空腹時・夜間にみぞおちが痛む方へ 十二指腸潰瘍の診断と治療
十二指腸潰瘍は「お腹が空いた時や夜中に痛み、何か食べると楽になる」という胃潰瘍とは逆のパターンが特徴です。若い世代・働き盛りの方にも多くみられ、原因の多くはピロリ菌感染です。胃カメラで診断し、除菌治療で根本原因からの再発予防を図ります。
60秒でわかる この記事の要点
- 胃の出口の先にできる潰瘍で、空腹時や夜間に痛み、食べると楽になるのが特徴です。
- 胃潰瘍より若い世代に多く、ピロリ菌感染との関連がより強い疾患です。
- 治療はPPI・P-CABとピロリ除菌で、除菌に成功すると再発率は大きく下がります。
- 悪性化はほぼありませんが穿孔のリスクがあり、当院では早期に胃カメラで評価してまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
すでに症状がある方
- 空腹時(食事の2〜3時間後)や夜中〜早朝にみぞおちが痛む(十二指腸潰瘍の典型的なタイミング)
- 何か食べると痛みが和らぐ
- 背中に痛みが響くことがある
- 吐血した・コーヒーかす様のものを吐いた
- 便が黒くタール状
- ピロリ菌陽性を指摘されたことがある
- 20〜40代で上記の症状がある(比較的若い世代に多い)
- 喫煙習慣がある(十二指腸潰瘍のリスク因子)
受診タイミング目安
早めの受診を
- 吐血が続く/大量の黒色便と立ちくらみ・冷や汗
- 突然の激しい腹部全体の痛み(穿孔の可能性——十二指腸潰瘍は特に穿孔しやすい部位)
受診をお勧め
- 空腹時・夜間のみぞおちの痛みが続く
- 食べると楽になる痛みを繰り返している
定期胃カメラとして
- 過去に十二指腸潰瘍の既往があり除菌後の確認をしたい
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
繰り返す十二指腸潰瘍は、
原因を残さない事を優先いたします
十二指腸潰瘍は、原因を残したままだと再発を繰り返します。当院では消化器病専門医がピロリ菌感染の有無に加え、鎮痛薬や抗血栓薬の服用状況まで確認いたします。原因に応じて除菌治療やお薬の見直しを行い、再発を防ぐところまでを治療の目標といたします。
オリンパス EVIS X1 による観察と、鎮静下での負担の少ない胃カメラ
当院の胃カメラは、オリンパス社の内視鏡システム EVIS X1 を使用しております。NBI(狭帯域光観察)などの特殊光を併用すると、通常光では捉えにくい粘膜の色調や模様の変化が観察しやすくなります。必要と判断した場合には、色素散布や拡大観察を追加して詳しく確認いたします。
十二指腸球部は観察しにくい部位のため、変形の強い場合も含めて丁寧な操作を心がけております。ご希望に応じて鎮静剤を使用し、負担の少ない検査を行っております。検査で終わりにせず、その後も同じ医師が続けて診てまいります
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。検査や治療を行って終わりにするのではなく、その後の経過まで主治医として続けて拝見してまいります。お薬で症状が消えた後も、原因が残っていないかの確認まで行ってまいります。
院長メッセージ
「お腹が空くとみぞおちが痛くなり、何か食べると楽になる」——これは十二指腸潰瘍の典型的な症状です。若い世代の方にも多く、忙しい生活の中で見過ごされがちですが、放置すると出血や、まれに穿孔(十二指腸に穴が開く)を起こすことがあります。
十二指腸潰瘍は胃潰瘍以上にピロリ菌感染との関連が強い疾患です。除菌治療により再発を大幅に減らすことができます。「痛み止めを飲んで我慢している」という方も、一度胃カメラで原因を確認しましょう。
佐々木洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医・
日本ヘリコバクター学会
ピロリ菌感染症認定医
最終更新:2026年10月
十二指腸潰瘍とは
十二指腸潰瘍は、胃に続く十二指腸の粘膜が深くえぐれてしまった状態です。胃潰瘍と同じくピロリ菌の感染や痛み止め(NSAIDs)が主な原因ですが、空腹時や夜間にみぞおちが痛み、何か食べると楽になるという、胃潰瘍とは逆のパターンが特徴です。若い世代や働き盛りの方にもみられます。
| 主な症状 | 空腹時、特に夜間から早朝にかけてのみぞおちの痛みが典型的で、食事をとると和らぐ傾向があります。出血すると便が黒くなり、繰り返す潰瘍で十二指腸が変形して狭くなる事もあります。潰瘍が深くなって穴があくと、腹膜炎を起こして強い痛みとなり、緊急の対応が必要になります。 |
|---|---|
| 原因 | 胃潰瘍と同様、ピロリ菌の感染と痛み止め(NSAIDs)が二大原因です。十二指腸潰瘍はピロリ菌との関連が特に強く、当院でも、空腹時の強い痛みで受診された20代の方を胃カメラで調べたところ十二指腸潰瘍が見つかり、ご両親ともにピロリ菌に感染していて、ご本人も感染が確認された、という例を経験しています。ご家族内での感染が背景にある事も少なくありません。 |
| 検査・診断 | 胃カメラで十二指腸の潰瘍の有無・深さ・出血や変形の程度を確認します。あわせてピロリ菌感染の有無も調べます。若い方でも起こる病気ですので、空腹時の痛みが続く場合は年齢にかかわらず一度の検査をお勧めいたします。 |
| 治療 | 胃酸を抑えるお薬(PPI・P-CAB)で潰瘍の治りをはかります。出血時には胃カメラで止血処置を行う事があり、ひどい場合は入院が必要になる事もあります。ピロリ菌が原因の場合は除菌治療を行う事で再発を大きく減らせます。十二指腸潰瘍は除菌の効果が特に大きい事が知られています。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 空腹時や夜間の痛みが続く時は、市販薬で紛らわせず一度ご相談ください。ピロリ菌感染がある場合は除菌が再発予防につながります。黒い便に気づいた時は出血のサインですので、速やかに受診してください。 |
よくある質問
場所と痛みのタイミングが違います。十二指腸潰瘍は胃の出口の先(十二指腸球部)にでき、空腹時・夜間・早朝に痛み、食事をとると和らぐのが特徴です。胃潰瘍は胃にでき、食後に痛むことが多い傾向があります。いずれもピロリ菌・NSAIDsが主な原因です。
十二指腸潰瘍が悪性化することは極めてまれで、胃潰瘍と異なり通常は生検(組織検査)は必須ではありません。ただし出血や再発を繰り返す場合は精密な評価を行います。
十二指腸潰瘍はピロリ菌感染との関連が強く、幼少期に感染していれば若い年代でも発症することがあります。ストレス・不規則な食生活・喫煙も誘因になります。
軽症であれば自然経過で改善することもありますが、多くは胃酸を抑える薬(PPI/P-CAB)による治療が必要です。放置すると出血・穿孔のリスクがあるため、自己判断せず受診してください。
潰瘍が深くなり十二指腸の壁に穴が開いた状態で、突然の激しい腹痛(お腹全体が板のように硬くなる)を伴う緊急事態です。ただちに救急受診・緊急手術が必要になることがあります。
ピロリ菌陽性の十二指腸潰瘍は、除菌に成功すると再発率が数%以下に大きく低下することが報告されています。除菌前は年に何度も再発する方が、除菌後は再発しなくなるケースが多いです。
喫煙は十二指腸潰瘍の発症・治りにくさ・再発のいずれにも悪影響を与えることが分かっています。治療中・治療後も禁煙をお勧めします。