薬を飲んでも治らない胸やけ・つかえ感は、
別の食道炎かもしれません
「逆流性食道炎の治療をしているのに胸やけが改善しない」「食べ物がつかえる感じが続く」——そのような方の中に、逆流性食道炎ではなく「好酸球性食道炎」や「カンジダ性食道炎」が隠れている事があります。いずれも特徴的な内視鏡所見があり、胃カメラで診断します。好酸球性食道炎は厚生労働省の指定難病です(医療費助成の対象となる場合あり)。
60秒でわかる この記事の要点
- PPIを飲んでも治らない胸やけ・つかえ感の背景に、逆流性食道炎とは別の食道炎が隠れている事があります。
- 好酸球性食道炎は輪状溝・縦走溝という内視鏡所見と生検(好酸球浸潤)で診断し、指定難病に該当します。
- カンジダ性食道炎は糖尿病や免疫抑制状態で起こりやすく、抗真菌薬の内服で治療します。
- 当院では内視鏡専門医が特徴的な所見を見極め、生検による確定診断まで行ってまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会認定医/難病指定医(東京都知事指定)
症状チェック
好酸球性食道炎が疑われる症状
- 食べ物を飲み込もうとすると胸のあたりでつかえる(嚥下障害)
- 食べ物が食道に詰まってしまった事がある(食物嵌頓)
- 胸やけ・胸痛があるが、PPI/P-CABを服用しても改善しない
- 花粉症・アレルギー性鼻炎・喘息などのアレルギー疾患がある
- 好酸球性胃腸炎もあり腹痛・下痢も合併している
カンジダ性食道炎が疑われる症状・リスク
- 胸やけ・胸に異物感がある
- 糖尿病・悪性腫瘍・HIV感染・免疫抑制薬の使用がある(免疫低下状態)
- 口腔内にも白い苔状のものがある(口腔カンジダ症との合併)
受診タイミング目安
受診をお勧め
- PPIを4週間以上服用しても胸やけ・嚥下困難が改善しない
- 食べ物が食道に詰まった事がある(食物嵌頓)
- アレルギー疾患があり嚥下困難が出てきた
- 糖尿病・悪性腫瘍の治療中・HIV感染・免疫抑制薬使用中で胸やけ・胸の違和感がある
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
PPIが効かない胸やけ・つかえ感の原因を、内視鏡所見から見極める
好酸球性食道炎では輪状の溝・縦方向の溝・白斑、カンジダ性食道炎では酒粕のような白い付着物という、それぞれ特徴的な内視鏡所見があります。当院では消化器内視鏡専門医が、逆流性食道炎の所見の有無だけで判断せず、これらの所見を念頭に置いて食道全体を観察いたします。
生検(組織検査)による確定診断まで対応
好酸球性食道炎の確定診断には、内視鏡で食道の組織を採取し、好酸球の浸潤を顕微鏡で確認する必要があります。当院では所見から本疾患を疑った際にその場で生検を行い、病理検査の結果までご説明いたします。指定難病に該当する疾患ですので、診断後の手続きについてもご案内いたします。
地域のかかりつけ医として、わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。治療して終わりにするのではなく、効果の確認から、再燃した際の対応や経過観察まで継続して対応いたします。
好酸球性食道炎・カンジダ性食道炎に特化した付加価値
「逆流性食道炎」と診断されているが薬が効かないという方の中に、好酸球性食道炎が隠れているケースを複数経験しています。内視鏡での輪状溝・縦走溝という特徴的な所見を見落とさない精密観察と、必要に応じた組織生検(病理検査)によって正確に診断します。
院長メッセージ
胃カメラを行っていると、逆流性食道炎を疑っていたのに内視鏡で全く別の食道炎の所見を認める事があります。好酸球性食道炎は輪状溝・縦走溝という特徴的な内視鏡像を示し、カンジダ性食道炎は白い酒粕のような付着物が特徴的です。
好酸球性食道炎は厚生労働省の指定難病です。重症度基準を満たせば医療費助成の対象になります。「PPIを飲んでいるのに治らない」という方は、一度正確な診断を受ける事をお勧めします。
カンジダ性食道炎は免疫が低下した状態で起こりやすく、糖尿病のコントロール・基礎疾患の管理が根本的な対策になります。消化器専門医として基礎疾患も含めた総合的な評価を行います。
佐々木 洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
好酸球性食道炎・カンジダ性食道炎とは
