検査では異常がないのに
胃の不調が続く方へ
「検査では異常がないと言われたのに、胃の不調が続く」。それは機能性ディスペプシア(FD)かもしれません。胃の粘膜はきれいでも、胃の動きや知覚に問題があると症状が出ます。胃の不調で受診される方の約半数を占めるとされるほど一般的な病気です。重い病気ではないと知る事が、治療の第一歩になります。
60秒でわかる この記事の要点
- 胃カメラで異常がないのに胃もたれやみぞおちの痛みが続く病気で、外来患者様の4〜5割を占めます。
- 診断は胃がんや潰瘍などの器質的疾患を除外した上で行う「除外診断」です。
- 治療は胃酸分泌抑制薬・消化管運動改善薬・漢方薬などを組み合わせて行います。
- 当院ではまず内視鏡専門医が重い病気がない事を確認し、その安心を治療の出発点と考えています。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
すでに症状がある方
- 食後に胃がもたれる・重い
- 少し食べただけですぐ満腹になる(早期飽満感)
- みぞおちが痛む・焼けるような感じ(心窩部痛・灼熱感)
- げっぷ・胸やけがする
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
- ストレスや不眠で症状が悪化する
- 胃カメラを受けたが「異常なし」と言われた
受診タイミング目安
早めの受診を
- 体重減少・貧血・黒色便・飲み込みにくさを伴う(胃がん等の除外が必要)
受診をお勧め
- 胃の不快感・痛みが続くが胃カメラ未経験
- 市販薬で改善しない胃もたれ
定期胃カメラとして
- FDと診断され薬でコントロールできている
吉祥寺みどり内科・
消化器クリニックを選ぶ理由
まず器質的な病気がない事を
胃カメラで確認いたします
機能性ディスペプシアは、胃がんや潰瘍などの病気がない事を確かめた上で診断いたします。当院では消化器内視鏡専門医が胃カメラで粘膜を確認し、その所見を根拠としてご説明いたします。原因のわからない不安を抱えたままにせず、まず確認する事を優先いたします。
胃の動き・知覚・ピロリ菌など、
複数の要因から原因を探ります
機能性ディスペプシアの背景には、胃の運動機能の低下、知覚過敏、胃酸、ピロリ菌感染、ストレスなど複数の要因が関わっています。当院では消化器病専門医が、どの要因が強く関与しているかを問診と検査から評価いたします。ピロリ菌感染がある場合は、除菌により症状が改善する方もいらっしゃいます。
検査で終わりにせず、その後も同じ医師が続けて診てまいります
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。検査や治療を行って終わりにするのではなく、その後の経過まで主治医として続けて拝見してまいります。検査で大きな病気がない事を確認した後も、症状が続く間はお薬の調整を重ね、その方に合う治療をご一緒に探してまいります。
院長メッセージ
「どこの病院に行っても異常なしと言われるのに、胃の調子が悪い」。そうした悩みを抱えて来院される方が数多くいらっしゃいます。機能性ディスペプシアは、胃の不調で受診される方の約半数を占めるとされるほど一般的でありながら、見過ごされやすい病気です。
治療はまず、胃カメラで重い病気がない事を確認するところから始まります。検査で異常がないとご説明を受けただけで症状が和らぐ方も少なくありません。その上で症状が続く場合は、胃の動きを整えるお薬や胃酸を抑えるお薬、時に漢方薬を組み合わせてまいります。すぐに効果が出ない事もありますが、その方に合うお薬をご一緒に探してまいりますので、あきらめずにご相談ください。
佐々木洋(執筆・監修)
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・
肝臓専門医・総合内科専門医・
日本ヘリコバクター学会
ピロリ菌感染症認定医
最終更新:2026年10月
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアは、胃もたれやみぞおちの痛み、満腹感、灼熱感といったつらい症状を繰り返し感じるのに、胃カメラや腹部超音波などで調べても胃に異常が見つからない病気です。英語のFunctional Dyspepsiaから、FDと呼ぶ事もあります。
