いびき・日中の強い眠気が
気になる方へ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査と治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。ご自身では気づきにくく、治療を受けないまま過ごされている方が少なくありません。そのままにしておくと、高血圧や心臓・脳の血管の病気、糖尿病などに関わってくる事があります。当院では、ご自宅で受けていただける検査で診断を行い、CPAP療法をはじめとする治療を行ってまいります。あわせて、SASと関わりの深い高血圧や糖尿病、脂肪肝も同じ場所で診てまいります。
60秒でわかる この記事の要点
- SASは睡眠中に呼吸が止まる、または浅くなる病気で、大きないびきや日中の強い眠気が代表的な症状です。
- 高血圧・心不全・脳卒中・2型糖尿病などとの関わりが指摘されています。
- 診断はご自宅で行える簡易検査やPSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)で行い、AHI(無呼吸低呼吸指数)で重症度を判定します。
- 中等症以上ではCPAP療法が治療の中心で、当院では合併しやすい高血圧・糖尿病・脂肪肝も同じ院内で診てまいります。
執筆・監修 PROFILE
症状チェック
睡眠中の症状(ご家族やパートナーから指摘される事が多い症状)
- 大きないびきをかく(特に仰向けで悪化する)
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
- 睡眠中に苦しそうにしている・息が荒い
- 夜間に何度もトイレで目が覚める
日中・起床時の症状(ご自身で気づきやすい症状)
- 十分に寝ても、日中に強い眠気がある・居眠りしてしまう
- 起床時に頭が重い・頭痛がある
- 疲れが取れない・熟睡した感じがない
- 集中力や記憶力が落ちた
- 気分が落ち込む・イライラしやすい
- 運転中に眠気を感じる・ヒヤリとした経験がある
SASセルフチェック
| チェック | 質問 | 点数 |
|---|---|---|
| いびきをよくかく | 1.5 | |
| 肥満傾向がある | 1.5 | |
| 高血圧がある(降圧薬を服用している) | 1.5 | |
| 昼間の眠気や居眠りで困る事がある(仕事中・会議中・運転中など) | 1.5 | |
| 夜の眠りが浅い・よく目が覚める(夜間のトイレを含む) | 1.0 | |
| 朝に疲れが残っている・朝に頭痛がある事が多い | 1.0 | |
| お酒を飲んでいない日でも、睡眠中に息が止まる事がある | 3.0 | |
| 合計 | 0.0点 | |
判定
合計3点以上の方は、SASの可能性がありますので受診をお勧めいたします。
『お酒を飲んでいない日でも、睡眠中に息が止まる事がある』にあてはまる方は、この項目だけで3点となります。睡眠中に息が止まっていると指摘された方は、早めにご相談ください。
受診タイミング目安
早めに受診を(運転などのお仕事がある方は特に)
- 睡眠中に呼吸が止まっていると、ご家族やパートナーから指摘された
- 運転中や仕事中に、居眠りをしてしまった事がある
- 上記のセルフチェックで3点以上だった
受診をお勧め
- いびきがひどいと指摘された
- 十分に眠っても、日中に強い眠気がある
- 高血圧の治療中だが、血圧が下がりにくい(SASが関わっている事があります)
定期受診として
- CPAP療法中の方(定期的な受診で、使用状況の確認や圧の調整を行います)
吉祥寺みどり内科・消化器
クリニックを選ぶ理由
SASの診断から、高血圧・糖尿病・脂肪肝の管理まで同じ場所で
SASは、高血圧や心臓・脳の血管の病気、2型糖尿病などとの関わりが指摘されている病気です。当院では、SASの検査とCPAP療法に加えて、SASと合併しやすい高血圧・糖尿病・脂肪肝(MASLD)も同じクリニックで診てまいります。いくつもの医療機関に分けて通院していただくご負担が少なくなるよう努めております。
入院せずに、ご自宅で受けていただける検査
SASの診断には、眠っている間の検査が必要です。当院では、まずご自宅で簡易検査(簡易アプノモニター)を行い、必要に応じて精密検査であるPSGもご自宅で受けていただけます。検査機器を外来でお渡しし、ご自宅で一晩装着してお休みいただいた後、機器をご返却いただく流れです。