胸やけや食べ物のつまり感があり、逆流性食道炎を疑って胃カメラ検査を行うと、逆流性食道炎とは異なる特殊な食道炎が見つかる事がしばしばあります。好酸球性食道炎は、何らかのアレルギーが関与して起こる食道炎で、内視鏡で特徴的な所見を示します。厚生労働省の指定難病のひとつです。一方、カンジダ性食道炎は、カビの一種であるカンジダが食道の粘膜に付着する事で胸やけなどを起こすもので、こちらも特徴的な内視鏡所見を示します。
| 主な症状 | 好酸球性食道炎もカンジダ性食道炎も、胸痛、胸やけ、飲み込みにくさ、食べ物のつかえ、腹痛などが主な症状で、逆流性食道炎と共通します。好酸球性食道炎では好酸球性胃腸炎を合併し、腹痛や下痢を伴う事もあります。いずれも、特徴的な内視鏡所見だけを示して無症状のままの事もあります。 |
|---|---|
| 原因 | 好酸球性食道炎は、アレルギーの関与が考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。アレルギー反応に関わる好酸球という免疫細胞が食道の粘膜に多数集まり、慢性的な炎症を起こすと考えられています。カンジダ性食道炎は、食道にカンジダという真菌が付着して起こります。少量の付着では症状はありませんが、がんの治療中の方やHIV感染、糖尿病、ご高齢などで免疫力が低下すると、付着が増えて症状が出るようになります。 |
| 検査・診断 | いずれも胃内視鏡検査で特徴的な所見を確認します。好酸球性食道炎では、粘膜が白っぽく血管が透けにくくなり、輪状の溝や縦方向の溝が見られる事が特徴です。診断の確認には、内視鏡で組織を採取して調べる事もあります。カンジダ性食道炎では、酒粕のような白い付着物が観察されます。 |
| 治療 | 好酸球性食道炎は、逆流性食道炎に準じて胃酸を抑えるお薬で改善する方がほとんどですが、改善しない場合はステロイドの内服や抗ロイコトリエン受容体拮抗薬などを検討します。カンジダ性食道炎は、少量の付着で無症状であれば治療は不要です。付着が多く症状がある場合には、抗真菌薬の内服を行うとともに、免疫力が低下している原因の治療も併せて行っていきます。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 好酸球性食道炎については、ご自身でとれる特別な対策はありません。気になる症状が続くときにはご相談ください。カンジダ性食道炎については、疲れをためず免疫力を落とさない事が大切です。糖尿病などの持病がある方は、その管理が予防につながります。 |
よくあるご質問
はい。好酸球性食道炎は厚生労働省の指定難病です。重症度基準を満たす場合に特定医療費助成の対象となります。申請には医師の診断書等が必要ですので、診察時にご相談ください。
何らかのアレルギーが関与していると考えられていますが、原因は完全には解明されていません。特定の食物(小麦・乳製品・卵・大豆・ナッツ・シーフードなど)が関与するとされていますが、特定の食物除去食(6-food elimination diet)の効果は個人差があります。
症状は似ていますが、逆流性食道炎は胃酸の逆流が原因で内視鏡では縦走するびらんが特徴です。好酸球性食道炎はアレルギー性炎症が原因で、内視鏡では輪状溝・縦走溝・白斑が特徴です。確定診断には内視鏡での生検(組織採取)が必要で、顕微鏡で好酸球が多数浸潤しているかを確認します。
まずPPI(プロトンポンプ阻害薬)による治療を行います。PPIで症状と内視鏡所見が改善する方が一定数いらっしゃいます。PPIで改善しない場合には、ステロイドの食道内局所投与や食事療法が検討されますが、これらには国内で好酸球性食道炎に対する保険適用が確立していない治療が含まれます。適応の判断や実施方法については診察のうえで個別にご説明し、必要に応じて専門施設と連携いたします。再発しやすい疾患のため、長期的な経過観察が必要になる事が多い疾患です。
カンジダは人体に常在する真菌で、健康な方同士での感染は通常起こりません。カンジダ性食道炎は主に「宿主側の免疫低下」が原因で発症するため、日常的な接触での感染リスクはほぼありません。
食物嵌頓は食道が狭くなっている状態(好酸球性食道炎・食道がん・食道ウェブなど)で起こりやすく、緊急の内視鏡的除去が必要になる事があります。食べ物が胸につかえて下に落ちない・飲み込めないという状況が続く場合は、すぐに消化器内科または救急を受診してください。
抗真菌薬(フルコナゾールなど)の内服で通常2〜3週間で改善します。ただし、免疫が低下している根本的な原因(糖尿病・悪性腫瘍など)を治療しないと再発します。基礎疾患の管理が根本的な治療です。
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