潰瘍性大腸炎(UC)の原因
と治療法を医師が解説
こんな症状で
困っていませんか?
CHECK
- 血便が出る
- 下痢が出る
- 激しい腹痛
- 発熱がある
- 貧血を起こす
- 体重が減少する
上記の症状が多数当てはまる方は潰瘍性大腸炎の可能性があります。
潰瘍性大腸炎とは
大腸の粘膜に慢性的な炎症を起こし、びらんや潰瘍をつくってしまう病気です。軽症の方は下痢と血便が主症状ですが、症状が重くなるに従って腹痛や発熱も伴ってきます。最重症では内科的な治療に効果を示さず、大腸を手術にて摘出しなければならないこともあります。潰瘍性大腸炎は10代から30代位までに発症されることが多いですが、高齢の方でも発症することがあります。この病気は原因不明で、厚生労働省の指定難病に指定されています。とは言え、軽症の方が6割ほどを占め、適切な治療で通常の生活を送ることができる方がほとんどです。
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正常の方の腸の粘膜です。粘膜はみずみずしく、血管が透き通って見えています。
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軽症の潰瘍性大腸炎の方の粘膜です。粘膜に光沢がなく、ややむくんでいて血管が透けて見えません。粘膜の表面は凹凸がありところどころ赤くただれています。
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中等症の潰瘍性大腸炎の方の粘膜です。粘膜の表面がえぐれて潰瘍ができています。浸出液が付着し、内視鏡が触れると容易に出血したりします。
潰瘍性大腸炎の主な症状
大腸の粘膜に炎症を起こし、粘膜がえぐれてくるびらんや潰瘍を起こします。粘膜から出血するため血便を起こし、水分を吸収する機能が悪くなるため下痢を起こします。炎症が強くなれば腹痛を起こし、重症化すると発熱や貧血、体重減少を起こします。
お腹以外にも合併症を起こすことがあり、足首やひざの関節に炎症を起こす関節炎や、口内炎や壊疽性膿皮症・結節性紅斑と言った皮膚の病変等が起こることもあります。
潰瘍性大腸炎の原因は?
免疫が正常に機能しない自己免疫反応の異常や食生活の欧米化、腸内細菌の関与などが指摘されていますが原因は明らかになっていません。潰瘍性大腸炎は家族内での発症が見られることがあり、何らかの遺伝的因子が関与している可能性が指摘されていますが、その遺伝子は特定されていません。遺伝的因子だけで発症する可能性は低く、食べ物や生活環境などが絡んで発症すると考えられています。
潰瘍性大腸炎の治療
残念ながら病気の原因がわかっていないので根本的な治療はありません。ですので治療の考え方としては、大腸に起きている炎症を様々な方法で抑える治療を行っていきます。
潰瘍性大腸炎には炎症が強く、血便や下痢などが症状として現れている「活動期」と症状が抑えられている「寛解期」、また症状も抑えられ、粘膜も完全に正常な「粘膜治癒」の状態があります。
活動期は粘膜の炎症が強く起きている状態ですので粘膜の炎症を抑えていく治療がメインになります。大腸粘膜の炎症を抑えるための一般的な内服薬として5-ASA製剤は必須です。それに加え、中等症以上の患者様は、炎症を強く抑えるステロイドの投与や、免疫抑制薬、生物学的製剤を用い、まずは自覚症状が消失する寛解期をめざす治療を行います。最重症で内科的治療が効果を示さない場合は、手術にて大腸の摘出が必要になることもあります。
寛解期や粘膜治癒の状態でも、活動期ほどではなくても少量の5-ASA製剤の内服などを続け、寛解・粘膜治癒の状態をできるだけ維持していきます。患者様からいつまで飲み続ければ良いのかと質問を受けることがございます。治ったからといって治療に来なくなってしまう患者様もいらっしゃいますし、そのまま症状がでずに経過されることもあります。しかし、逆に治療を中断してしまったことがきっかけに、前回より急激に悪化してしまうケースも良く経験いたします。当院では基本的に患者様の状態に合わせて、少しだけの内服治療などを継続するほうが良いと説明させて頂いています。
当院で初めて潰瘍性大腸炎と診断される方も少なくありません。軽症から中等症のかたは、ステロイド、免疫抑制薬や生物学的製剤を含めた緩解導入療法を行っていきます。重症例に関しては、入院治療が必要になりますので、ご希望の医療機関や信頼できる地域の機関病院へご紹介させて頂きます。また、寛解されている患者様は生活に負担のかからないようになるべく通院回数を少なく、外来治療を継続していきます。
また、潰瘍性大腸炎は発病から長い時間が経過すると大腸がんの発生のリスクがありますので、定期的な内視鏡検査を行って参ります。
潰瘍性大腸炎の対策・対処法 |
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潰瘍性大腸炎の方は不規則な生活やストレスが症状を増悪させる可能性があるため、規則正しい生活を送ることが重要です。寛解期の方は食事や運動に関しては特別な制限はありませんが、活動期の方はカフェインやアルコールは悪化する可能性があるので控えて頂いたほうが良いです。慢性的な病気ではありますが、しっかり治療を続ければ普通の生活を送ることができます。 |
よくある質問
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潰瘍性大腸炎とクローン病の違いを教えてください。
基本的に潰瘍性大腸炎は大腸の病気で、大腸の粘膜が障害される病気です。一方クローン病は大腸以外の消化管にも障害が出ます。粘膜だけでなくその下にある筋層等も障害されるため、腸に穴が開いたり、狭窄したりすることもあります。共にしっかりとした治療をすることが重要です。
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潰瘍性大腸炎はストレスと関係性がありますか?
ストレスで潰瘍性大腸炎を発症することはありませんが、進学や転勤など環境が変わったときにストレスがかかったりすると症状が悪化するきっかけになることはあります。
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潰瘍性大腸炎を防ぐために日常からできることはありますか?
原因不明のため潰瘍性大腸炎の予防のために何かできることはありませんが、潰瘍性大腸炎になってしまった場合にはストレスを避けたり規則正しい生活をすることが悪化させない一つの方法です。