地域のかかりつけ医として、わかりやすい説明と継続的な診療を
当院は1954年に杉並区宮前で開院し、2023年に吉祥寺へ移転いたしました。地域のかかりつけ医としての矜持を持ち、患者様に分かりやすく丁寧にご説明し、適切な医療をご提供する事で、信頼していただけるよう努めてまいります。検査で診断して終わりにするのではなく、CPAPの継続的な管理から、背景にある肥満・高血圧・糖尿病・脂肪肝といった生活習慣病の治療まで、同じクリニックで一緒に診てまいります。
院長メッセージ
「いびきがひどいのは体質だから」「寝ても眠いのは疲れのせい」。そう思って、そのままにされている方が少なくありません。ですが睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、検査で診断がつけば、治療の方法がある病気です。
私が内科医として特に気にかけているのは、SASと高血圧の関係です。お薬を増やしてもなかなか血圧が下がらない患者様の中には、SASが背景にある方がいらっしゃいます。SASの治療を始めてから、血圧が落ち着いてきた患者様も経験してまいりました。お薬が増えても血圧が下がりにくい方には、一度SASの検査を検討していただきたいと考えています。
SASの検査は、ご自宅での簡易検査から始められます。入院の必要はなく、普段どおりの環境でお休みいただきながら測定できます。ご家族にいびきや呼吸の止まりを指摘された方、日中の眠気でお困りの方は、まずセルフチェックをお試しいただき、どうぞお気軽にご相談ください。
佐々木 洋
総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医
最終更新:2026年10月
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まったり、浅く弱い呼吸になったりする病気です。10秒以上続く無呼吸や低呼吸が、1時間に平均して5回以上、あるいは7時間の睡眠中に30回以上起こる場合にSASとされます。日本では約500万人がSASにかかっているとされますが、治療を受けているのはそのうち1〜2割程度といわれています。睡眠中に起こるためご自身では気づきにくく、治療を受けないままになっている方が多いと考えています。治療によって症状の改善が期待できる病気ですので、いびきや無呼吸を指摘された方は、早めにご相談いただきたいと思います。
主な症状
睡眠中は、大きないびき、苦しそうな呼吸、息苦しさ、夜間の頻尿などがみられます。起きている時には、起床時の頭痛、十分に寝てもすっきりしない、熟睡感がなく疲れが取れない、集中力の低下、日中の強い眠気といった症状があらわれます。無呼吸が起こるたびに脳が呼吸を再開させるために目を覚ますため、熟睡できず慢性的な睡眠不足になり、仕事や学業の効率低下、気分の落ち込みにつながる事もあります。激しいいびきを伴う事が多いのですが、ご自身では気づかず、ご家族など身近な方に指摘されて初めてわかる事がよくあります。
原因
原因は大きく二つに分けられます。最も多いのは、のどの奥(上気道)が物理的にふさがって呼吸が一時的に止まる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。肥満による首まわりの脂肪、舌の大きさ、扁桃や口蓋垂の大きさ、あごが小さい事などが関わります。特に肥満は大きな要因で、SASの患者様の多くに見られます。一方、痩せている方でも、下あごが小さい・後ろに下がっている、扁桃が大きいといった特徴があれば起こりやすくなります。つまり、のどの奥が狭く、空気の通り道が細くなりやすいかどうかが大切です。閉経後の女性やご高齢の方も起こりやすくなります。もう一つは中枢性睡眠時無呼吸(CSA)で、脳からの呼吸の指令が一時的に途絶える事で起こります。心不全などに伴ってみられる事があり、全体に占める割合は多くありません。
重症度の目安
- AHI 5以上15未満:軽症
- AHI 15以上30未満:中等症
- AHI 30以上:重症
重症度に加えて、日中の眠気などの症状や、高血圧などの合併症の有無をあわせて、治療方針を決めてまいります。
そのままにした場合のリスク