粘膜はきれいでも、胃の動きや働きに問題がある状態です。以前はこうした症状も慢性胃炎と診断される事が多くありました。お腹の症状で受診される患者様のうち4〜5割はこの機能性ディスペプシアである事がわかっており、命にかかわる病気ではありませんが、症状が強く生活に影響する事も少なくありません。
| 主な症状 | 胃のもたれや痛み、満腹感、みぞおちの灼熱感などが主な症状です。「胃がここにある感じがする」とおっしゃる患者様もいらっしゃいます。げっぷや胸やけのような症状が出る事もあります。症状は一定ではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返し、季節やストレスのかかる状況で強くなる方もいらっしゃいます。 |
|---|---|
| 原因 | はっきりとした原因を特定するのは簡単ではなく、いくつかの要因が絡み合って起こると考えられています。 胃や十二指腸の動きのリズムの乱れ、胃の知覚過敏、胃酸の過剰な分泌、ストレス、ピロリ菌感染(除菌で改善する事があります)、感染性胃腸炎のあと、アルコールや喫煙・不眠といった生活習慣などが関係するとされています。 |
| 検査・診断 | 胃カメラや腹部超音波検査で、胃がんや潰瘍など他の病気がない事を確認したうえで診断します。症状だけでご自身で判断するのは難しく、一通りの検査を行う事が診断の前提になります。 |
| 治療 | まず、大きな病気ではないと知っていただく事から治療が始まります。実際、胃カメラや超音波で異常がない事を確認し、病気について説明を受けるだけで自然と楽になる方も多くいらっしゃいます。 それでも症状がある場合は、胃酸を抑えるお薬や、胃腸の動きを整えるお薬を中心に使っていきます。すぐに改善しない事もありますが、いろいろなお薬を使い分けながら、その方に合う治療を一緒に探してまいります。時間がかかる事もありますが、医師と二人三脚で取り組んでいきましょう。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 症状が長く続く場合は、一度胃カメラ検査をお勧めいたします。機能性ディスペプシアと診断されている場合は、生活習慣の見直しや、できる範囲でストレスをためない工夫がご自身でできる対応になります。 |
よくあるご質問
症状だけでは見分けられません。だからこそ胃カメラで胃がん・潰瘍などの器質的疾患がないことを確認することが不可欠です。体重減少・貧血・黒色便・嚥下困難などの警告サインがある場合は特に精密な検査が必要です。
単一の原因ではなく、胃・十二指腸の運動リズムの乱れ、胃の知覚過敏、胃酸の影響、ストレス、ピロリ菌感染、感染性胃腸炎後の発症、生活習慣(飲酒・喫煙・不眠)などが複雑に絡み合って起こると考えられています。
胃酸を抑える薬(PPI/P-CAB・H2ブロッカー)、胃の動きを整える薬(アコチアミド等)、漢方薬(六君子湯など)を症状に応じて使い分けます。効果には個人差があり、複数の薬を試しながら最適なものを探します。
ピロリ菌感染者では、除菌によって症状が改善することがあります(除菌後、症状が改善して一定期間持続した場合はH. pylori関連ディスペプシアと考えます)。当院ではFDの方にもピロリ菌の有無を確認します。
深く関係します。脳と胃腸は「脳腸相関」で密接につながっており、ストレスが胃の知覚過敏や運動障害を引き起こします。生活習慣・睡眠・ストレス管理も治療の一部です。
ヨーグルトがFDに明確に効くという医学的根拠は現時点でありません。ただしピロリ菌の活動を抑える可能性を示す報告はあります。バランスの良い食生活の一部として摂る分には問題ありません。
適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできる病気です。良くなったり悪くなったりを繰り返すことがありますが、命に関わる病気ではありません。症状が出たときに適切に対処することが大切です。