右側腹部や左下腹部が痛み、
熱もある方へ 大腸憩室炎の診断と治療
「憩室炎」は、大腸の壁にできる小さな袋(憩室)の中で細菌が繁殖し炎症を起こす病気で、左下腹部の痛みと発熱が特徴です。同じ「憩室」の病気でも、痛みのない突然の大量血便が特徴の「憩室出血」とは全く症状が異なります。当院では炎症の程度を評価し、軽症は外来治療、重症は入院・手術が必要な医療機関へ速やかにご紹介します。
60秒でわかる この記事の要点
- 大腸の憩室に細菌感染が起こる病気で、腹痛と発熱が主症状です。
- 欧米では左下腹部が典型ですが、日本人は右側に憩室ができやすく虫垂炎と紛らわしい事があります。
- 軽症は外来の抗生物質で改善しますが、膿瘍や穿孔があれば入院や手術が必要になります。
- 当院では採血・超音波で重症度を判定し、急性期を過ぎてから大腸カメラで確認してまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
- 左下腹部(日本人は憩室が右側にできる事も多く、右下腹部の事もある)の持続的な痛み
- 発熱(37〜39℃)
- 便秘または下痢を伴う事がある
- 吐き気・食欲不振
- 排尿時の違和感(膀胱への炎症波及の場合)
- 腹部が硬く板のようになっている(穿孔性腹膜炎の可能性・緊急受診)
- 以前に大腸カメラ・大腸CTで「憩室」を指摘された事がある
受診タイミング目安
すぐに救急受診を
- お腹全体が板のように硬い・激痛で動けない(穿孔性腹膜炎の可能性)
- 高熱が続き全身状態が悪い
早めの受診を
- 左下腹部(または右下腹部)の痛みが続き、発熱もある
- 過去に憩室炎と診断され、同様の症状が再発した
受診を検討して下さい
- 軽度の腹部の違和感と微熱がある(軽症の可能性、内服で治療できる事も)
吉祥寺みどり内科・消化器
クリニックを選ぶ理由
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採血・超音波で
内科治療 or 外科手術を迅速に判断
憩室炎は炎症の程度によって外来での抗生物質内服治療で改善する軽症例と、膿瘍形成・穿孔など入院・手術が必要な重症例があります。当院では採血(白血球・CRP)と腹部超音波検査で重症度を評価し、必要に応じてCT検査が可能な医療機関と連携します。
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日本人に多い右側型憩室炎にも精通
欧米では左側の憩室炎が多いのに対し、日本人は右側(虫垂炎と紛らわしい部位)に憩室ができやすい傾向があります。消化器専門医として虫垂炎との鑑別も含め正確に評価します。
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手術・入院が必要な場合は
スムーズに連携医療機関へ紹介
膿瘍形成・穿孔性腹膜炎など外来対応が困難な場合は、信頼できる連携医療機関へ速やかにご紹介します。
院長メッセージ
憩室炎は「憩室」という大腸にできる小さな袋の中で細菌が増えて炎症を起こす病気です。似た名前の「憩室出血」とは全く別の病態で、憩室出血は痛みのない大量血便が特徴なのに対し、憩室炎は痛みと発熱が主症状です。この違いを知っておく事が自己判断の助けになります。
また、欧米の教科書では「左下腹部の痛み」が憩室炎の典型とされますが、日本人は憩室が右側にできる事も多く、右下腹部の痛みで虫垂炎とまぎらわしい事があります。採血・超音波で炎症の程度を丁寧に評価し、内服治療で経過を見られるか、入院・手術が必要な状態かを判断する事が私たちの役割です。軽症であれば外来での抗生物質治療で改善する事がほとんどですが、膿瘍や穿孔が疑われる場合は連携医療機関へ速やかにご紹介します。
佐々木 洋
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
検査の説明
| 腹部超音波 (エコー)検査 | 炎症を起こした憩室・周囲の炎症・膿瘍の有無を確認します。 |
|---|---|
| 採血検査 | 白血球数・CRPで炎症の程度を評価し、外来治療の可否・入院適応を判断します。 |
| CT検査(連携施設) | 重症度評価・膿瘍/穿孔の確認にはCTが有用で、必要時は連携する画像検査可能な医療機関・病院へご紹介します。 |
