ピロリ菌感染の原因とリスク、治療法を医師が解説|吉祥寺みどり内科消化器クリニック武蔵野院
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ピロリ菌 HELICOBACTER PYLORI

ピロリ菌の検査方法と除菌対応について医師が解説

胃に悪影響を及ぼす
ピロリ菌を
駆除します

ピロリ菌は正確にはヘリコバクターピロリ菌といいます。ピロリ菌は胃の粘膜に感染し、強い炎症を起こすことで、様々な病気を引き起こします。よく起こる病気としては胃・十二指腸潰瘍、過形成性ポリープなどですが、長期間感染していると萎縮性胃炎を起こし、その後に胃癌を引き起こす大きな原因となります。
日本・中国・韓国は世界的に見ても非常に胃癌が多い地域ですが、東アジアのピロリ菌は欧米に比べて、胃癌の原因となる強い炎症を引き起こすピロリ菌が多いことがわかっています。ピロリ菌によって引き起こされる胃癌はいわば東アジアの風土病と言えるかもしれません。

ヘリコバクターピロリ菌の
感染経路

ピロリ菌は経口感染することがわかっています。昔は衛生環境が良くなかったため、井戸水などで感染したのではないかと考えられていますが、現代の中学生などにも感染が見られています。これはご両親からの感染の可能性が指摘されており、何らかの経路で親御さんのピロリ菌がお子さんの口から侵入していると考えられています。

ピロリ菌の除菌は胃癌予防の第一歩であり、除菌をすることで次世代への感染を減らし、胃癌の予防、撲滅に繋がります。ピロリ菌は内服で除菌することが可能です。胃十二指腸潰瘍の既往がある方はもちろん、ご家族に胃癌や胃・十二指腸潰瘍の方がいらっしゃる方、1970年代以前の生まれのかたはピロリ菌がいる可能性があります。ご不明な点があれば、ご相談ください。

CAUSE ピロリ菌が
原因となる病気

ピロリ菌は胃粘膜上に感染し、自身が毒素を分泌することで胃の粘膜に慢性的な炎症を起こします。慢性的な炎症を起こすと、粘膜自体の防御機構が弱まることで慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍を引き起こします。
また、ピロリ菌自身が細胞を傷つけることで、遺伝子に変異が起こり、胃癌の原因となっていきます。ピロリ菌はさまざまな疾患を引き起こしますが、臨床的に頻度の多い疾患は以下の3つになります。

萎縮性胃炎(慢性胃炎) CAUSE

ピロリ菌はVacAという毒素を分泌することで胃粘膜を障害します。胃粘膜が障害を受け続けると、胃の粘膜はやせ細って徐々に薄くなっていきます。この状態を粘膜の萎縮といい、萎縮が起きた状態を萎縮性胃炎(慢性胃炎)といいます。粘膜の萎縮は、始めは胃の出口である幽門の近くだけに起こりますが、徐々に胃の入り口まで長い期間をかけて広がっていきます。除菌を行わないままでいると、胃粘膜全体が萎縮していきます。

  • 正常粘膜

    正常な粘膜は、凹凸がなく艶がありみずみずしい感じがします。

  • 萎縮性胃炎

    萎縮した粘膜は表面が凹凸があり、艶がなく色調も不均一です。

胃・十二指腸潰瘍 CAUSE

萎縮した胃粘膜は免疫機能も低下し、自身の分泌した胃酸などによっても障害を受け、粘膜下の筋層までえぐれてしまう潰瘍となってしまいます。潰瘍になると腹痛を感じるようになります。潰瘍によって胃内に大出血をしたり、場合によっては孔があいてしまうと緊急手術が必要になる場合があります。内服治療で軽快することが多いですが、ひどい場合は入院し絶食の上、点滴治療が必要な場合もあります。ピロリ菌除菌を行うことで再発を防ぐことができますが、除菌を行わないと繰り返す方も少なくありません。

  • 胃潰瘍

    胃粘膜が深くえぐれてしまっています。痛みが強く出る事が多く、大量に出血すると吐血することがあります。

  • 十二指腸潰瘍

    十二指腸潰瘍がむくみ、潰瘍を繰り返すことで変形し狭くなっています。出血をすると、便がイカ墨のように黒くなることがあります。潰瘍が深くなると穴が空いてしまい、腹膜炎を起こし強い痛みとなる場合があります。

