痛みなく突然の大量血便 大腸憩室出血の診断と治療
大量の血便・血圧低下(100mmHg以下)・頻脈(100回/分以上)立ちくらみ・冷や汗がある場合は、ただちに救急(119番)をご利用ください。クリニックではなく救急病院での対応が適切です。
60秒でわかる この記事の要点
- 大腸の壁にできる袋(憩室)から出血する病気で、痛みのない突然の大量血便が特徴です。
- 炎症を起こす憩室炎とは異なり、発熱や腹痛を伴わない点が大きな違いです。
- 多くは自然に止血しますが再出血しやすく、大腸カメラでの出血源の確認が重要です。
- 血圧低下を伴う大量出血は緊急対応が必要で、当院では止血処置と高次医療機関への紹介に対応します。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
憩室出血の症状(痛みなし)
- 突然、痛みなく大量の血液が混じった便が出た
- 腹部の痛みは特にないのに血便が出ている
- 立ちくらみ・冷や汗がある(出血性ショックの可能性)
大腸憩室症(憩室があるだけ)の場合
- 大腸カメラや大腸CT検査で「憩室あり」と言われた
- 便秘傾向があり、大腸憩室炎のリスクを心配している
憩室炎の症状(炎症を伴う)
- 右下腹部または左下腹部に痛みがあり、発熱もある
受診タイミング目安
すぐに救急受診を
- 大量の血便で血圧が下がる感じ・立ちくらみ・冷や汗
- 意識が遠のく感じ(出血性ショック)
受診をお勧め
- 痛みなく突然血便が出た(量が少なくても評価が必要)
- 大腸カメラ後に大量の出血がある
経過観察
- 大腸検査で憩室を指摘されたが、症状はない
吉祥寺みどり内科・消化器
クリニックを選ぶ理由
大腸カメラによる
出血源確認と止血処置
憩室出血は「どの憩室から出血しているか」の特定が難しい疾患です。消化器内視鏡専門医が大腸カメラで出血部位を丁寧に探し、出血が確認できた場合はクリップ等による止血処置を行います。出血が自然に止まっている場合でも、再出血リスクの評価を行います。
外来対応困難な大量出血は
速やかに高次医療機関へ紹介
入院・輸血が必要と判断される大量出血、または内視鏡で出血部位が特定できない場合は、カテーテル止血術・手術が必要な場合があります。当院での対応範囲を正直にお伝えし、速やかに信頼できる高次医療機関へご紹介します。
地域のかかりつけ医として、
わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。憩室が見つかって終わりにするのではなく、憩室出血や憩室炎を起こした際の対応から、再発予防のご相談まで継続して対応いたします。
院長メッセージ
「痛みがないのに大量の血便が出た」、これが大腸憩室出血の典型的な症状です。多くの患者様が驚いて来院されますが、適切な処置が受けられれば予後は良好です。ただし、出血が大量の場合は血圧が下がる出血性ショックになる事もあり、その場合は入院・輸血が必要になります。大腸カメラで出血源を探しますが、出血が断続的に起こるため特定が難しい事もあります。当院では対応可能な範囲を正直にお伝えし、入院が必要な場合は速やかに連携医療機関へご紹介します。「お腹が痛くないから様子を見よう」は危険です。突然の血便はかならず医師にご相談ください。
佐々木 洋
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
大腸憩室症・憩室出血とは
大腸憩室は、大腸の壁の一部が薄くなり、外側へ袋状に飛び出したもので、腸の内側からは窪みのように見えます。上行結腸やS状結腸に多くできますが、憩室自体は正常範囲の変化で病気ではなく、症状もありません。ただ、壁が薄いため、憩室の血管が切れて痛みもなく突然大量に出血する事があり、これを憩室出血といいます。
| 主な症状 | 憩室があるだけでは症状はありません。憩室出血では、便に血が混じるというより血液に便が混じって出てくるような、比較的大量の出血がみられます。大量出血では血圧が下がって立ちくらみや冷や汗を起こし、最重症では意識が遠のく出血性ショックに至る事もあります。 |
|---|---|
| 原因 | 憩室は、生まれつき腸の壁の薄い部分が腸の内圧に負けて袋状に飛び出す事でできると考えられています。その壁は薄く、圧力や炎症などの刺激で血管が切れると憩室出血になります。血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方は出血のリスクが高くなります。 |
| 検査・診断 | 大腸カメラで出血している憩室を探し、確認します。ただ憩室は多発している事が多く、どこから出血しているか特定が難しいうえ、出血は出たり止まったりするため、検査時にはすでに止まっている事も少なくありません。出血部位がわからない時は造影CTやカテーテル検査が必要になる事もあります。 |
| 治療 | 出血している憩室が見つかれば内視鏡で止血処置を行います。自然に止まる事も多い一方、出血部位が同定できない場合や大量出血の場合は、カテーテル治療や入院が必要になる事があります。強い貧血や出血性ショックを伴う時は外来では対応が難しく、入院となる事もあります。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 憩室出血はご自身で対処できません。大量の血便や、冷や汗・意識が遠のく感じがある時は、ためらわず受診し、必要なら救急車を呼んでください。便秘を避け食物繊維をとる事は、合併症の予防に役立つ可能性があります。 |
よくある質問
憩室出血は「痛みなく突然大量の血液が肛門から流れ出る」という特徴があります。痔の出血は排便時に少量の鮮血が便に付く程度が多いです。大量の血便(便より血液の量が多い)が突然出た場合は憩室出血や虚血性腸炎などを疑い、早期に受診してください。
憩室炎は憩室の中で細菌感染を起こした状態で「腹痛・発熱」が主症状です。憩室出血は憩室の壁にある血管が切れて起こる出血で「痛みのない大量血便」が特徴です。症状が全く異なります。
憩室があるだけ(無症状)の場合は特別な制限はありません。ただし、便秘は憩室炎・憩室出血のリスクを高めるため、食物繊維を多くとり便秘にならない生活が推奨されます。
自然に止血した場合でも、再出血リスクは高いとされています。初回出血後は大腸カメラで出血部位を確認し、再出血リスクの高い部位には予防的な止血処置が検討される場合があります。
憩室があるだけの場合は手術は不要です。ただし、頻繁に憩室炎・憩室出血を繰り返す場合や、憩室炎で穿孔(腸に穴が開く)を起こした場合は外科手術が検討される事があります。