| 大腸カメラ (急性期を過ぎてから) | 急性炎症が落ち着いた後、大腸がんとの鑑別や憩室の分布確認のために大腸カメラをお勧めする事があります。 |
憩室炎とは
憩室炎は、大腸から外側へ飛び出した袋状の突起である憩室の中に、硬くなった便などが詰まって閉塞し、中で細菌感染を起こして化膿した状態です。考え方は虫垂炎とまったく同じですが、虫垂が右下腹部だけにあるのに対し、憩室は上行結腸(右脇腹)やS状結腸(左下腹部)に多いため、痛む場所も右脇腹や左下腹部になります。右下腹部では虫垂炎と区別がつきにくい事もあります。
| 主な症状 | 憩室のある場所に一致した腹痛が中心で、右脇腹や左下腹部が痛む事が多く、発熱を伴います。炎症が強くなると、周囲に膿がたまったり(膿瘍)、腸に穴があいて腹膜炎を起こしたりする事があり、その場合は強い痛みとなります。 |
|---|---|
| 原因 | 憩室の中に硬くなった便がはまり込んで袋が閉じ、中で細菌が繁殖して炎症・化膿を起こします。弱くなった壁が内圧に負けると穿孔し重症化します。憩室そのものは、便秘などによる腸の内圧上昇で薄い壁が飛び出してできると考えられています。 |
| 検査・診断 | 丁寧な身体診察に加え、採血やエコー検査で炎症の強さを評価し、内服で治せるか手術が必要かを見極めます。必要に応じて造影CTで膿瘍や穿孔の有無を確認します。 |
| 治療 | 炎症が軽ければ内服または点滴の抗生物質で治療します。膿瘍や穿孔を伴う重症例や、内服で治りきらない場合は手術が必要になり、その際は信頼できる高次医療機関へ速やかにご紹介いたします。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 憩室炎は繰り返す事があります。一度なった方が同じような痛みを感じた時は再発を疑い、早めにご相談ください。早期に対応すれば手術を避けられる事も多くあります。便秘を避け、食物繊維をとる事が予防に役立つ可能性があります。 |
よくあるご質問
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憩室炎は憩室の中で細菌感染を起こした状態で「腹痛・発熱」が主症状です。憩室出血は憩室の壁の血管が切れて起こる出血で「痛みのない大量血便」が特徴です。症状が全く異なるため、混同しないよう注意が必要です。
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多くは外来での抗生物質内服治療で改善します。ただし、膿瘍を形成した場合や穿孔(腸に穴が開く)を起こした場合は入院・手術が必要になる事があります。採血・超音波・必要時CTで重症度を評価し判断します。
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一度発症すると再発する事があります。頻繁に繰り返す場合や合併症(狭窄・瘻孔など)を伴う場合は、待機的な手術(憩室のある腸管の切除)を検討する事があります。
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欧米では左側の憩室炎が主体ですが、日本人は右側(虫垂炎と同じ右下腹部)に憩室ができる事も多く、症状だけでの鑑別が難しい事があります。採血・超音波・CTなどの検査で正確に鑑別します。
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急性期は絶食〜消化の良い食事から徐々に普通食へ戻します。回復後の予防としては、食物繊維を多く摂り便秘を避ける食生活が推奨されます。以前言われていた「種やナッツを避けるべき」という説は、現在は明確な医学的根拠がないとされています。
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急性炎症が落ち着いた後、大腸がんなど他の病気が隠れていないかの確認と、憩室の分布状況の把握のために大腸カメラをお勧めする事があります。急性期に無理に検査を行うと穿孔のリスクがあるため、時期を選んで実施します。
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便秘を避ける事(食物繊維・水分摂取・適度な運動)が最も重要な予防策です。喫煙・肥満・NSAIDs(鎮痛薬)の常用も憩室炎のリスクを高めるとされており、これらの見直しも予防に役立ちます。