胃癌 CAUSE

ピロリ菌は「直接的に胃がんを引き起こす原因になる」と見なされている唯一の存在です。ピロリ菌はCagAというたんぱく質を胃の細胞に注入することをきっかけに、胃癌を引き起こす可能性があります。ピロリ菌による細胞障害に加え喫煙や食塩の過剰摂取が胃癌の発生を促進すると考えられています。胃癌の9割以上はピロリ菌が原因であり、なるべく若いうちに除菌することが胃癌の予防の第一歩になります。胃癌のほとんどは一つの細胞ががん化して内視鏡で見えるようになるまで10年以上かかると考えられており、毎年内視鏡検査を行うことで早期の段階で胃癌を発見することが可能で、早期で発見できれば内視鏡で完治を望むことができます。

  • 早期胃癌

    わずかに粘膜が陥凹しており、微量の出血が見られました。注意深く見ていないと見逃す可能性があります。青い色素を散布すると病変がはっきり浮かび上がります。この段階でみつけられれば内視鏡で完治が可能です。

  • 進行胃癌

    進行癌になると手術が必要で転移などの可能性も出てきます。この状況になる前に発見したいところです。

ヘリコバクターピロリの検査法

ピロリ菌に感染しているかの検査

  • 採血や尿検査でピロリ菌の抗体を調べます。必ずしも内視鏡を行う必要がありません。
  • 内視鏡を行なった際に、感染が疑わしい場合には組織の一部を採取して、ウレアーゼ法、培養法もしくは鏡検法にて調べます。

ピロリ菌を除菌後にいなくなったか確認するための検査

尿素呼気試験

絶食で来院していただきます。検査用の袋に息を吹き込みます。
その後薬を内服し、20分後にもう一度検査用の袋に息を吹き込みます。内視鏡を行う必要はありません。

ピロリ菌除菌対象となる方

保険診療による除菌対象となる方

  • 内視鏡検査にて萎縮性胃炎が認められた場合
  • 胃十二指腸潰瘍
  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 早期胃癌内視鏡治療後

人間ドックなどでピロリ菌感染の指摘を受けた際は、当院で内視鏡を受けていただければ、除菌治療は保険適応となります。また、他院で胃内視鏡を受け、慢性胃炎の診断を受けている方(内視鏡から1年以内)も保険による除菌の対象患者様です。

自費診療の対象となる方

  • すでに保険診療で2次除菌まで行い不成功に終わった方
  • 健康診断や人間ドックでピロリ菌感染がわかっているが、胃内視鏡を行いたくない方
  • 保険診療で使用する薬(ペニシリンやクラリスロマイシン)のアレルギーがある方。

FLOW 除菌治療の
流れ

  1. 1次除菌

    消化性潰瘍治療薬(ボノプラザン)と2種類の抗生物質(クラリスロマイシン・アモキシシリン)を1週間内服していただきます。ボノプラザンを使用する除菌方法により、従来の除菌方法より除菌率がアップし、1次除菌で90%の除菌率となっております。

  2. 1次除菌確認

    内服終了2ヶ月前後で来院し尿素呼気試験で、除菌の確認を行います。

  3. 2次除菌

    1次除菌が不成功に終わった場合には、ボノプラザンと抗生剤をメトロニダゾールとアモキシシリンに変更し、もう一度1週間の内服を行なっていただきます。

  4. 2次除菌確認

    再度、内服終了2ヶ月前後で来院し尿素呼気試験で、除菌の確認を行います。2次除菌までで97-98%の患者様の除菌が確認されます。

  5. もし2次除菌を
    失敗したら・・・

    抗生物質のコンビネーションを変更し3次除菌を行うことが可能ですが、自費診療となります。2次除菌が不成功であった患者様はご相談ください。

よくある質問

  • ピロリ菌は人から人にうつりますか?

    口から口に感染する可能性がありますが、ピロリ菌に感染する時期は幼少期がほとんどであると考えられています。大人同士がキスをして感染する可能性は低いと思います。

  • ピロリ菌感染をしているときに現れる症状を教えてください

    胃の痛みを繰り返したり、不快感があったり人それぞれですが、全く痛みのないかたもいらっしゃいます。お腹の症状がある方はまずは医師にご相談下さい。

  • ピロリ菌に感染しているかどうかはどうすればわかりますか?

    ほとんどの方は胃カメラで胃の中を観察すれば感染の有無はわかります。また、採血や採尿、便などによっても感染の可能性を調べることは可能です。それぞれの方法により特徴がございますので、医師にご相談下さい。

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