飲酒で顔が赤くなる方はご注意を
食道がんの早期発見のために
食道がんは初期には全く自覚症状がありません。「食べ物が落ちていかない感じ」「声がかすれる」「体重が減っている」などの症状が出るころにはすでに進行がんの事が多く、治療の選択肢が限られます。一方、胃カメラで偶然発見される早期食道がんはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で根治が期待できます。飲酒で顔が赤くなる体質・長年の喫煙・逆流性食道炎・バレット食道のある方は定期的な胃カメラ検査を強くお勧めします。
60秒でわかる この記事の要点
- 早期の食道がんは無症状です。飲み込みにくさや声のかすれが出た時点では進行している事が多いです。
- 飲酒で顔が赤くなる方(ALDH2活性が低い方)と喫煙者はリスクが高く、両方あると相乗的に高まります。
- バリウム検査では早期がんの発見が難しく、NBIを併用した胃カメラが最も有効な検査です。
- 早期であればESDによる根治が期待でき、進行例は速やかに専門医療機関へご紹介してまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
食道がんの症状チェック
食道がんの症状(現れた時点では進行がんの事が多い)
- 食べ物を飲み込んだときに胸のあたりで引っかかる・落ちにくい感じがある
- 食べ物を飲み込んだとき、胸がしみるような感覚がある
- 胸の痛み・圧迫感がある
- 慢性的な咳・声がかすれてきた(反回神経麻痺)
- 体重が急激に減った
食道がんのリスク因子(無症状でも定期胃カメラを推奨)
- お酒を飲むと顔が赤くなりやすい(アセトアルデヒド分解酵素活性が低い方:リスク高)
- 喫煙習慣がある・過去に喫煙していた
- 毎日飲酒する習慣がある
- 逆流性食道炎を長年放置している
- バレット食道(LSBE)を指摘されている
- 熱い飲み物をよく飲む(WHO発がん性分類Group 1)
- 食道アカラシアがある(長期罹患で食道がんリスクが高まる)
受診タイミング目安
早めに受診を
- 食べ物が飲み込めない・全く通らない感じがある
- 体重が急激に減っている・声が突然かすれた
受診をお勧め
- 飲み込みに違和感が出てきた・胸にしみる感じがある
定期胃カメラ
- 飲酒で顔が赤くなる・長年の喫煙・過去に食道がんを治療した
- バレット食道・逆流性食道炎を指摘されている
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
早期食道がんを意識したNBI(特殊光)併用観察
早期の食道がんは、白色光ではわずかな発赤にしか見えない事があります。NBI(狭帯域光観察)では、がんの部分が茶褐色の領域として見えやすくなるため、当院では食道の観察時にNBIを併用いたします。飲酒で顔が赤くなる方、喫煙歴のある方は特に注意して観察いたします。
扁平上皮がんと腺がん、二つのリスク経路をそれぞれ評価
食道がんには、飲酒・喫煙を背景とする扁平上皮がんと、逆流性食道炎からバレット食道を経て生じる腺がんという、二つの異なる経路があります。当院では問診で飲酒・喫煙歴とお酒で顔が赤くなる体質かどうかを確認したうえで、内視鏡ではバレット食道の有無まで含め、両方のリスクを評価いたします。
地域のかかりつけ医として、わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。早期発見のための定期的な胃カメラから、治療後の経過観察まで、かかりつけとして継続して対応いたします。
食道がん診療における当院の役割
早期食道がんの発見は内視鏡観察の精度に依存します。当院ではNBI(特殊光観察)による粘膜表面の血管・表面構造パターン評価で、白色光では見えにくい早期がんの検出に努めます。食道がん、またはその疑いと判断した場合は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が適応となる早期がんの場合を含め、治療が可能な連携施設へ速やかにご紹介します。当院は診断と、治療後の経過観察・かかりつけとしての継続診療を担います。
院長メッセージ
「お酒を飲むと顔が赤くなりやすい体質の方は食道がんリスクが高い」——これは私が患者さんにぜひ知っていただきたい重要な事実です。アセトアルデヒドという発がん性物質を分解する酵素の活性が生まれつき弱い方は、飲酒で顔が赤くなりやすく、食道がんのリスクが顔が赤くならない方の数倍になります。食道がんの怖さは「早期に自覚症状がない」ことです。
バリウム(胃のX線検査)では早期食道がんの発見は困難で、早期発見には胃カメラが推奨されています。「飲酒で顔が赤くなる」「長年の喫煙習慣がある」「逆流性食道炎やバレット食道がある」という方は、症状がなくても定期的な胃カメラを受けてください。早期発見できれば、内視鏡治療(ESD)で根治が期待できます。
佐々木洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
食道がんとは
食道がんは、食道の粘膜にできる悪性腫瘍です。主に扁平上皮癌と腺癌の二つに分けられ、食道がんの約90%は、食道本来の粘膜である扁平上皮から発生する扁平上皮癌です。腺癌は、逆流性食道炎によって胃と食道のつなぎ目の粘膜がただれ、扁平上皮が胃の円柱上皮に置き換わったバレット食道から発生するもので、バレット食道癌(食道腺癌)と呼びます。食道がんは男性に多く、50歳代から増え始め、70歳代でピークを迎えます。がんは次第に食道の壁の奥へ進み、粘膜内にとどまるものを早期食道がん、粘膜下層までのものを表在食道がん、それより深いものを進行食道がんと呼びます。進行すると、肺や肝臓、骨、リンパ節などへ転移する可能性が出てきます。
