繰り返す血便・下痢・腹痛で
お悩みの方へ 潰瘍性大腸炎の診断と長期管理
潰瘍性大腸炎は厚生労働省の指定難病です。原因不明で根本的な治療法はありませんが、軽症の方が6割を占め、適切な治療で通常の生活を送る事ができます。当院では活動期の寛解導入から、寛解を維持するための長期外来管理まで、患者様の生活負担を最小限にしながら継続的な治療を提供します。
60秒でわかる この記事の要点
- 大腸に慢性の炎症が起こる指定難病で、血便・下痢・腹痛を繰り返します。
- 軽症の方が約6割を占め、適切な治療を続ける事で多くの方が通常の生活を送っておられます。
- 治療は5-ASA製剤による寛解導入と維持が中心で、症状がない時期も継続する事が重要です。
- 長期罹患で大腸がんリスクが高まるため、当院では定期的なサーベイランス内視鏡を行ってまいります。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医/難病指定医(東京都知事指定)
症状チェック
- 血液・粘液の混じった下痢が続く
- 腹痛(特に左下腹部)を繰り返す
- 1日に何度もトイレに行く・夜間も下痢で起きる
- 発熱・貧血・体重減少がある(中等症〜重症)
- 足首・ひざの関節に痛みがある(腸管外合併症)
- 口内炎・皮膚の赤い盛り上がりがある(腸管外合併症)
- 潰瘍性大腸炎の家族歴がある(遺伝的因子の関与)
受診タイミング目安
早めに受診を
- 大量の血便・38℃以上の高熱・頻回(10回/日以上)の血性下痢
- 腹痛が激しく食事がとれない
受診をお勧め
- 血液の混じった下痢が2週間以上続いている
- 下痢と血便を繰り返しているが検査を受けた事がない
- 寛解中だが最近症状が再燃してきた
定期受診
- 寛解維持中の定期大腸カメラ(長期罹患でのがんリスク監視)
吉祥寺みどり内科・消化器
クリニックを選ぶ理由
大腸カメラによる
潰瘍性大腸炎の診断・重症度評価
潰瘍性大腸炎の確定診断には大腸カメラと組織生検(病理診断)が不可欠です。また内視鏡所見(Mayo内視鏡スコア等)で重症度を客観的に評価し、治療方針の決定に活かします。消化器内視鏡専門医が内視鏡画像を見ながら詳しく説明します。
指定難病の医療費助成の手続きも
院内で対応いたします
潰瘍性大腸炎は指定難病です。医療費助成を受けるには、都道府県が指定した難病指定医が作成する臨床調査個人票が必要になります。院長は東京都知事指定の難病指定医であるため、診断から個人票の作成、毎年の更新手続きまで当院で対応いたします。診断のために別の病院を受診し直していただく必要はありません。
※認定の可否は東京都の審査によります。地域のかかりつけ医として、
わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。診断して終わりにするのではなく、寛解導入から寛解を維持するための長期の外来管理、医療費助成の更新手続きまで継続して対応いたします。
院長メッセージ
潰瘍性大腸炎は「治らない病気」という言葉を聞いて不安を持ちながら来院される患者様が多くいらっしゃいます。確かに根本的な治療はありませんが、軽症の方が6割を占め、適切な治療を継続する事で多くの方が通常の生活を送る事ができます。「治療をやめたら大丈夫だった」という経験から治療を中断し、急激に悪化してしまうケースも経験してきました。当院での方針は「症状がなくても少量の治療を継続し、寛解を長く維持する事」です。一方で、長期化すると大腸がんリスクが高まるため、定期的な大腸カメラ検査も重要です。一人で抱え込まず、医師と二人三脚で長期管理を続けましょう。
佐々木 洋
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、びらんや潰瘍をつくる病気です。軽症では下痢と血便が主な症状で、重くなると腹痛や発熱を伴います。10代から30代での発症が多いものの、ご高齢での発症もあります。原因不明で厚生労働省の指定難病に指定されていますが、軽症の方が6割ほどを占め、適切な治療で通常の生活を送れる方がほとんどです。
| 主な症状 | 粘膜からの出血による血便と、水分の吸収が悪くなる事による下痢が中心です。炎症が強まると腹痛を起こし、重症化すると発熱・貧血・体重減少を伴います。お腹以外にも、関節炎や、口内炎・壊疽性膿皮症・結節性紅斑といった皮膚の症状などの合併症を起こす事があります。 |
|---|---|
| 原因 | 自己免疫反応の異常、食生活の欧米化、腸内細菌の関与などが指摘されていますが、原因ははっきりわかっていません。家族内で発症がみられる事があり遺伝的な要因も示唆されていますが、それだけで発症するわけではなく、環境要因が絡んで発症すると考えられています。 |
| 検査・診断 | 大腸カメラで、直腸から連続する粘膜の炎症(光沢の消失・むくみ・びらん・潰瘍)を確認し、組織検査とあわせて診断します。他の腸炎との区別や、炎症の範囲・重症度の評価にも内視鏡が欠かせません。 |
| 治療 | 原因がわかっていないため根本的な治療はなく、大腸の炎症を抑える治療を行います。基本となる内服薬は5-ASA製剤で、中等症以上ではステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤を用いて、まず症状のない寛解期を目指します。症状が治まった後も、少量の5-ASA製剤などを続けて寛解を維持する事が大切で、治療を自己中断した事をきっかけに急に悪化する例もよく経験します。当院では初めて診断される方の軽症〜中等症の寛解導入・維持を行い、入院が必要な重症例は信頼できる医療機関へご紹介します。また、長期経過では大腸がんのリスクがあるため、定期的な大腸カメラを行ってまいります。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 不規則な生活やストレスは症状を悪化させる事があるため、規則正しい生活が大切です。寛解期は食事や運動の特別な制限はありませんが、活動期はカフェインやアルコールを控えていただいた方がよいでしょう。慢性の病気ですが、治療を続ければ普通の生活を送る事ができます。 |
よくある質問
はい。潰瘍性大腸炎は厚生労働省の指定難病です。重症度基準を満たす場合に医療費助成(特定医療費)の対象となります。申請には医師の診断書と所定の書類が必要です。詳しくは担当医または居住市区町村窓口にご相談ください。
寛解を維持するためには、症状がない時期も5-ASA製剤などを継続する事が推奨されています。「治ったから薬を止めた」という場合に再燃・悪化するケースが多く見られます。ただし、長期寛解が維持されている場合は担当医と相談のうえ漸減・中止を検討する事もあります。
潰瘍性大腸炎に罹患してから7〜8年以降、特に全大腸炎型・10年以上の罹患では大腸がんリスクが高まる事が知られています。このため定期的な大腸カメラ(サーベイランス内視鏡)が重要で、日本の学会ガイドラインでは罹患7〜8年後から1〜2年ごとのサーベイランスが推奨されています。
活動期は大腸粘膜に炎症が起き、血便・下痢・腹痛などの症状が出ている状態です。寛解期は症状が消失した状態で、さらに内視鏡で粘膜が正常に近い状態(粘膜治癒)が維持されている状態が最も望ましい治療目標です。
寛解期には妊娠・出産は可能です。ただし活動期の妊娠は早産・流産のリスクが高まるため、寛解を維持してから妊娠を計画する事をお勧めします。服用中の薬によっては妊娠中も継続可能なものがあります。担当医・産婦人科医と連携して対応します。