ピロリ菌の検査と除菌治療 日本ヘリコバクター学会
ピロリ菌感染症認定医が対応
60秒でわかる この記事の要点
- ピロリ菌は胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の最大の原因で、多くは幼少期に家族内で感染します。
- 内視鏡検査で胃炎が確認できれば、除菌治療は保険適用となります。
- ボノプラザンを用いた一次除菌の成功率は約90%、二次除菌まで行うと約97〜98%です。
- 当院は日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医が対応し、除菌後の胃がんサーベイランスまで継続してまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
以下に当てはまる方はピロリ菌検査をお勧めします
- 健診・人間ドックでピロリ菌陽性・萎縮性胃炎を指摘された
- ご両親・兄弟にピロリ菌感染者・胃がんの方がいる
- 1970年代以前の生まれ(感染率が高い世代)
- 胃・十二指腸潰瘍を繰り返している
- みぞおちの痛み・不快感が続く
- 一度もピロリ菌検査を受けたことがない
- 中学生・若年でも親が感染している場合は感染の可能性あり
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
除菌して終わりにせず、除菌後の胃も続けて拝見いたします
ピロリ菌は除菌をしても胃がんのリスクがゼロになるわけではなく、その後の定期的な胃カメラが重要です。当院では消化器病専門医が、感染の診断から除菌治療、除菌の成否判定、そして除菌後の経過観察までを一貫して担当いたします。
なお、ボノプラザンを用いた一次除菌の成功率は、国内の第III相試験において92.6%と報告されています(Murakami K, et al. Gut. 2016;65:1439-1446)。ただしこれは臨床試験での成績であり、クラリスロマイシン耐性菌の増加により、実際の診療での成功率はこれより低くなる事が知られています。オリンパス EVIS X1 による観察と、鎮静下での負担の少ない胃カメラ
当院の胃カメラは、オリンパス社の内視鏡システム EVIS X1 を使用しております。NBI(狭帯域光観察)などの特殊光を併用すると、通常光では捉えにくい粘膜の色調や模様の変化が観察しやすくなります。
必要と判断した場合には、色素散布や拡大観察を追加して詳しく確認いたします。ピロリ菌については、現在の感染・過去の感染・未感染のいずれであるかを判断する材料にもなります。ご希望に応じて鎮静剤を使用し、負担の少ない検査を行っております。検査で終わりにせず、その後も同じ医師が続けて診てまいります
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。検査や治療を行って終わりにするのではなく、その後の経過まで主治医として続けて拝見してまいります。除菌の成否判定と、除菌後の定期的な胃カメラまでお付き合いいたします。
院長メッセージ
日本・中国・韓国は世界的に胃がんが非常に多い地域です。その最大の原因がピロリ菌感染です。これまで多くの患者さんの除菌治療に携わってきました。
ピロリ菌除菌は「自分の胃がんを予防する」だけでなく、「次の世代への感染を防ぐ」という大きな意味があります。ピロリ菌の多くは幼少期に家族内で感染するため、ご両親が除菌することはお子さん・お孫さんを守ることにもつながります。除菌後も胃がんリスクはゼロにはならないため、定期的な胃カメラを組み合わせることが重要です。健診でピロリ菌を指摘された方、ご家族に胃がんの方がいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
佐々木洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医・
日本ヘリコバクター学会
ピロリ菌感染症認定医
最終更新:2026年10月
ピロリ菌感染症とは
ピロリ菌は胃の粘膜に感染し、強い炎症を起こす事でさまざまな病気を引き起こす細菌です。よく起こる病気は胃・十二指腸潰瘍や過形成性ポリープで、長く感染していると萎縮性胃炎を起こし、その後の胃がんの大きな原因になります。日本・中国・韓国は世界的に見ても胃がんが多い地域で、東アジアのピロリ菌は欧米に比べて強い炎症を起こすタイプが多い事がわかっています。
