は、「質の高い検査」を受けられたことが大前提です。
例えば、前回検査の際に腸の洗浄が不十分だった場合、小さな病変が見逃されている可能性が否定できません。そうなると、表の目安どおりに間隔を空けるのは危険な場合があります。
適切な検査間隔を設定するためには、まず質の高い検査を受けることが何よりも重要です。※
また、血便や腹痛、急な便秘・下痢など、気になる症状が新たに出てきた場合は、次回の予定を待たずに、すぐに消化器内科を受診してください。

目的(予防か経過観察か)で見る検査間隔
大腸カメラと一言でいっても、その目的は主に「①予防」「②精密検査」「③経過観察」の3つに分けられ、それぞれで検査を受けるべきタイミングは全く異なります。
① 予防(スクリーニング)
特に症状がない健康な方が、将来の大腸がんを未然に防ぐために受ける検査です。日本の対策型検診では、40歳になったらまず年1回の便潜血検査を受けることが基本とされています。
そのうえで、大腸カメラはがんを早期発見するだけでなく、がんの”芽”であるポリープを発見し切除することで、がんになること自体を防ぐことができる、現在最も確実な予防法です。※ このため、40歳を過ぎたら一度は大腸カメラを受けておくことをお勧めします。② 精密検査
健康診断の便潜血検査で「陽性」と判定されたり、「血便が出た」「貧血を指摘された」「便秘や下痢が続く」といった何らかのサインがあったりする場合に、その原因を詳しく調べるために行います。これは「〇年おき」といった定期的なものではなく、症状や異常が見つかった時点でその都度必要になる検査です。
③ 経過観察(サーベイランス)
過去の検査でポリープや早期がんが見つかり、治療を受けた方が対象です。治療した場所に再発がないか、あるいは別の場所に新しい病変ができていないかを定期的にチェック(見守り)するために行います。この場合の検査間隔は、前回のポリープの数、大きさ、顔つき(病理検査の結果)などに応じて、1年後、3年後、5年後など、医師が個別に判断します。
年齢・リスク有無で見る検査間隔
「〇歳だから〇年おき」といった、年齢だけで検査間隔を一律に決めることはありません。年齢以上に重要なのが、一人ひとりが持つ大腸がんの「リスク」です。
確かに、年齢が上がるにつれて大腸がんになる方の割合は増えていきます。しかし、それだけで検査頻度を決めるのは、必ずしも最適な方法とはいえません。
年齢以上に検査間隔を左右するのが、以下のようなリスク要因の有無です。
- 家族歴: 親や兄弟姉妹に大腸がんになった方がいる
- 既往歴: ご自身が過去に大腸ポリープや大腸がんの治療を受けたことがある
- 持病: 潰瘍性大腸炎やクローン病といった、大腸に長く炎症が続く病気がある
これらのリスクに当てはまる方は、症状がない平均的なリスクの方とは異なる、より個別化された検査計画が必要になります。専門医は、こうしたリスクを総合的に評価し、その方に本当に合った「適切な検査のタイミング」を見極めています。※
一方で、特にリスクがなく、前回の検査でも全く異常がなかった方は、必要以上に頻繁に検査を受ける必要はないと考えられています。
【年齢別】大腸カメラを受ける頻度の目安
大腸カメラの検査間隔を考えるとき、「〇歳だから〇年に1回」といった年齢だけで一律に決めることはありません。確かに年齢はリスク要因の一つですが、それ以上に大切なのが、お一人おひとりの腸の状態や背景にあるリスクです。
例えば、同じ50代の方でも、前回の検査でポリープが一つもなかった方と、複数切除した方とでは、次にがんの芽が発生する可能性は全く異なります。
実際の検査間隔は、
- 前回の検査で何が見つかったか(ポリープの有無、数、大きさ)
- 便潜血検査の結果
- 血便や腹痛といった症状の有無
- ご家族の病歴
などを総合的に評価し、いわば「オーダーメイド」で決めていくのが基本です。
40代で初めて受ける場合
40代は、大腸がんのリスクが少しずつ顔を出し始める、いわば「予防の分岐点」ともいえる大切な時期です。日本では40代から大腸がんになる方が増え始め、症状がない方でも、まずは年1回の大腸がん検診(便潜血検査)を習慣にすることが推奨されます。
その上で、特に以下に当てはまる方は、40代であっても一度、大腸カメラを受けることをお勧めします。
- 健康診断の便潜血検査で「陽性」と判定された
- 血便や腹痛、急な便秘・下痢など、気になるお腹の症状がある
- 原因不明の貧血を指摘された
- 親や兄弟姉妹に大腸がんになった方がいる
近年、世界的に50歳未満で発症する「若年発症大腸がん」の増加が問題視されており、米国など一部の国では、症状のない方への検査開始年齢を45歳に引き下げる動きも出ています。しかし、それだけでは防ぎきれないケースも報告されており、個々のリスクや症状に目を向けることの重要性が指摘されています。※