| 主な症状 | 早期の食道がんには自覚症状がなく、健康診断や人間ドックの胃カメラで見つかる事が多くあります。がんが大きくなると、食べ物が落ちていかない感じや違和感、胸にしみる感じ、胸の痛み、咳や声のかすれ、体重の減少などが起こる事があります。 |
|---|---|
| 原因・リスク | 危険因子は扁平上皮癌と腺癌で異なります。扁平上皮癌の主な原因は飲酒と喫煙で、両方があるとリスクはさらに高まります。飲酒で体内に生じるアセトアルデヒドには発がん性があり、日本人にはこれを分解する酵素の働きが生まれつき弱い方が多くいらっしゃいます。こうした方はお酒で顔がすぐ赤くなるため、飲酒で顔が赤くなる方は食道がんのリスクが高いといえます。そのほか、熱い飲み物や食道アカラシアもリスクとして知られています。一方、腺癌のリスクは、逆流性食道炎、バレット食道、肥満、喫煙などが明らかになっています。 |
| 検査・診断 | 胃カメラで粘膜の色調や表面の模様を詳しく観察し、がんの有無やその深さを予測します。バリウムによる検診では早期の食道がんを見つける事は困難です。飲酒・喫煙の習慣がある方、お酒で顔が赤くなる体質の方、逆流性食道炎やバレット食道を指摘された方など、リスクの高い方には定期的な内視鏡検査をお勧めいたします。 |
| 治療 | がんの進行度を確認したうえで、適した治療を検討します。粘膜内にとどまる早期食道がんは、内視鏡で粘膜を切除するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)のよい適応です。粘膜下層より深くなるほどリンパ節転移の可能性が高くなるため、深く進んでいる場合には手術や化学放射線療法が検討されます。これらの治療は専門的な設備と体制を要するため、当院で食道がんと診断された患者様、またはその疑いのある患者様は、ESDが適応となる早期がんの場合を含め、治療が可能な連携施設へ速やかにご紹介いたします。当院は診断と、治療後の経過観察やかかりつけとしての継続診療を担ってまいります。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 早期の食道がんは自覚症状がなく、多くは胃カメラで偶然見つかります。予防の面では、飲酒と喫煙を控える事が最も重要で、特にお酒で顔が赤くなる方は禁煙・節酒を心がけていただきたいと思います。リスクの高い方は、症状がなくても定期的な内視鏡検査を受けていただく事をお勧めいたします。 |
よくあるご質問
はい。飲酒で顔が赤くなる方はアセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の活性が生まれつき弱く、体内にアセトアルデヒドが長く残ります。アセトアルデヒドは食道粘膜のDNAを傷つける発がん性物質で、このタイプの方は飲酒量が多くなるにつれて食道がんリスクが上昇します。「飲酒で顔が赤くなるが、お酒は飲めている」という方は特にリスクが高く、定期的な胃カメラをお勧めします。
初期の食道がんはバリウム検査では見つかりにくく、早期発見には胃カメラ(内視鏡検査)が推奨されています。特にNBI(特殊光)観察を併用する事で、白色光では見えにくい早期がんを検出しやすくなります。
食道がんが粘膜内(T1a期)に留まる場合は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で根治が期待できます。粘膜下層(T1b期)まで及ぶ場合はリンパ節転移のリスクがあり、ESD後に追加の放射線化学療法が必要になる事があります。治療の適応は内視鏡所見とESD後の病理結果で総合的に判断します。なお当院ではESDは実施しておらず、適応がある場合は連携施設へご紹介します。
病期によって大きく異なります。一般に早期(Stage I)では5年生存率が高い一方、進行・転移を伴う場合(Stage III〜IV)では大きく低下すると報告されています。早期発見・早期治療が予後の改善につながります。
食道アカラシア(下部食道括約筋が弛緩しない病気)は、長期にわたり罹患すると食道扁平上皮がんのリスクが一般の方より高くなる事が知られています。アカラシアと診断されている方は定期的な胃カメラが推奨されます。
食道がんの治療方針は進行度(T・N・M分類)と患者様の体力で決まります。早期(粘膜内がん)はESD、粘膜下層がん・手術可能な進行がんは食道切除術、手術が難しい進行がんは化学放射線療法が中心となります。これらの治療は連携施設で行われます。
逆流性食道炎を長年放置するとバレット食道になる場合があり、バレット食道からバレット食道がん(食道腺がん)が発生するリスクがあります。ただし日本人に多いSSBEのリスクは年率0.19%と低く、過度な心配は不要ですが、定期的な胃カメラでの経過観察が重要です。
食道は反回神経(声帯を動かす神経)のすぐ近くを走っています。食道がんが進行して反回神経を圧迫・浸潤すると反回神経麻痺が起こり、声のかすれ(嗄声)が現れます。突然の声のかすれは食道がんや甲状腺がん・肺がんの可能性があり、早期受診をお勧めします。
胃カメラのご予約・
ご相談はこちら CONTACT
初めての方もお気軽にご相談ください。「飲酒で顔が赤くなる」「長年の喫煙習慣がある」
「逆流性食道炎・バレット食道を指摘されている」方への定期胃カメラのご予約をお待ちしています。