| 感染経路 | ピロリ菌は口から入って感染します。かつては衛生環境が良くなかったため井戸水などからの感染が考えられていましたが、現代でも中学生などに感染がみられ、これはご両親からの感染の可能性が指摘されています。感染のほとんどは幼少期に起こり、大人になってから新たに感染する事はまれです。 |
|---|---|
| ピロリ菌が原因となる 病気 | ピロリ菌は毒素(VacA)で粘膜を障害し、萎縮性胃炎(慢性胃炎)を起こします。萎縮した粘膜は胃酸などでさらに傷つき、粘膜下の筋層までえぐれると胃・十二指腸潰瘍になります。さらにピロリ菌はCagAというたんぱく質を細胞に注入し、胃がんを引き起こす可能性があります。胃がんの9割以上はピロリ菌が原因とされ、直接的に胃がんの原因になると見なされている唯一の存在です。 |
| 検査 | 感染しているかどうかは、採血や尿でピロリ菌の抗体を調べる方法(内視鏡は不要)と、胃カメラの際に組織を採取して調べる方法(ウレアーゼ法・培養法・鏡検法)があります。除菌後にいなくなったかの確認には、主に尿素呼気試験を用います。絶食で来院いただき、検査用の袋に息を吹き込み、お薬を内服して20分後にもう一度息を吹き込むだけで、内視鏡は不要です。 |
| 除菌治療の流れ | 一次除菌では、胃酸を抑えるお薬(ボノプラザン)と2種類の抗生物質(クラリスロマイシン・アモキシシリン)を1週間内服します。ボノプラザンを用いる方法で除菌率が上がり、一次除菌でおよそ90%の方が除菌に成功します。内服終了から2か月ほどで尿素呼気試験にて確認します。 一次が不成功の場合は、抗生物質をメトロニダゾールとアモキシシリンに変更して二次除菌を行い、二次までで97〜98%の方が除菌できます。二次も不成功の場合は、自費診療で三次除菌をご相談いただけます。内視鏡で萎縮性胃炎が確認された場合や、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんの内視鏡治療後などは、保険診療での除菌の対象になります。当院ではヘリコバクター・ピロリ感染症認定医が診療を行っております。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | ピロリ菌の除菌は胃がん予防の第一歩であり、なるべく若いうちに除菌する事でリスクを大きく減らせます。ご家族に胃がんや胃・十二指腸潰瘍の方がいる方、ご両親やご兄弟がピロリ菌に感染している方、1970年代以前生まれの方は、感染している可能性があります。一度、胃カメラや胃がんリスク検査で感染の有無を確認していただく事をお勧めいたします。 |
よくあるご質問
内視鏡検査で胃炎(萎縮性胃炎等)または胃・十二指腸潰瘍が確認されれば保険適用で除菌できます。人間ドックでピロリ陽性を指摘された方も、当院で内視鏡を受ければ保険での除菌が可能です。内視鏡を受けずに除菌する場合は自費診療となります。
ボノプラザン(P-CAB)を用いた一次除菌の成功率は約90%です。一次除菌が不成功でも、抗生物質を変更した二次除菌まで行うと約97〜98%の方で除菌に成功します。
主な副作用は軟便・下痢・味覚異常・発疹などです。多くは軽度で、服用終了後に改善します。抗生物質のアレルギーがある方は事前にお知らせください。
除菌により胃がんリスクは大幅に低下しますが、ゼロにはなりません。特に萎縮が進んだ状態で除菌した場合はリスクが残るため、除菌後も定期的な胃カメラが重要です。
主に幼少期に家族内で経口感染すると考えられています。大人同士の日常的な接触やキスで感染する可能性は低いとされています。ご両親が感染していると、お子さんに感染するリスクがあります。
日本の衛生環境では成人の再感染はまれ(年1%未満)とされています。一度除菌に成功すれば再感染の心配は少ないですが、除菌後判定で成功を確認することが重要です。
除菌により胃酸分泌が回復し、一時的に逆流性食道炎の症状(胸やけ)が出ることがあります。多くは一過性で、必要に応じて胃酸を抑える薬で対応できます。
胃酸を抑える薬(PPI/P-CAB)は尿素呼気試験や迅速ウレアーゼ試験の結果に影響するため、検査前に一定期間の休薬が必要な場合があります。服用中の薬は事前にお知らせください。
衛生環境の改善により若い世代の感染率は低下していますが、ご両親が感染している場合は中学生・若年でも感染していることがあります。家族歴がある方は検査をお勧めします。