40代での検査は、決して早すぎることはありません。一度検査を受けてご自身の腸の状態を知ることで、もしポリープが見つかれば切除による予防ができますし、何もなければ「次の検査は5年後で大丈夫」といった安心材料と具体的な計画を得られます。
50代・60代の推奨検査間隔
50代・60代は、大腸がんになる方の数が本格的に増えてくる年代です。だからこそ、定期的なチェックを続けることが重要になりますが、それは「毎年必ず検査を受けるべき」という意味ではありません。この年代の検査間隔を決める上で最も重要なカギとなるのは、「前回の検査結果」です。
前回、質の高い検査で「異常なし」だった方
腸内がきれいな状態であることが確認できていれば、次は5年後といった比較的長い間隔を置くことが日本のガイドラインでも検討されています。
前回、ポリープを切除した方
切除したポリープの数や大きさ、「顔つき」(病理検査の結果)によって、1年後、3年後など、より短い間隔での慎重な経過観察が必要になります。
また、便潜血検査で陽性になった場合は、前回のカメラから1年しか経っていなくても、ためらわずに精密検査を受けてください。
そして何よりも注意したいのが、血便、腹痛、排便習慣の急な変化(便秘や下痢)、原因不明の貧血といった「レッドフラッグ症状」です。これらは、がんなどの病変によって腸管内が傷ついたり狭くなったりしているサインの可能性があり、若年層のがん発見のきっかけとしても重要視されています。※ 次回の検査予定がまだ先であっても、これらの症状に気づいた場合は、絶対に放置せず、すぐに消化器内科へご相談ください。
【リスク別】検査間隔を短くすべき人の特徴
大腸カメラの検査間隔は、平均的なリスクの方よりも大腸がんになりやすい特定の要因をお持ちの場合、より短い間隔での定期的なチェックが欠かせません。ご自身が当てはまるものはないか、一度確認してみましょう。
家族に大腸がんやポリープの既往歴がある
ご両親、兄弟姉妹、お子さんといった血縁の近い方(第一度近親者)に大腸がんやポリープの治療歴がある方は、ご自身のリスクも高まるため、検査間隔を短くすることを検討します。
特に、以下のようなご状況では、より注意深い経過観察が必要です。
- ご家族に大腸がんになった方が複数いる
- 50歳未満の若さで大腸がんになったご家族がいる
日本のガイドラインでは、ご家族が大腸がんになった年齢よりも10年ほど若い年齢から大腸カメラを受け始めることが、一つの考え方として示されています。
ただし、家族歴はあくまでリスク要因の一つです。近年増加している50歳未満の「若年発症大腸がん」では、ほとんどのケースで明確な家族の集まり(家族集積性)は認められていません。※ つまり、家族にがんの人がいなくても安心はできず、逆に家族歴があるからといって過度に心配する必要もありません。
ご家族から「ポリープがあった」と聞いているだけでは、それががん化するタイプのものだったかまではわかりません。まずは一度、消化器内科の医師にその情報をお伝えいただき、ご自身に合った検査計画を相談することが大切です。
潰瘍性大腸炎やクローン病の持病がある
潰瘍性大腸炎やクローン病といった、長期間にわたり大腸に炎症が続く病気(炎症性腸疾患)をお持ちの方は、特別な監視プログラムに沿った検査が必要です。
これは、一般的なポリープから発生するがんとは異なり、長く続く炎症そのものが、がんの発生土壌となりうるためです。「炎症性腸疾患関連がん」と呼ばれるこのタイプのがんを早期に発見するため、「サーベイランス内視鏡」という特別な監視体制で注意深く観察します。
検査の間隔は一律ではなく、主治医が以下の状況を総合的に判断して決定します。
- 病気になってからの期間(おおむね8年以上が目安)
- 炎症が及んでいる範囲(大腸の一部か、全体かなど)
- 炎症の活動性の程度(落ち着いているか、活発か)
- 過去にがんの前段階である「異形成(いけいせい)」が見つかったことがあるか
これらの病気をお持ちの方がご自身の判断で検査間隔を空けてしまうのは大変危険です。必ず消化器内科、特に炎症性腸疾患を専門とする主治医と緊密に連携し、オーダーメイドの検査計画を立てるようにしてください。
過去に腹部の放射線治療を受けたことがある
過去に子宮がんや前立腺がんなど、別のがん治療でお腹や骨盤のあたりに放射線治療を受けた経験がある方は、将来的な大腸がんのリスクが少し高まる可能性が指摘されています。
これは、治療に必要な放射線が、周囲の正常な大腸粘膜の遺伝子に傷をつけ、長い年月を経てがん化につながることがあるためです。