睡眠中に何度も呼吸が止まる事で体が低酸素の状態になり、心拍数や血圧が上がって、脳や心臓をはじめ全身に負担がかかります。そのままにしておくと、高血圧、心不全や不整脈などの心臓の病気、脳卒中、2型糖尿病などのリスクが高まる事が指摘されています。また、日中の強い眠気によって、運転中の事故の危険が高まる事も知られています。SASはご本人の健康だけでなく、周りの方の安全にも関わる病気だと考えています。
主な検査項目・検査の流れ
- 01
簡易検査
(簡易アプノモニター)- ご自宅で、普段どおりに一晩お休みいただきながら測定します(入院は不要です)
- 測定項目:鼻や口の呼吸の流れ、いびき、脈拍、血液中の酸素濃度(SpO2)
- 1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)と、酸素の低下を評価します
- AHIが30以上で、日中の眠気などの症状がある場合は、保険によるCPAP療法の対象となります
- 30未満の場合は、必要に応じて精密検査(PSG)に進みます
- 02
精密検査
(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)- 当院では、PSGもご自宅で受けていただけます
- 測定項目:脳波・筋電図・心電図・呼吸・血液中の酸素濃度・体の向きなど
- 無呼吸の回数に加えて、閉塞性(OSA)か中枢性(CSA)かの区別、睡眠の深さや途切れ方、不整脈の有無、その他の睡眠障害の可能性まで評価します
- 実際に眠っていた時間がわかるため、AHIをより正確に算出できます
- PSGでAHIが15以上で、日中の眠気などの症状がある場合は、保険によるCPAP療法の対象となります
- 03
診断と治療方針の決定
- AHIによる重症度、OSAとCSAの区別、症状をもとに、治療方針をご説明いたします
- あわせて、高血圧・糖尿病・脂肪肝などの合併症の有無を確認します(血圧測定・血液検査、必要に応じて腹部超音波など)
受診から
結果説明までの流れ
外来で問診と
セルフチェックを行います
検査機器を
外来でお渡しします
ご自宅で一晩装着して
お休みいただきます
翌日以降に機器を
ご返却いただきます
解析結果をもとに、
診断と治療方針を
ご説明いたします
治療の流れ
- 01
CPAP療法
(経鼻的持続陽圧呼吸療法) 中等症〜重症の治療の中心就寝中に鼻マスクを装着し、空気の圧力で気道を広げて、無呼吸や低呼吸を防ぐ治療です。中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸に対する標準的な治療と位置づけられています。保険でCPAP療法を行う場合は、簡易検査でAHI 40以上、またはPSGでAHI 20以上で、日中の眠気などの症状がある事が条件となり、定期的な受診が必要です。マスクの違和感などで続けにくい場合は、マスクの種類や設定を調整し、それでも難しい場合はマウスピース療法への変更も検討いたします。
- 02
マウスピース療法
(口腔内装置) 軽症〜中等症の方に就寝中にマウスピースを装着し、下あごを前に出した状態に保って気道を確保する治療です。あごの形が関わっている方や、CPAPを続けにくい方で検討します。マウスピースは歯科での作製となりますので、連携する歯科医院へご紹介いたします。
- 03
減量と生活習慣の見直し 肥満がある方に
肥満はSASの大きな要因の一つです。海外の研究では、体重が10%減るとAHIが約26%減少したと報告されています。当院では、管理栄養士による食事指導も行っております。
あわせて、寝る前の飲酒を控える事、禁煙、横向きで寝る工夫なども、症状を軽くするのに役立つ事があります。
- 04
外科的治療 のどの構造に原因がある方に
扁桃肥大やアデノイドなど、のどの構造に原因がある場合は、耳鼻咽喉科へご紹介し、手術を検討する事があります。
治療中に心がけていただきたい事
鼻炎や副鼻腔炎がある場合は、耳鼻咽喉科での治療が必要になる事があります。SAS以外の呼吸器の病気が見つかった場合には、呼吸器の専門医へご紹介する事もございます。あわせて、背景にある高血圧や糖尿病、脂肪肝といった合併症の治療も並行して行ってまいります。
よくあるご質問
一生続けるとは限りません。肥満が主な原因の場合、減量によってSASが改善し、CPAPが不要になる方もいらっしゃいます。一方で、あごの形など骨格が主な原因の場合は、体重に関係なく長く治療を続ける事が多くなります。定期的に状態を確認しながら、治療の続け方を一緒に考えてまいります。
