繰り返す嘔吐の後に吐血したら、
マロリーワイス症候群かもしれません
60秒でわかる この記事の要点
- 繰り返す嘔吐により食道と胃のつなぎ目の粘膜が裂け、吐血や黒色便を起こす病気です。
- 原因は大量飲酒・つわり・過食後の自己誘発嘔吐などで、多くは自然に止血します。
- 胃カメラで出血の状況を確認し、出血が続く場合は止血処置を行う事があります。
- 吐血は胃潰瘍や食道静脈瘤でも起こるため、当院では内視鏡専門医が原因を正確に鑑別してまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
マロリーワイス症候群の症状チェック
- 激しい悪心・繰り返す嘔吐の後に、吐物に血液が混じった
- 便が黒く(タール便)なってきた
- みぞおち付近の痛み(粘膜の深い裂傷の場合)
- 立ちくらみ・冷や汗・動悸がある(出血性ショックの可能性・救急受診を)
特に注意すべき状況(原因)
- 前日〜当日に大量飲酒をした
- 妊娠中のつわりで何度も嘔吐した
- 過食後に無理やり嘔吐した
受診タイミング目安
早め(救急)の受診を
- 吐血が続いている・大量の血液を吐いた
- 立ちくらみ・冷や汗・意識の変化(出血性ショック)
受診をお勧め
- 嘔吐後に少量の血が混じった(自然止血していても内視鏡評価が必要)
- 便が黒くなってきた(タール便)
改善なければ受診を
- 出血は止まったが、念のため確認したい
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
胃カメラによる出血状況の精密評価と止血処置
マロリーワイス症候群は多くが自然止血しますが、稀に止血処置が必要な場合があります。消化器内視鏡専門医が胃カメラで裂創の状況・出血の有無を確認し、クリップ等による止血処置を実施します。「吐血したが今は止まっている」場合でも、現状確認のための内視鏡検査をお勧めします。
胃潰瘍・食道がんなど他疾患との鑑別
吐血の原因はマロリーワイスだけでなく胃潰瘍・食道静脈瘤・胃がんなどでも起こります。内視鏡専門医が正確に鑑別診断します。
地域のかかりつけ医として、わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。
止血して終わりにするのではなく、出血が落ち着いた後の経過確認や、嘔吐を繰り返す背景への対応まで行ってまいります。
院長メッセージ
「お酒を飲んだ後に嘔吐を繰り返したら吐物に血が混じった」——このような患者さんが夜間に来院される事があります。マロリーワイス症候群は繰り返す嘔吐で食道と胃の境界部粘膜が裂けて出血する病気で、多くは比較的少量の出血で自然に止血します。
しかし、吐血は胃潰瘍・食道静脈瘤・胃がんなど、より重篤な疾患でも起こります。「吐血したが今は止まった」という状況でも自己判断せず、必ず内視鏡で確認する事を強くお勧めします。また、過食後の自己誘発嘔吐でマロリーワイスを起こした患者さんも経験しています。食行動の問題が背景にある場合は、適切なサポートにつなげる事が大切です。
佐々木洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
マロリーワイス症候群とは
マロリーワイス症候群は、繰り返す激しい嘔吐によって食道が広がろうとする圧力がかかり、胃と食道のつなぎ目の粘膜が裂けて出血してしまう病気です。何度も嘔吐した際に吐血する事があり、驚いて来院される若い男性の患者様が多い印象です。
| 主な症状 | 激しい吐き気と、繰り返す嘔吐のあとの吐血が基本的な症状です。出血した血液は胃酸で黒くなるため、しばらくすると便が黒くなる事があります。裂け方がひどいとみぞおち付近の痛みが出る事があり、出血が多く血圧が下がると、立ちくらみや冷や汗といった出血性ショックを起こす事もあります。 |
|---|---|
| 原因 | 嘔吐を繰り返す状況で最も多いのは飲酒時です。お酒を飲みすぎて胃の中の物を体外に出そうと何度も嘔吐する際、2回目以降の嘔吐で食道の粘膜が裂ける事が多く、吐いた物に血が混じっていたとおっしゃる患者様が多い印象です。また、過食症で無理に嘔吐した際や、つわりによる嘔吐の際に吐血された患者様もいらっしゃいました。粘膜が裂けるとその下の血管から出血します。通常は胸の痛みや腹痛は伴いませんが、裂け方が深く粘膜の下の筋肉まで及ぶと、重症となり痛みを伴う事もあります。吐血があった場合は必ず医師にご相談ください。 |
| 検査・診断 | 嘔吐に伴う吐血という経過から、問診である程度は見当がつきます。出血の量や全身の状態を確認したうえで、採血や胃カメラを行う事があります。採血では貧血の程度を確認し、胃カメラでは実際に出血しているか、粘膜がどの程度裂けているかを確認します。胃カメラを行った時点ですでに出血が自然に止まっており、粘膜が裂けた痕だけが見られる事も多くあります。 |
| 治療 | 嘔吐がおさまり食道への圧力が正常化すれば、多くは自然に止血します。そのため特別な治療を必要とせず、胃薬などを用いて粘膜の傷が治るのを待ち、経過を見ていく事がほとんどで、予後は良好です。稀に出血がひどい場合には、胃カメラで止血の処置を行う事もあります。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 繰り返す嘔吐に伴う吐血はマロリーワイス症候群の可能性が高いのですが、胃潰瘍や胃がんなどでも吐血する事はあります。ご自身で判断せず、消化器内科・消化器内視鏡専門医を受診し、体の状態をしっかり確認する事をお勧めいたします。 |
よくあるご質問
可能性が高いですが、胃潰瘍や食道静脈瘤などでも同様の症状が出ます。吐血は原因に関わらず消化器内科・内視鏡内科への受診が必要です。出血が多量・立ちくらみ・冷や汗がある場合は救急受診をお勧めします。
軽症の場合、粘膜の裂傷は通常1〜2週間で自然治癒します。出血が自然止血していれば特別な治療は不要で、胃粘膜保護薬を服用しながら経過観察します。稀に止血処置が必要な場合があります。
つわりによる繰り返しの嘔吐もマロリーワイス症候群の原因になります。少量の血液が混じった場合でも、産婦人科の主治医に相談し、必要に応じて消化器内科での内視鏡評価を受ける事をお勧めします。
過食後の自己誘発嘔吐(摂食障害)もマロリーワイス症候群の原因になります。繰り返す嘔吐は食道・歯・全身に悪影響を及ぼします。吐血の治療と同時に、摂食障害の専門的サポートに繋げる事が重要です。まずはご相談ください。
大量出血で血圧が低下する出血性ショックになる事があります(まれ)。この場合は緊急内視鏡での止血処置が必要で、対応困難な場合は高次医療機関へ緊急搬送します。立ちくらみ・冷や汗・動悸がある場合はただちに119番を。
嘔吐の原因となる行動(過度の飲酒・過食嘔吐)を繰り返すと再発します。飲酒量の節制、飲み方のコントロールが最も重要な予防策です。
消化器内科または消化器内視鏡内科を受診してください。夜間・休日で吐血が続く・大量の場合は救急を利用してください。
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