そのため、一般の方とは異なる頻度での検査を検討しますが、現時点で日本には「何年おき」という一律の基準は定められていません。放射線を当てた場所や量、治療を受けたときの年齢などを考慮して、個別に判断されます。
海外の基準では、治療から一定期間が経過した後、3〜5年ごとの大腸カメラを検討する考え方もあります。特に、お子さんの頃や若い時期に放射線治療を受けた方は、長期的な健康管理が大切です。治療後のフォローアップを担当する「がんサバイバーシップ外来」や消化器内科の医師に、今後の大腸のチェックについて一度相談してみましょう。
【前回結果別】ポリープ切除後の次の検査はいつ?
大腸カメラの検査間隔は、前回何が見つかったかによって大きく変わります。ただし、これからお話しする間隔は、腸内がきれいな状態で大腸の奥(盲腸)までしっかり観察でき、見つかったポリープは完全に取り切れている、といった「質の高い検査」が行われたことが大前提です。
ご自身の状況と照らし合わせながら、適切な検査計画の参考にしてください。

異常なし・ポリープもなかった場合
質の高い検査でポリープなどの病変が全く見つからなかった場合、次回の検査は5年後がひとつの目安となります。
大腸がんの多くは、良性のポリープが何年もかけてゆっくりと成長し、がん化することで発生します。
そのため、一度の精密な検査で大腸全体がきれいな状態であることが確認できれば、その後数年間はがんが発生するリスクが極めて低いと考えられるのです。
実際に、日本のガイドラインでも、質の高い検査で異常がなかった場合は、5年後の検査を考慮する考え方が示されています。
ただし、これはあくまで症状がない方の話です。次の検査までの間に、
- 便に血が混じる
- 便秘や下痢を繰り返す
- お腹の張りが続く
- 原因不明の貧血や体重減少がある
このような症状が現れた場合は、5年を待たずに速やかに消化器内科へご相談ください。
小さなポリープ(腺腫)が1〜2個見つかった場合
がんになる可能性が低い小さなポリープ(腺腫)を1〜2個切除した場合、次の検査は3〜5年後が目安です。
ポリープが見つかると「毎年検査した方が安心なのでは?」とご不安になるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
日本のガイドラインでは、大きさが10mm未満でがん化のリスクが低い「低リスク腺腫」が1〜2個で、それらを完全に切除できた場合、次回の検査は3〜5年後が妥当とされています。
これは、ポリープをきちんと取り切ることで、がん化のリスクを一度リセットできるためです。過度に短い間隔で検査を繰り返す必要はないと考えられています。
もちろん、前回の検査時に腸の洗浄が不十分だったり、ご家族に大腸がんの方がいたりする場合は、医師の判断でより短い間隔での検査をご提案することもあります。
大きなポリープや多数のポリープを切除した場合
がん化のリスクが高いポリープや、たくさんのポリープを切除した場合は、新しい病変ができる可能性に注意が必要なため、1〜3年後という短い間隔での検査が推奨されます。
特に、以下のような「高リスク」と判断される所見があった場合は、より慎重な経過観察が大切です。
- ポリープ(腺腫)が3個以上あった
- 10mm以上の大きなポリープがあった
- がんに近い顔つきのポリープ(専門的には高異型度腺腫や絨毛成分を含むポリープ)があった
- ポリープがごく早期のがん(粘膜内がん)を含んでいた
このような場合は、病状に応じて1〜3年後の検査が推奨されます。また、特に大きなポリープを分割して切除した際は、取り残しがないかを確認するため、6カ月前後で再検査を行うこともあります。
最近の海外の研究では、高リスクの腺腫を切除した後のサーベイランス(経過観察)を、従来の3年後ではなく5年後から開始しても、大腸がんの発生率に大きな差はなかったという報告も出ています※。
しかし、これはあくまで研究段階の話であり、個々のポリープの種類・数・大きさによって最適な時期は全く異なります。ご自身の判断で間隔を空けるのは大変危険ですので、必ず担当医と相談して次回の予定を決めましょう。
大腸カメラの頻度にまつわる疑問
大腸カメラの適切な間隔について、「毎年受けないと不安」「間隔を空けすぎたらどうしよう」「一体何歳まで続ければいいのだろう」といった疑問は、多くの方が診察室でお話しされます。
大腸がんを予防できる強力な武器である一方、検査には身体的・時間的な負担も伴います。
ここでは、そうした皆さんの疑問にお答えし、ご自身が納得して検査と向き合うための考え方を解説します。
検査を頻繁に受けすぎることのデメリットは?