早い方では、使い始めて数日から数週間で、日中の眠気や朝の頭の重さが軽くなったと感じられる事があります。ただし効果の出方には個人差があり、マスクが合っていないと十分な効果が得られにくくなります。違和感があるときは我慢せず、ご相談ください。マスクの種類や設定を調整いたします。
はい、なる事があります。SASは肥満の方に多い病気ですが、痩せている方でも、下あごが小さい・後ろに下がっている、扁桃が大きい、舌が大きいといった特徴があると起こりやすくなります。日本人を含む東アジアの方は、欧米の方に比べてあごの骨格が小さい傾向があり、肥満がなくてもSASになりやすいといわれています。
関係している可能性があります。SASは、ほかの病気が原因で起こる「二次性高血圧」の原因の一つとして知られています。SASの治療によって血圧が下がる方もいらっしゃいます。複数の降圧薬を飲んでいても血圧が下がりにくい方は、SASの検査を検討される事をお勧めいたします。
①外来で問診とセルフチェックを行います
②簡易検査(または自宅でのPSG)の機器を外来でお渡しします
③ご自宅で普段どおりにお休みいただきながら測定します
④翌日以降に機器をご返却いただきます
⑤解析結果をもとに、診断と治療方針をご説明いたします。入院や医療機関への泊まり込みは不要ですので、お仕事や子育てでお忙しい方にも受けていただきやすい検査です。はい、なる事があります。お子様では扁桃やアデノイドが大きい事が主な原因で、いびきのほか、おねしょ、成長への影響、落ち着きのなさや集中力の低下といった形であらわれる事があります。お子様のいびきや呼吸の止まりが気になる場合は、小児科または耳鼻咽喉科へのご相談をお勧めいたします(当院は成人のSASを中心に診療しております)。
どちらも影響します。アルコールはのどの筋肉をゆるめるため気道がふさがりやすくなり、寝る前の飲酒はSASを悪化させる原因になります。喫煙は、のどや鼻の粘膜に炎症やむくみを起こし、気道を狭くします。節酒と禁煙は、CPAP療法などの治療とあわせて大切な生活習慣の見直しです。
日中に強い眠気がある状態での運転は事故の危険が高く、控えていただく必要があります。道路交通法の関係法令では、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害は、運転免許に関わる病気の一つとされています。お仕事で運転される方や長距離を運転される方は、早めに治療を始める事をお勧めいたします。治療で眠気が改善しているかを確認しながら、運転については主治医とご相談ください。
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初めての方もお気軽にご相談ください。「いびきがひどいと言われた」「日中の眠気がつらい」「高血圧の薬を飲んでも血圧が下がりにくい」方のご相談も承っております。
ご自宅で受けていただける検査にも対応しております。
参考文献
- 日本呼吸器学会/厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業
「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班 監修『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂,2020年 - 日本高血圧学会 編『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』
- Peppard PE, et al. Longitudinal study of moderate weight change and sleep-disordered breathing. JAMA. 2000;284(23):3015-3021.
※本ページは上記ガイドライン等に基づき、当院医師が監修しています。
- 日本呼吸器学会(SASの診療ガイドライン2020)
https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20200730145402.html - Mindsガイドラインライブラリ(同ガイドライン)
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00587/ - 日本高血圧学会(ガイドライン)
https://www.jpnsh.jp/guideline.html