右下腹部が急に痛み出した方へ 急性虫垂炎(盲腸)の診断と治療
激しい腹痛(お腹全体が板のように硬い・動けないほどの痛み)がある場合は腹膜炎の可能性があります。ただちに救急(119番)をご利用ください。
60秒でわかる この記事の要点
- 一般に「盲腸」と呼ばれる病気で、みぞおちの痛みが右下腹部へ移動するのが典型的な経過です。
- 押して離した時に痛みが強くなる反跳痛、歩くと響く痛みが診断の手がかりになります。
- 炎症が軽ければ抗生物質で治療できますが、穿孔すれば腹膜炎となり緊急手術が必要です。
- 当院では採血と腹部超音波で重症度を評価し、手術が必要な場合は外科へ速やかにご紹介します。
執筆・監修 PROFILE
日本内科学会認定 総合内科専門医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医/日本肝臓学会認定 肝臓専門医/
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
症状チェック
- 最初はみぞおちが痛み、その後右下腹部に痛みが移動した(虫垂炎の典型)
- 右下腹部を押すと痛い、さらに放したときに痛みが強くなる(反跳痛)
- 歩いたりジャンプすると右下腹部に痛みが響く
- 発熱がある(37〜39°C)
- 吐き気・食欲不振を伴う
- 腹部が硬く板のようになっている(腹膜炎の可能性・緊急受診)
受診タイミング目安
すぐに救急受診を
- お腹全体が板のように硬い・激痛で動けない(腹膜炎の可能性)
受診をお勧め
- 右下腹部の痛みが続き、発熱もある
- 過去に虫垂炎と診断され、同様の症状が再発した
受診を検討して下さい
- 軽度の腹部の違和感と微熱がある(軽症の可能性、内服で治療できる事も)
吉祥寺みどり内科・消化器
クリニックを選ぶ理由
採血・超音波で
内科治療 or 外科手術を迅速に判断
急性虫垂炎は炎症の程度によって内服抗生物質で治療できる場合と、手術が必要な場合があります。当院では採血(白血球・CRP)と腹部超音波検査(エコー)を組み合わせ、重症度を迅速に評価します。
手術が必要な場合は
スムーズに外科へ紹介
穿孔性腹膜炎など手術が必要と判断した場合は、連携する地域の基幹病院・大学病院へ速やかにご紹介します。
地域のかかりつけ医として、
わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。身体診察・採血・エコーで手術が必要かを見極め、必要な場合は速やかに連携施設へご紹介し、内服で軽快した後の再発への備えまで対応いたします。
院長メッセージ
急性虫垂炎(盲腸)は「とにかく手術」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、炎症が軽い「カタル性虫垂炎」の場合は抗生物質による保存的治療で回復する事があります。一方、穿孔(腸に穴が開いた状態)になれば腹膜炎を引き起こし、緊急手術が必要です。採血とエコーで炎症の程度を迅速に評価し、内科治療が可能か手術が必要かを判断する事が消化器内科医の役割です。クリニックの限界を超えると判断した場合は、ためらわずに地域の基幹病院・大学病院へご紹介します。
佐々木 洋
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・総合内科専門医
最終更新:2026年10月
急性虫垂炎とは
急性虫垂炎は、いわゆる「盲腸」と呼ばれる病気です。盲腸につながる5cmほどの袋状の突起である虫垂に、硬くなった便(糞石)などが詰まって閉塞し、中で細菌感染を起こして化膿した状態です。炎症が軽ければ抗生物質で「散らす」事もできますが、強くなると手術が必要になり、虫垂に穴があくと腹膜炎などの重い合併症を起こす事があります。
| 主な症状 | はじめにみぞおちの痛みを感じ、それと同時か少し遅れて右下腹部が痛くなる方が多いです。押した手を離す時に痛みが強くなる場合は限局性の腹膜炎の可能性があり、歩いたりジャンプしたりすると右下腹部に響きます。炎症が強まると発熱し、腸の動きが悪くなって便秘や嘔吐を伴う事もあります。最重症では虫垂に穴があき、汎発性腹膜炎となって手術が必要になります。 |
|---|---|
| 原因 | 虫垂の中に硬くなった便がはまり込み、袋が閉じてしまう事が主な原因です。虫垂が長くねじれて閉じる事もあります。閉じた袋の中で細菌が繁殖して炎症・化膿を起こし、組織が弱くなって内圧に負けると穴があいて重症化します。 |
| 検査・診断 | 当院では丁寧な身体診察に加え、採血やエコー検査を行い、内服で治る炎症か、手術が必要な状態かを見極めます。 |
| 治療 | 炎症が軽ければ内服または点滴の抗生物質で治療します。内服では治りきらない場合や、穿孔して汎発性腹膜炎になっている場合は手術が必要で、手術が必要と判断した場合は信頼できる高次医療機関へ速やかにご紹介いたします。 |
| 日常生活で 心がけていただきたい事 | 急性虫垂炎は繰り返す事があります。以前に薬の治療だけで軽快した方が同じような症状を感じた時は、再発を疑ってください。早めに対応すれば手術を避けられる事も多いので、できるだけ早く医師にご相談ください。 |
よくあるご質問
必ずしも手術が必要なわけではありません。炎症が軽い場合(カタル性虫垂炎)は抗生物質による保存的治療が可能です。ただし穿孔(腸に穴が開く)を起こした場合は手術が必要になります。採血・超音波で重症度を評価して判断します。
確実な自己診断はできませんが、以下のサインがあれば受診を急いでください:右下腹部を押さえて離したときに痛みが増す(反跳痛)、歩いたりジャンプすると右下腹部に痛みが響く、発熱と右下腹部痛が同時にある。これらがある場合は当日受診をお勧めします。
はい、一般的に「盲腸」と呼ばれるのは虫垂炎の事です。虫垂は盲腸から突き出た細い管状の器官で、そこに炎症が起きるのが虫垂炎です。医学的には「虫垂炎」が正しい呼称です。
保存的治療(抗生物質)で回復した場合でも、再発する可能性があります。再発を繰り返す場合は虫垂切除術を検討します。同じような症状が出た場合は早めに受診してください。
小学生から成人まで、あらゆる年齢で発症します。子供の虫垂炎は症状を正確に伝えられない事があるため、発熱・腹痛・食欲不振が重なった場合は早めに受診する事をお勧めします。
直接的な因果関係は証明されていません。虫垂炎は虫垂の内腔が便石(糞石)やリンパ組織の腫れなどで閉塞し、細菌感染を起こす事が主な原因と考えられています。