検査を医学的な必要性以上に頻繁に受けることには、いくつかのデメリットが考えられます。
主なデメリットは以下の3点です。
- 身体的な負担: 検査前の下剤の服用は、特にご高齢の方や心臓・腎臓に持病をお持ちの方にとって、脱水や電解質のバランスを崩すきっかけになる場合があります。
- 偶発症(合併症)のリスク: 大腸カメラは安全性の高い検査ですが、ゼロリスクではありません。ごくまれに、内視鏡で腸に穴が開いてしまう「穿孔(せんこう)」や、ポリープを切除した後の出血といった偶発症が起こる可能性はあります。
- 時間的・経済的な負担: 検査やその準備には、一定の時間と費用がかかります。
「念のため」と毎年検査を受けることは、こうした負担やリスクを不必要に増やしてしまう可能性があります。
だからこそ、やみくもに回数を重ねるのではなく、ご自身の腸の状態に合わせた適切な間隔で、一度一度の検査の質を高めることが何より重要です。質の高い検査は、不要な再検査を減らし、結果的に心身の負担を軽減することにもつながります。※
推奨より間隔を空けすぎた場合のリスクとは?
推奨される検査間隔をご自身の判断で大幅に空けてしまうと、がんの”芽”であるポリープを発見・治療できる絶好の機会を逃してしまう可能性があります。
大腸がんの多くは、ポリープが数年という長い時間をかけてゆっくりと大きくなり、がん化することで発生します。適切な間隔で検査を受けていれば、がんになる前の「ポリープ」の段階で安全に切除できるのです。
特に、前回の検査でがん化しやすい「高リスク」なポリープを切除した方は、医師から指示された間隔を守ることがご自身の健康を守る上で非常に大切です。
とはいえ、予定より数カ月ずれたからといって、過度に心配する必要はありません。
最近では、高リスクなポリープを切除した方々を対象とした海外の大規模な研究で、次回の検査を従来の「3年後」ではなく「5年後」に設定しても、その後の大腸がんの発生率に大きな違いはなかった、という結果も報告されています。※
これは、きちんとポリープを取り切れていれば、過度に短い間隔で検査を繰り返さなくても安全性を保てる可能性を示唆するものです。
自己判断で間隔を空けるのは危険ですが、推奨された時期が近づいたら、まずは主治医に相談し、次の検査のタイミングを一緒に決めていきましょう。
何歳まで受け続けるべきか
大腸カメラを何歳まで受けるべきかについて、医学的に「〇歳で終わり」という明確な年齢の上限はありません。お一人おひとりの健康状態や人生観などを踏まえ、医師と相談しながら個別に判断していきます。
日本のガイドラインでは、市区町村などが行う対策型検診としての便潜血検査は74歳までが一つの目安とされています。
しかし、これはあくまで集団に対する基準です。75歳以上であっても、お元気に過ごされており、検査を受けるメリットがデメリットを上回ると考えられる場合には、検査を続ける意義は十分にあります。
ここで最も大切な判断基準となるのが、「もし、がんが見つかった場合に、治療を乗り越える体力があり、その後の生活の質(QOL)をより良くできるか」という視点です。
「もう高齢だから」と一律にやめてしまうのではなく、ご自身の体調や「これからどんな生活を送りたいか」という価値観について、ぜひご家族やかかりつけ医と話し合い、納得のいく形で決めていきましょう。
まとめ
大腸カメラの検査頻度は、年齢で一律に決まるものではありません。
前回の検査結果や家族歴などのリスクに応じ、オーダーメイドで決めていくのが基本です。
ポリープの有無や数によっても、推奨される間隔は1〜5年と大きく異なります。
自己判断で間隔を変えず、質の高い検査を適切なタイミングで受けることが大切です。
それが将来的な大腸がんの予防と、ご自身の安心につながります。
ご自身の最適な検査時期がわからない場合や、気になる症状がある方は、一人で悩まず消化器内科の医師に相談してみましょう。
参考文献
- Asombang AW, Tazinkeng N, David Y, Rex DK. “Screening for Colorectal Cancer with Colonoscopy.” Gastrointestinal endoscopy clinics of North America 36, no. 4 (2026): 659-672.
- Hagen R, Anderson JC. “Ensuring High-Quality Colonoscopy: A Review.” Gastrointestinal endoscopy clinics of North America 36, no. 4 (2026): 689-701.
- Ataca E, Çınaroğlu D, Tarhan MO, Ellidokuz H. “Screening effectiveness and diagnostic gaps in early-onset colorectal cancer: A systematic review.” Cancer epidemiology 105, no. (2026): 103231.
- Jover R, Bretthauer M, Cubiella J, et al. “Colonoscopy Intervals and Colorectal Cancer Incidence after Adenoma Removal.” The New England journal of medicine 395, no. 11 (2026): 1051-1061.
- Martin-Moreno JM, Cabañas-Alite L, Fernández-Benet IE, et al. “Closing the Diagnostic Gap in Early-Onset Colorectal Cancer: Red-Flag Symptoms, Screening, and Inherited Risk.” Cancers 18, no. 17 (2026): .
追加情報
[title]: Screening for Colorectal Cancer with Colonoscopy.
大腸カメラを用いた大腸がん検診
【要約】
- 大腸がんは世界的に大きな負担となっており、特にオーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパでの発生率が高く、若年層での発症も増加している。
- 大腸カメラは現在の大腸がん検診におけるゴールドスタンダードであり、前がん病変の発見と切除(ポリペクトミー)を行うことで、がんの発症率と死亡率を大幅に低下させる。
- 大腸カメラの実施には、患者側(不安、リテラシー)、医療提供者側(推奨、コミュニケーション)、システム側(アクセス、コスト)といった複数の障壁が存在する。
- AI技術やロボット大腸カメラ、高度な光学技術などの進歩により、病変の検出精度や検査の安全性が向上し、検診受診率の改善と大腸がんの予防が期待されている。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42692771
[quote_source]: Asombang AW, Tazinkeng N, David Y and Rex DK. “Screening for Colorectal Cancer with Colonoscopy.” Gastrointestinal endoscopy clinics of North America 36, no. 4 (2026): 659-672.
[title]: Ensuring High-Quality Colonoscopy: A Review.
高品質な大腸カメラ検査の確保:レビュー
【要約】
- 大腸カメラ検査はポリープの発見と切除により大腸がんを予防する。検査の質を高めることは、腺腫や鋸歯状ポリープの検出率を最適化し、検査後大腸がん(PCCRC)のリスクを低減するために不可欠である。
- 検査の質を維持するための主要な指標として、腸管洗浄の適切さ、盲腸到達率、腺腫発見率、1検査あたりの腺腫数、無茎性鋸歯状病変の発見率、および観察時間が重要である。
- PCCRCの発生率を下げるためには、適切な腸管前処置が重要である。また、本論文では適切な検査適応、正確な記録の作成、および推奨されるスクリーニングや経過観察の間隔についても論じている。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42692773
[quote_source]: Hagen R and Anderson JC. “Ensuring High-Quality Colonoscopy: A Review.” Gastrointestinal endoscopy clinics of North America 36, no. 4 (2026): 689-701.
[title]: Screening effectiveness and diagnostic gaps in early-onset colorectal cancer: A systematic review.
若年発症大腸がんにおけるスクリーニングの有効性と診断のギャップ:システマティックレビュー
【要約】
- 50歳未満で発症する若年発症大腸がん(EOCRC)の増加が世界的に続いており、一部の国ではスクリーニング開始年齢を45歳に引き下げているが、現行の戦略だけでは不十分であることが明らかになった。
- 45歳から49歳の層では、それより若い年齢層と比較して腫瘍や進行腺腫の検出率が高いことが示された。一方で、多くのEOCRC症例がスクリーニング対象外となる45歳未満で発生しており、この層における診断の遅れと病期の進行が課題となっている。
- 現状の45歳からのスクリーニング推奨は支持されるものの、それだけではEOCRCの負担を抑えるには不十分である。今後は、個別のリスク評価の導入や、警告症状の早期認識、適時適切な診断評価を組み合わせた多角的なアプローチが必要である。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42743896
[quote_source]: Ataca E, Çınaroğlu D, Tarhan MO and Ellidokuz H. “Screening effectiveness and diagnostic gaps in early-onset colorectal cancer: A systematic review.” Cancer epidemiology 105, no. (2026): 103231.
[title]: Colonoscopy Intervals and Colorectal Cancer Incidence after Adenoma Removal.
ポリープ切除後の大腸カメラ(サーベイランス)の間隔と大腸がん発生率に関する研究
【要約】
- 高リスク腺腫(10mm以上のポリープ、高異型度、絨毛成分、または3〜10個の腺腫)を持つ患者を対象に、次回の検査間隔を「3年後」と「5年後」で比較する非劣性試験が行われた。
- 5.5年間の追跡期間における中間解析の結果、5年後に初回サーベイランスを受けた群の大腸がん累積発生率は0.77%、3年後に受けた群は0.82%であり、統計的に5年後の方が劣っていない(非劣性である)ことが確認された。
- 診断された大腸がんのステージ分布や、大腸がんによる死亡率においても、3年後群と5年後群で大きな差は見られなかった。
- この結果は、高リスク腺腫を切除した後のサーベイランスにおいて、5年後からの開始が従来推奨されていた3年後からの開始と比較して、安全性(大腸がん発生抑制)において劣らない可能性を示唆している。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42748427
[quote_source]: Jover R, Bretthauer M, Cubiella J, Barry SJE, Macios A, Barnett L, Erichsen R, Kaminski MF, Adami HO, Holme Ø, Ijspeert J, Ferlitsch M, Dinis-Ribeiro M, Pellise M, Martínez-Roca A, Baile-Maxía S, de-Castro L, Bujanda L, Díez-Redondo P, Nilsen JAN, Nguyen HD, Bernklev L, Tilma J, Løve US, Jaensch C, Pilonis ND, Szura M, Bialek A, van Berkel A, Spaander MCW, Ter Borg F, van Leerdam ME, Hernán MA, Regula J, Løberg M, Dekker E, Kalager M and EPoS Study Group. “Colonoscopy Intervals and Colorectal Cancer Incidence after Adenoma Removal.” The New England journal of medicine 395, no. 11 (2026): 1051-1061.
[title]: Closing the Diagnostic Gap in Early-Onset Colorectal Cancer: Red-Flag Symptoms, Screening, and Inherited Risk.
若年発症大腸がん(EOCRC)における診断の遅れを解消するために:レッドフラッグ症状、スクリーニング、および遺伝的リスクの評価
【要約】
- 50歳未満で発症する若年性大腸がん(EOCRC)は増加傾向にあり、通常のスクリーニング対象外となるケースが多いため、血便、腹痛、排便習慣の変化、鉄欠乏性貧血などの「レッドフラッグ症状」を早期に捉えることが重要です。
- 45〜49歳の平均リスク者を対象とした大腸カメラによるスクリーニングは臨床的に有意義ですが、高齢者と比較すると検出率は低く、がんの発生率や死亡率の減少を証明する直接的なエビデンスは現時点で限定的です。
- 家族歴は重要なリスク指標ですが、ほとんどの症例で明確な家族集積性は認められず、遺伝学的要因(病原性生殖細胞変異)が関与するのは一部の症例に限られます。
- EOCRCの早期発見には、警告症状に対する迅速な精密検査、家族歴の精査、診断への公平なアクセスを確保すること、および発症者に対する遺伝学的検査や家族の追跡調査を組み合わせた包括的なアプローチが不可欠です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42738397
[quote_source]: Martin-Moreno JM, Cabañas-Alite L, Fernández-Benet IE, Sánchez-Casalongue M and Alegre-Martinez A. “Closing the Diagnostic Gap in Early-Onset Colorectal Cancer: Red-Flag Symptoms, Screening, and Inherited Risk.” Cancers 18, no. 17 (2026): .

吉祥寺みどり内科・消化器クリニック 院長
佐々木 洋
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
- 日本肝臓学会認定 肝臓専門医
- 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定難病指定医
